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会社のことが好きと言えるようになった|古源桃子さん(石川 / 20代)

LIVE DESIGN School の23年度メンバー同士が、根掘り葉掘りするインタビュー企画! 各地で活動するメンバーたちが日々考えていること、そして、LDSの参加を経て見えてきた展望とは...?

プロフィール
 
石川県出身。学生時代は地元の大学で美術史を学ぶ。大学の講義や地域でのフィールドワークを通して「コミュニケーションデザイン」の大切さに気づき、現職・印刷会社でのディレクターの道へ進むことに。学校・行政・民間企業の広報支援や、会社の主軸である酒類ラベルのディレクションを通して、自分が地域にできることを模索中。ニックネームは「まるちゃん」。
 LDSを知ったのは、リードデザイナーの新山さんのSNSがきっかけ。社会人7年目になり今後のキャリアや地域にどう関わるかを悩んでいた際に、「格好悪くても、不器用でも ここで生きていく。」というキャッチコピーに惹かれて参加を決めた。

━━ まるちゃんは普段はどんな活動をしていますか?

石川県内の印刷会社でディレクターの仕事をしています。紙媒体だけでなくWebや動画も含めてクライアントの広報活動を広くサポートしている会社で、主に行政や学校、民間企業と一緒に仕事をすることが多いです。ディレクターの仕事内容としては、クライアントと打合せをする中でニーズや課題を引き出して、どんなツールで広報するといいのかを一緒に考えたり、コンセプトを固めるところから関わったりしています。実際に広報物に落とし込んでいく際には、デザイナーやカメラマンなどの間に入って調整役を担っています。日本酒ラベルの製造にも力を入れている会社なので、全国の酒蔵さんと一緒に仕事をさせてもらうこともありますね。新卒はパンフレットの制作を主に担当していたんですが、今はより根本のところから提案をする企画職をしています。あとは社内に女子部があって、部署の垣根を越えて集まったメンバーで商品企画をしたり育休サポートブックの作成をしたりしています。

━━ 幅広く活動しているんですね!印刷会社のディレクターになろうと思ったきっかけは何だったんですか?

昔から絵を描くのが好きで、中高6年間は美術部に入って油絵を描いていました。美大に行こうと思っていた時期もあったんですが、自分で絵を描くことより何を描くかを考える方が好きだなと気がついて、大学では広く学べる美術史を専攻しました。

大学に入った当初は学芸員を目指していましたが、館内で研究をする仕事はちょっと自分とは違うのかもと思うようになって…。悩んでいる時に大学時代の先生や尊敬するカメラマンの方から、「問題を見つけて意見を述べられるところがいいところだよ」と言ってもらえて、ヒアリングして課題を見つけて、どう解決していくかをディスカッションしていくのが好きだなと気づくことができました。そこからディレクターの仕事を目指すようになりましたね。

就職のタイミングで東京に出ることも考えたんですけど、地元に残ることに決めて。今の会社なら自分のやりたいことができるかもと思って就職を決めました。地元にいるからこそできる仕事もありますし、全国の酒蔵さんと一緒に仕事をしているので、石川にいながら出張にも行けていいバランスで働けているなと思います。

一方で、ディレクターの仕事のステップアップが難しくて。答えがないものに問いを立てて提案していくので、いつも悩みながら仕事をしています。また、学生時代から地域活動に興味があったんですけど、直接地域に貢献できている実感がわきにくくて。もがきながら仕事をする日々です。

━━ LDSに参加してみてどうでしたか?

率直に参加して本当によかったなと思っています。ずっと地元にいると他の地域のことを知れる機会が少ないですし、今働いている会社が副業NGなのもあって社外で学ぶこともあまりなかったので、すごく貴重な機会になりました。

学生の時からデザインやアート、工芸関係のイベントには足を運んでいましたが、登壇者や参加者の人たちは何となく雲の上の人だと思っていたんです。LDSはリードデザイナーや他の参加者との距離が近くて、すごく尊敬しつつもフラットに話せるコミュニティなのがとてもいいところですね。

あと運営局の中井きいこさん(出雲路本制作所)がすごいなと思って。言葉にする力が長けていて、歳が近いからこそ「こんなオトナ女子になりたい!」って尊敬するお姉さんです。尊敬できる人が身近にたくさんいて、みんなに元気をもらえるスクールですね。

また講義だけでなくフィールドワークもあって、さらに振り返りの機会もあるので、学んだことをじっくり吸収できている感覚が他のスクールとは違うところかも知れないなと思います。

━━ LDSのいいところ、すごく共感します!フィールドワークなどもいろいろ参加されていましたが、特に印象に残っていることはありますか?

自分の中ではリードデザイナーの坂本大祐さんと出会えたことがすごく大きくて。初回のレクチャーで「自分の文脈をつかみ取る」という話を聞いて、なんか腑に落ちたんですよね。坂本さんの話をもっと聞きたかったことや東吉野に足を運んでみたかったこともあって、奈良のフィールドワークに参加しました。

フィールドワーク2日目の夜にすごく印象的な出来事があって。初めて東吉野の自然の中に身を置いて、リラックスしていたつもりだったんですけど、なぜか頭がフル回転して一睡もできなかったんです!寝れなくて「やばい、どうしよう」って思ったまま朝になってて(笑)

これまで自分の中で壁を作って諦めていたことに気がついて、仕事で「こんなこともあんなこともできる!」ってどんどんアイデアが沸いてきて、やってみたいことや会社に提案したいことがいっぱい出てきました。最終日の振り返りの時にも自分の感情が溢れてきて、壁をはがされたような感覚で、これまでにない体験だったのでびっくりしました。東吉野だけでなく、毎月のレクチャーや九州フィールドワークで大自然の天然プールに入ったことなど、それまでの積み重ねもあったのかもしれません。

━━ それはすごい体験でしたね。その後も坂本さんと関わりはあるんですか?

坂本さんの仕事について勉強したかったことや東吉野で感情が動いた理由を知りたかったので、オフィスキャンプでのインターンを希望しました。LDSに参加した当初から、外部で学べる機会としてインターンには行きたかったんです。会社とも調整して1か月行かせてもらう予定だったんですが、能登の震災の影響で一旦保留になっていて。インターンはやり方も含めて今も相談中なんですけど、この1年で考え方は確実に変わってきているような気がします。

━━  LDSに参加して変化があったんですね。他にも変わったことがあれば教えてください!

参加する前は地元の石川を出たことがないことに対して、少しコンプレックスのように感じていました。今いる会社も仕事内容に不満はなかったんですけど、他の会社ではどうやっているんだろう?って気になることがあり、もやもやしていて。

LDSに参加したら全国で活動している人たちと出会えるので、最初は県外に出たくなるんじゃないかなと思っていたんです。自分でもびっくりしたんですけど、この1年間を通して逆に自分や会社のことを見直したいと思うようになって。創業者の自伝を読んで会社のことを知るようになったり、自分たちの印刷とどう向き合うか、どうしたら地域に貢献できるのかをすごく考えるようになったりして、7年目にして会社のことをちゃんと好きと言えるようになったんですよね。坂本さんの「自分の文脈に沿った流れ」という言葉のように、自分は今の会社に導かれていたのかもしれないと思うようになって、その会社にいる自分のことも受け入れられるようになったのは大きな変化でした。

自ら社長に会社愛を語るようになったし、会社の人から「これまでそんな考え方だったっけ?」と言われることもあって、LDSを通して仕事への向き合い方も変わったような気がします。

━━ すごい心境の変化ですね!これからやってみたいことはありますか?

わたしがいる会社はお酒のラベルを強みとしているので、酒蔵さんと一緒にお酒をいいよねと思える人を増やす活動をしていきたいなと思っています。何かやってみたい!と、まずは社内の人たちとプロジェクトチームを作ったところで。本当はインターンを経てから社内プロジェクトをやっていきたいと思っていたんですけど、何となくこれまで感じてきたものを踏まえて社内で提案している最中です。他にも自分たちの印刷と向き合ってみようと社内展示も企画しています。

これまではクライアントとの関わりが中心で、企画職なのに社内でチームを組んで動くことが少なかったんですよね。今は社内で同志と思える人たちと一緒に活動ができていて、LDSで得たものが心持ちに大きく影響しているように思います。

また、地元に根付いた会社なので、地域やクライアントのためにも自社が揺らがないように社内の環境を整えたり、バージョンアップさせたりしていきたいなと思っています。歴史が長くて保守的なところもあるけど、今の会社で地域にも酒蔵さんにも貢献していきたいですね。

━━ この1年で仕事や会社との向き合い方が大きく変わったんですね。さらなる活躍が楽しみです!

(聞き手|菅原春香さん


地域で必要とされる「広義のデザイン」について、各地のデザイナー陣と参加者どうしが学び合う場として始まったLIVE DESIGN School。現在、24年度のエントリーを受付中です!デザイナー(志望)はもちろん、イラストレーター / 大学生 / 行政職員 / 地域おこし協力隊 / 販売員 / 製紙業 / 百姓!などなど多様な肩書きの方にエントリーいただいています。詳細はこちらから!


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