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限界と無限の間。移住者から見る限界集落の可能性と不確実性

どうも、野良夫のしうんです。

能登半島の限界集落に移り住んできてから早くも十日が経ちました。

五月はわたしたち夫婦にとって目まぐるしいほどの変わり目で、

5/10 横転事故に遭遇し車と家を同時に失う↓5/16 能登半島の限界集落に移住↓5/21 古民家のおうちをタダでもらえることに!↓5/24 久々に夫婦で大ゲンカするも仲直り↓5/26 人生ではじめてイノシシの解体に立ち会う(その後、自分でイノシシのハツを捌いた)↓5/27 今日は今のところ平穏な朝を迎えてます…

(元)荷台夫婦から野良夫婦に生まれ変わり、
なんとも急展開すぎる田舎暮らしの新生活。

野良暮らしと土蔵改築のはじまり。

モバイルハウス『ゆんゆん号』に乗って能登半島を走行中に対向車に突っ込まれ、まさかの横転事故に遭遇してしまい、不幸中の幸いか事故現場から嫁のおじいちゃんちまで奇しくも10分ほどのところでした。

親戚のおじさんの田植えの手伝いに行くはずが、逆に事故処理を手伝いに来てもらう羽目になり、車と家を同時に失い行き場をなくした私たちは途方にくれる間もなく、その日のうちに能登半島の限界集落にあるおじいちゃんちに移住することを決めます。

これから改築して住まう予定の土蔵。

いちど嫁の実家まで荷物と嫁の軽自動車を取りに戻り、横転事故から一週間後には完成に能登半島に移住してきました。

それからまずは、初日にしばらく仮住まいさせてもらう母屋のお掃除からはじめて、つづいて自分たちがこれから改築して暮らす予定の土蔵の大掃除に取り掛かりました。

古いお荷物がいっぱい積まれた土蔵の二階。

これらの荷物を捨てるものと残すものを仕分けしながら、ひとまず全部一階に降ろします。

中には歴史を感じさせる今までに見たこともないような古道具が現る。ちなみに、これは馬で畑を耕すための道具なんだそう。

二日がかりでほぼすべての荷物を二階から運び出し、やっと土蔵二階の空間が出現した。

土蔵一階はまだゴミ屋敷のように荷物が全方位に散乱している…。

今年中に一階二階ともに快適に住まえる環境にまで、夫婦で力をあわせてリノベーションしていく予定です。

畑の開墾からはじまる野良仕事。

意気揚々と二人で畑に出向く様子。

山間にある景色が開けたおじいちゃんの土地を開墾するところから野良仕事がはじまる。

開墾して雑草を取り、畝立てしてゆく。

夏野菜のきゅうり、ピーマン、黒ナス、トマト、ズッキーニ、それに冬瓜、ほうれん草、大豆を蒔いた。

昨日は二人で曼荼羅ハーブガーデンづくり。機械的な四角い造形だけでなく、自然界の曲線や丸い形も畑に取り入れる。

一週間でだいぶ畑っぽくなってきた。

毎日だいたい朝8:30ごろからお昼前までは野良仕事をして、午後は土蔵のお掃除をしたり、好きなことをする。夜は9時ごろ就寝し、朝5:00ごろ日の出とともに起きる。そんな自由気ままにのらりくらりと暮らしてます。

限界集落は一筋縄ではいかない。

移住してきて、一週間して、地元の人との出会いから空き家になってて取り壊しを検討してる古民家をタダでもらえる話が浮上しました。

家の状態もよく整理整頓された古民家を見て、「やったー!これで土蔵改築しないで済むし、家も広いから友達呼んだりお店もできるぞー!」と意気揚々になっておじいちゃんちに帰ると、親戚のおじさんが家をもらうこと、ぼくたちが家を所有することに反対しました。

その理由をあげると、

・家を所有することで固定資産税や諸々の固定費がかかる・築80年を越える古民家をいざ取り壊す必要性が出たときに数百万の費用がかかる・古い古民家を改装、修繕するにはいずれ多くの費用がかかる・限界集落でまだ地域とのつながりが確立できていない中で商売するのは無理がある・いつまで限界集落で自分たちが暮らしていけるかまだ定かではない

と言われてみれば、
確かにそうだなと思いました。

家はタダでもらえても、不動産を所有することでつきまとうその責任を背負うこと。
限界集落という限られた人間付きあいと閉ざされた価値観の中で、地域の人との信頼関係を築く前に自分たちがあれこれと勝手に新しいことをはじめるのは危険だなと思いました。

限界集落は無限集落。

その一方で、外からやって来たわたしたちから見て、限界集落は可能性の宝庫でもあると感じています。

自然豊かな山々や土地の資源が豊富な能登半島に移住してきて思うのは、日本各地で過疎化した限界集落は視点を変えてみれば可能性に満ち溢れていて、ほんとは限界集落なのではなく無限集落(無限の可能性に満ちた村)なんだと思います。

これからわたしたち夫婦がどんな風に限界集落の暮らしに溶けこみ、限界集落ならではの古い習慣にとらわれず、新しい住まい方の可能性を運んでこれるか楽しみです。


生きる実験はつづく