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早期退職

ワコールの早期退職の記事が出ていたので、最近早期退職を出した日本企業を取り上げる。

ワコール、早期退職に215人応募

ワコールホールディングスは、国内事業の一環として行われた早期退職プログラムに215人が応募し、これは目標の150人を超える応募数であると発表しました。このプログラムにより、約22億円の特別退職加算金などが2024年3月期に営業費用として計上されます。この早期退職募集は2年連続で行われ、ワコールは構造改革を通じて収益力の回復を目指しています。募集は2月5日から16日にかけて、販売職を除く45歳以上64歳以下の正社員を対象に行われ、退職予定日は4月30日です。ワコールは、消費者行動の迅速化と多様化に対応するために、従来の衣料品販売スタイルの見直しとコスト削減を進めています。

オムロン、国内外で2000人削減 

オムロンは、国内外で合計2000人の人員削減を発表しました。これは、主に中国市場向けのファクトリーオートメーション(FA)機器事業の低迷と固定費削減の必要性によるものです。国内では40歳以上の正社員を対象に約1000人の希望退職を募り、今回の削減は2002年のITバブル崩壊後以来の大規模なものです。オムロンは2026年3月期までに固定費を約300億円削減する目標を掲げており、これには販管費の削減も含まれます。中国市場の依存度を下げる戦略の一環として、欧米市場へのシフトや新たな業界への進出、製品開発の見直しなどが進められています。また、オムロンは医療ビッグデータ収集のJMDCとの連携を通じて、予防医療ビジネスなどの新たな成長戦略を描いています。構造改革の結果、2025年3月期の売上高と営業利益の目標を下方修正し、新たな中期経営計画の策定を予定しています。

イトーヨーカ堂、早期退職募集

イトーヨーカ堂は、セブン&アイ・ホールディングス傘下の総合スーパーで、45歳以上の正社員を対象に早期退職者の募集を開始しました。これは、店舗数の削減や構造改革の一環であり、2024年夏には東京・四ツ谷から大森に本社を移転する計画もあります。この退職募集は、イトーヨーカ堂が人手不足の中でもコスト削減を進めるための措置であり、応募者には特別転進支援が提供されます。また、イトーヨーカ堂は以前から人員削減を進めており、2026年2月末までに店舗数を2割以上減らし、アパレル事業から撤退する計画を持っています。セブン&アイはヨーカ堂の自力再建を目指しており、構造改革を通じて営業黒字転換を目標としていますが、これには高い難易度があるとの指摘もあります。

オートバックスセブンが早期退職

オートバックスセブンは、50歳から57歳で勤続年数が10年以上の正社員を対象に、最大100人の早期退職者を募集しています。この制度は持続的な成長を目指し、人材のパフォーマンスを最適化するために実施されます。早期退職者には年齢に応じた支援金が提供され、再就職の支援も行われます。募集期間は2023年12月20日から2024年1月31日までで、退職予定日は2024年3月31日です。この措置による財務への影響は現段階では明らかにされていません。

大正製薬、早期退職645人

大正製薬ホールディングスは、早期退職優遇制度に645人が応募し、全員が9月末までに退職したと発表しました。この措置は組織改革の一環であり、約60億円の特別損失を2023年4月から9月の期間に計上しました。2024年3月期の純利益は前期比で45%減の105億円に下方修正され、売上高は6%増の3190億円に上方修正されました。2023年4月から9月の期間の売上高は前年同期比13%増の1630億円、純利益は32%減の74億円となり、新型コロナウイルスの影響下での市場回復が見られましたが、早期退職による支出の影響も受けました。

ENEOS、早期退職の割増金を増額

ENEOSは、ガソリン需要の減少と事業構造の転換に対応するため、50代の管理職を対象に早期退職の割増金を増額する制度を導入しました。この措置は、管理職のポスト不足と年齢構成の偏りを解消し、若手社員の登用を促すことを目的としています。第1弾の募集では、対象人員の約15%にあたる200人が応じました。ENEOSは、空いたポジションに年齢を問わず社員を登用し、終身雇用と年功序列型の雇用形態からの脱却を目指しています。これは、ガソリンの需要減少や脱炭素、電気自動車の普及に伴い、事業構造を転換する一環です。

日本の早期退職の特徴

日本の早期退職制度にはいくつかの特徴があります。以下にその主な点をまとめます:

1. **任意性**: 早期退職制度は通常、従業員の自発的な選択に基づいています。企業は対象となる従業員に対して制度を提案し、希望者は自ら申し込む形を取ります。

2. **対象年齢**: 対象となるのは、一般的に中高年の従業員です。多くの場合、40代後半から60歳前後の定年に近い年齢層が対象とされます。

3. **インセンティブ**: 早期退職を促すために、退職金に加えて追加の金銭的インセンティブ(割増退職金など)が提供されることが一般的です。これには、年齢、勤続年数、役職などに応じた支援金や再就職支援サービスが含まれることがあります。

4. **目的**: 企業側の目的は、人件費の削減、組織の若返り、業務効率の向上など多岐にわたります。また、経済環境の変化や事業再構築の必要性から実施されることもあります。

5. **再就職支援**: 企業は早期退職者に対して、再就職支援サービスを提供することがあります。これには、職業訓練、キャリアカウンセリング、就職情報の提供などが含まれます。

6. **社会的背景**: 日本では、高齢化社会の進行とともに、労働人口の減少が進んでいます。このような状況の中、企業は人材構成の最適化やコスト削減を目指し、早期退職制度を利用しています。

早期退職制度は、個々の企業の戦略や経済状況に応じて様々な形で設計され、実施されます。また、これらの制度は従業員にとって大きな人生の転機となるため、企業は透明性のある情報提供と適切な支援策を提供することが求められます。

感想

日本の企業文化では、業績が悪化すると、従業員に早期退職を促す傾向が見られます。しかし、実は業績が良い企業こそ、この機会を活用すべきだと思います。特に、AIを活用して業務効率を高めている企業では、このような変化を実施しやすいかもしれません。このようなアプローチを取ることで、従業員が自らのキャリアパスを見直し、必要に応じて転職を検討するという文化が徐々に浸透していくでしょう。結果として、この文化の普及は、経済全体の発展にも寄与する可能性があります。このプロセスを通じて、企業はより柔軟で、動的な労働市場を促進することができると思う。

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