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日本、GX債1.6兆円支援

2023年度は1.6兆円を調達し、日本製鉄などが参画する水素を使う製鉄技術の開発におよそ2500億円を、ホンダなどの電気自動車(EV)向け電池の生産拡大に3300億円ほどをあてるとのこと。
「GX(グリーントランスフォーメーション)経済移行債」は23年度からの10年間で20兆円を発行する。

要約文

日本政府は、脱炭素化を推進するための「GX(グリーントランスフォーメーション)経済移行債」を発行し、2023年度に1.6兆円を調達することを計画しています。この資金は、日本製鉄が参画する水素を使用した製鉄技術の開発に約2500億円、ホンダを含む電気自動車(EV)の電池生産拡大に約3300億円が割り当てられます。この支援は、国際競争力の向上と産業構造の変革を目指すものです。合計で10年間に20兆円を発行し、研究開発や脱炭素に関連する技術への投資、蓄電池生産や半導体開発などに資金を提供します。これにより、日本企業のEVや半導体などの競争力強化を図り、国内外での脱炭素技術の開発と普及を加速させることを目指しています。

日経新聞の図引用

日本製鉄

日本製鉄は、今井正副社長が2024年4月1日から代表取締役社長兼最高執行責任者(COO)に昇格し、橋本英二社長が代表取締役会長兼最高経営責任者(CEO)に就任すると発表しました。今井氏は、技術系出身であり、日鉄の脱炭素化対応と海外事業の拡充に焦点を当て、「世界一」を目指して成長を加速させるとしています。彼は名古屋製鉄所長などの職を務め、経営企画部門の幹部としても活躍してきました。今井氏の指導のもと、日鉄は脱炭素化技術の開発と、電炉推進のプロジェクトを含む環境対応策を進め、2050年のカーボンニュートラル実現に向けた技術開発やノウハウの蓄積に努めます。また、USスチールの買収を含む海外事業の拡大にも注力し、長期的な経営戦略を推進していきます。

日経新聞の図引用


トランプ氏 USスチールの買収に反対

ドナルド・トランプ前大統領は、2024年の大統領選挙に向けて、日本製鉄によるUSスチール買収に反対し、これを通じて労働者の支持を集める戦略を取っています。彼はこの買収を「ひどい話」と批判し、自らが大統領であれば即座に阻止すると述べました。この発言は、特に激戦州に位置するUSスチールの工場がある労働者の票を獲得することを目指しています。日鉄はこの買収がUSスチールや米国にとって利益をもたらすと主張していますが、全米鉄鋼労働組合(USW)を含む多くの労働者が反対しており、この問題はバイデン大統領にとっても重要な選挙戦の課題となっています。バイデン政権はこの買収案件に対する審査を検討しており、トランプ氏の発言は、バイデン政権に対する圧力を強めるものと見られています。

水素製鉄

経済産業省は、CO2排出量を削減できる水素還元製鉄技術の開発を支援するために230億円を投じると発表しました。この技術は、電気溶融炉を使用して品質の低い鉄鉱石から高品質の鉄を製造する方法であり、現在の製造過程で排出される温室効果ガスの量を減らすことができます。経産省は12月よりこの技術開発プロジェクトへの事業者公募を開始する予定です。この取り組みは、鉄鋼業界の脱炭素化を促進し、国内産業部門のCO2排出量削減に貢献することを目指しています。

ENEOSとJFEスチールは、岡山県倉敷市にある水島コンビナートでの水素の調達と利用において連携することを発表しました。2030年までに、海外から輸入した水素を製鉄所で使用する体制を整える計画です。ENEOSが調達した水素をJFEスチールへ供給し、製鉄所で回収した二酸化炭素と水素を組み合わせてメタンを生成、これを高炉の熱源として利用する「カーボンリサイクル高炉」の実現を目指します。ENEOSは川崎市や大阪港湾部に続き、水島で水素受け入れインフラの整備を進め、脱炭素社会への移行に伴い減少する原油需要に対応し、製油所を水素の受け入れ基地に転用します。当面は化石燃料由来の水素を使用しつつ、将来的には再生可能エネルギー由来の水素の使用により、サプライチェーン全体でのCO2排出量を削減する方針です。

国内鉄鋼2位のJFEスチール

JFEスチールは、需要減少に対応し、利益率の高い拠点への集約を進めるため、1936年から運用してきた川崎市にある東日本製鉄所京浜地区の高炉1基を休止しました。これにより、国内のJFE高炉は7基となります。一方で、日本製鉄は広島県の瀬戸内製鉄所呉地区を閉鎖することで、鉄鋼業界の再編が進んでいます。JFEは、高収益の西日本製鉄所に注力し、収益改善を目指します。これは、内需の縮小と海外競争の激化に対応するための戦略であり、高炉休止による固定費削減や、脱炭素への対応を含む構造改革の一環です。JFEは、脱炭素投資を加速し、電炉転換などでCO2排出量を削減する計画を進めています。また、高炉の跡地利用についても、次世代の都市空間の開発などが検討されています。

日経新聞の図引用

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