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LDSで葛藤を打ち明けた理由|吉村真由さん(東京 / 20代)

LIVE DESIGN School の23年度メンバー同士が、根掘り葉掘りするインタビュー企画! 各地で活動するメンバーたちが日々考えていること、そして、LDSの参加を経て見えてきた展望とは...?

プロフィール
 大阪府出身。学生の頃から舞台衣装の仕事を志し、国内最大のテーマパークへ就職。21年7月より、デザイナーやアーティストなどの個人、様々なものつくりを行う企業など多種多様な背景を持ったメンバーが集まるコミュニティ「NewMake」のディレクターに就任。NewMakerと創るクリエイティブな世界観を通して、ソーシャルグッドなエンターテイメントを提供している。
 現在働いている会社の代表に「地域をテーマにしたこういうコミュニティがあるんだけど受けてみない?」と声をかけてもらったのがLDS参加のきっかけ。これまで、出身は大阪で、大学は京都、就職先は東京だったこともあり、地域の取り組みや活動には興味が湧き、「今まで全く知らなかった世界の話が聞けるかもしれない」と思い、参加を決意。

━━ 吉村さんは普段どんな活動をされていますか?

「NewMake」というファッションを軸としたクリエイティブ・コミュニティのディレクターを務めています。そこでは、企業と個人の垣根を超えたコラボレーション企画をメインに活動していて、表参道・原宿エリアに「NewMake Labo(ニューメイクラボ)」という拠点を構え、いろんなブランドや企業さんから提供していただいた廃棄予定の衣類や端切れを、コミュニティメンバーの方々にそれぞれの表現方法でアップサイクルしていただく取り組みなどを行なっています。

過去には、リカちゃん人形やスニーカーに着目したアップサイクル企画など、捨てられるはずだった身近なものの可能性に気付いてもらうための展示を行ったりしていました。

「NewMake Labo」はリアルな場を持つコミュニティなので、「今こういうことに悩んでいて、誰かこういう人知らない?」って気軽に言えるような、異業種交流会とはまた違う、もっとふらっと立ち寄れて、カジュアルな出会いができるような、そんな場所や体験づくりを目指して日々取り組んでいます。

━━ とても素敵な取り組みですね!

でも課題もたくさんあって。カメラマンさんとかデザイナーさんとか、いろんなクリエイターの方が情報や出会いを求めて「NewMake Labo」にたくさん足を運んでくれるんですけど、知りたい情報や出会いたい人が、そのときその場にあるとは限らないんですよね。コミュニティであるからこそ、自由だからこそ、拘束力もなくて。また、フリーランスの方々が多いので、この曜日が参加しやすいっていうのもそれぞれで難しくて・・・。

でも、だからこそもっと有益な場というか、いつ来てもヒントが見つかるようにするためには、どんな場で、どんなシステムがあるべきなんだろうってずっと考えていて。私は、ホストとゲストが対等なコミュニティが一番理想的だと感じているんですけど、それって実際にどうやって作るんだ?みたいなことを走りながら考えて作っている最中で。

━━ そんな中で、LDSに参加されたと。約一年間のプログラムの中で、印象に残っている回や言葉などはありますか?

リードデザイナーの坂本大祐さんが活動されている、奈良県東吉野村にフィールドワークで伺ったんですけど、そこで坂本さんがおっしゃっていた、「自分がやってることはあくまでフレームで、自分がやったことが全てじゃなくて。もっとささやかなデザインとか、こっそり世界に訴えかけられるデザインが社会には必要だと思ってる。」ってお話がとても印象深くて。

私はそれを聞いたときに、デザイナーになりたての頃や自分のデザインが確立するまでは、自分が有名になるような、大きな仕事をすることがモチベーションになってた時期もあったんじゃないかと思って。その後に思い切って、「そういう価値観に転じたのは、ある程度目標を達成し切ったからだと思いますか。」って質問をさせてもらったら、「何かに対してがむしゃらに向かう途中、本当にこれで合ってるかを疑うことは必要。本当にいいことを追求するというか。きっとそういうのを続けてきたから、いまの考えに至ったのかな。」って教えてくれて。

いま自分は28歳で、この先のキャリアはもちろん、仕事の向き合い方について考えることもすごく多いんですけど、大きな仕事をするとか、自分が有名になるとか、そういうんじゃなくて、もっと地域が盛り上がるとか、全体としてどうかっていう、本当にいいことを考えて動くことこそに意味があるなって、改めて考えさせられた時間でした。

━━ 考えることを考えるような、とても濃いフィールドワークだったんですね。

自分を見つめ直す機会が奈良のフィールドワークではほんとに多くて。それこそ参加者同士の交流からもたくさん刺激をもらったりしていました。

やっぱりフィールドワークって、いろんな方から話を聞けるじゃないですか。リードデザイナーとか、リードデザイナーとつながりのあるクリエイターさんとか、地域の方とか。それを自分が聞いて噛み砕いて自分で解釈するということはこれまでもずっとやってきてたんですけど、他の参加者が聞いて噛み砕いたことを、こう思ったって聞ける機会とか、みんなで集まって感想を言い合ったり、それに質問を投げかけ合ったりするってことはあまりなくて。

私はその解釈できなかったけど、そういうふうに感じることもできるんだとか、他の人が解釈したことこそ自分に入ってくるというか、耳が1個じゃないなっていう気持ちになりました。参加者の数だけ何個も目があって、何個も解釈があって、それを共有できるっていう、すごく吸収率の高いフィールドワークだったなって思います。

━━ 他の人が解釈したことこそ入ってくる。素敵な学びですね。吉村さんはアクションシェアにも参加くださっていますが、その当時はどんな心境だったんですか?

なにか多分、本当に日々悩んでるんだと思うんですよ、仕事に対してもそうですけど、自分自身に対して(笑)。元々はテーマパークでステージ衣装の仕事をしてたんですけど、今の仕事はそれとは全く違うことをやっていて。コミュニティとかアトリエを作ったりすることって、自分にとってはやったことのないことばっかりで。

でも、LIVE DESIGN Schoolには、自分がやったことのないことをやったことがある人たちがたくさん集まってると思っていて。自分がいま悩んでることは、他の人たちにとってはなんてことないことだったりして、「私いまこれに悩んでるんです。」って包み隠さず相談した方が前に進めるかもと思ったんです。なので、情けない気もするし、恥ずかしかったですけど、勇気を出して手を挙げてみたって感じです。

━━ 実際に参加されてみて、どうでしたか?

リードデザイナーの方々も参加者の方々も、目の前の小さなステップを大事にされているなと思いました。できることをちょっとずつとか、スモールスタートとか、まずは身内からとか。

こういうことって言葉で聞いたら当たり前のことなんですけど、いざ何かを始めようとするときって、ついつい色々なことを飛び越えたくなるし、自分の設定した目標に向かって、張り切りすぎたり、頑張りすぎちゃうことってよくあるなと思って。

何でも一気にできるわけじゃないから、何かやりたいと思ったときには、まずはちっちゃく始めたらいい。って、自分にはすごい大きな気づきで、アクションシェアに参加してみたからこそ意識できるようになったことだなって感じます。

━━ ほかにも、LDSを経て変化したことはありますか?

今の私はどれぐらい自然と接していたいのか。その心地良い距離感を見極めて大切にしていこうと思うようになりました。それは、奈良のフィールドワークのときに、坂本大祐さんのお父様から、一日一回でもいいからその土地のものを食べる、どこに住んでいても生きた土・草木・植物に必ず触れるようにする、そういった地に足がついた暮らしや衣食住に意識を向けることが良いデザインにも繋がるよねという考え方を教わって。

やっぱり東京に住んでると、流れが早いじゃないですか。まさに今私がいる渋谷とかって何もかもがあっという間で。それに疲れちゃって、都会嫌だなって思う日もたくさんあるんですよ。でも、流れが早いから今ここにいるわけでもあって。その流れの速さとか、いまの仕事で与えられる影響の大きさとか、吸収できることの多さとかを考えると、やっぱりまだここにいるべきとも思っていて。ほんとに日々葛藤ですね・・・。

なので、いつかは住んでみたい地域だったり、移住とかへの憧れはもちろんあるんですけど、自分にとって心が安らぐとか、インスピレーションが湧く自然との距離感を上手に保ちながら、もう少し都会で頑張ろうといまは思ってます。

━━ では最後に、今後のLDSに向けたメッセージをお願いします!

スクール名に「Design」が入ってるので、デザインに関係してないとダメなのかなって感じる人もきっと多いと思うんですけど、私がLDSを通じて学んだことは、もっと基本的な仕事への向き合い方とか、もっというと生き様のような全てに共通することでした。

なので、やりたいこととか、何がしたかったんだっけとか、これからどうやって生きていけばいいんだろうって、一度立ち止まってる人に特におすすめしたいなって思いますし、誰が参加してもその人にぴったりな答えが見つかる、着実に一歩を踏み出す勇気をくれる、そんな場所、コミュニティなんだろうなと思います。

━━ 仕事や人生の全てに共通することを学べる。まさにそう思います。ありがとうございました!

(聞き手|中野裕人さん


地域で必要とされる「広義のデザイン」について、各地のデザイナー陣と参加者どうしが学び合う場として始まったLIVE DESIGN School。現在、24年度のエントリーを受付中です!デザイナー(志望)はもちろん、イラストレーター / 大学生 / 行政職員 / 地域おこし協力隊 / 販売員 / 製紙業 / 百姓!などなど多様な肩書きの方にエントリーいただいています。詳細はこちらから!

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