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共通ポイントの戦い

KDDIがローソンをグループに引き入れたことで、ますます国内のポイントを使った囲い込み戦略が白熱するだろう。一度経済圏にどっぷり入った人を引き剥がすのは難しい中、どんな作戦を打つか見ものである。

日経新聞の図引用

「Pontaポイント」強化

KDDIがローソンをグループ化し、約5000億円の投資で共同経営を目指すことを発表しました。この動きは、KDDIが運営する共通ポイント「Ponta」を強化し、楽天経済圏などの競合に対抗するための戦略の一環です。ポンタポイントは、現在市場で4位の位置にあり、競争が激化している中での立ち位置を強化することがKDDIの目標です。KDDIは、ローソンの店舗を利用して「au経済圏」を拡大し、通信サービス、金融、決済、電子商取引(EC)を統合したビジネスモデルを強化する計画です。また、KDDIはポンタの魅力を高め、消費者の集客と経済圏の規模拡大を図る予定です。しかし、株式市場からはこの戦略に対する懐疑的な意見もあり、KDDIの株価は戦略発表後に下落しました。今後、KDDIはローソン店舗の活用とポンタの強化により、競争がさらに激化するポイント市場での地位向上を目指します。

日経新聞の図引用

ローソン、歴史を繰り返すな

KDDI、三菱商事、ローソンの提携による記者会見は、過去に似たような展開があったことから、デジャブ(既視感)を感じさせます。約25年前、三菱商事がローソン株を取得した際にも、デジタルとリアルの融合を目指す構想が語られましたが、それが実現されているわけではありません。今回のKDDIによるTOBでローソンが目指すのは、デジタルトランスフォーメーションを利用した未来のコンビニへの進化です。しかし、過去の提携や構想と同様に、技術論が先行するものの、具体的な実現には至っていないという課題が指摘されています。

ローソンの業績は好調ですが、セブン―イレブン・ジャパンとの差は依然として縮まっていません。これは、創業理念の違いや商品開発への取り組み方に起因すると考えられます。セブンは創業から共存共栄の理念を持ち、加盟店と本部が利益を分け合うモデルを実現しています。一方で、ローソンは創業理念がなく、セブンの模倣であった過去があります。

三菱商事とKDDIの提携によるローソンのデジタル化推進は、技術の活用方法やフランチャイズビジネスへの理解を深め、加盟店と消費者のニーズに寄り添った運営が必要です。過去の教訓から学び、デジタル技術を単なる飛び道具ではなく、地域に根差した便利なサービス提供の強化へとつなげることが、ローソンにとっての新たな挑戦となります。

ZOZO、PayPayアプリを入り口

PayPayは、衣料品通販大手のZOZOとの連携を強化し、PayPayアプリを通じてZOZOを利用できるようにすることで、PayPayアプリのユーザーベースを活用し、その経済圏を拡大していく戦略を取っています。この取り組みにより、PayPayの利用者6000万人は、アプリ内のミニアプリとしてZOZOを直接利用できるようになります。この連携は、PayPayにとって決済額の増加や利用者間でのサービスの相互利用を促進する一環であり、ZOZOにとっては顧客層の拡大を狙うものです。また、PayPayは楽天グループに対抗するために、グループ間の連携を強化し、PayPay経済圏を広げることを目指しています。政府のマイナポイント終了や新型コロナウイルス対策の終息による課題がありながらも、PayPayは他社との競争に対抗していくための戦略を進めています。

「楽天ぐるなび」⁉️

ぐるなびは、経済再開に伴う飲食店需要の回復にもかかわらず、2024年3月期に4期連続の最終赤字を見込んでいます。この赤字脱却と中期事業計画で掲げる2025年3月期の黒字化達成に向け、楽天グループとの資本・業務提携を深化させています。サービス名を「楽天ぐるなび」に変更し、楽天ポイントの獲得を明確にすることで利用を促進し、連携会員数を現在の800万人から1000万人に増やすことを目指しています。また、デリバリー・テイクアウト事業からは撤退し、グーグル検索やグーグルマップへの店舗情報表示サービスの提供など、飲食店への業務支援を強化しています。モバイルオーダーシステム「ぐるなびFineOrder」の拡大にも力を入れ、飲食店の支援サービスを充実させることで収益性の向上を図り、黒字化に向けた体質改善を進めています。

楽天ポイントアップ変更

楽天は、スーパーポイントアッププログラム(SPU)の内容を12月から大幅に変更し、ポイント付与倍率を最大16.5倍に引き上げますが、特に有料カードのポイント付与の条件が厳しくなります。現在、楽天プレミアムカードの使用で楽天市場での買い物に対し基本の1%に加えて4%の特典分が加算され、合計5%のポイントが付与されますが、変更後は年会費無料の楽天カードと同じ計3倍になります。また、特典分のポイント獲得上限が大幅に下がり、楽天プレミアムカードは月5000ポイント、一般カードは月1000ポイントに設定されます。楽天プレミアムカードの付帯サービスも変更され、11月1日までに入会した人は年会費の返金を受け付けます。一方で、楽天モバイルの「Rakuten最強プラン」利用者は、ポイント倍率が現状より増える数少ないサービスの一つとなります。これらの変更は、利用者にとってがっかりする内容となっており、特に有料カード利用者にとっては不利益が大きくなります。

NTTドコモ「リテールDXプログラム」

NTTドコモは、小売・流通企業向けに「ドコモリテールDXプログラム」を提供開始しました。このプログラムは、ドコモが保有する顧客データを活用して、小売・流通企業のマーケティング支援や店舗運営の最適化などを行うことを目的としています。プログラムには、約9700万のdPOINT CLUB会員データや位置情報などが活用され、小売・流通企業が保有するID-POSデータ(購買情報)と組み合わせて分析されます。これにより、顧客の行動予測、商圏開拓のポテンシャル分析、集客策の提案などが可能になります。

ドコモリテールDXプログラムの特徴は、携帯電話から得られる位置情報の活用と、1つのIDで顧客データを管理している点です。これにより、顧客のリアルな行動を精密に分析し、より効果的なマーケティング戦略を立案できます。プログラムは、リテールDXダッシュボードを通じて、自社顧客エリア分析や来店予兆分析などのサービスを提供します。dポイントやd払い加盟店には、これらのサービスが無料で提供される予定ですが、一部機能は有料になります。

加えて、デジタル広告配信サービス「ARUTANA」も提供され、小売・流通企業の公式アプリを横断して広告を配信することが可能になります。このサービスにより、より多くの顧客へ効率的にリーチすることが可能になります。

ドコモは、このプログラムを通じて、小売・流通企業の収益増加、メーカーの収益増加、消費者の利便性向上を目指しており、「三方良し」のビジネスモデルの実現を目指しています。プログラムの普及と成功には、小売・流通企業がドコモに対してID-POSデータの常時連係を認めるかが鍵となります。

ポイントの存在感の高まり

ポイント制度の変更が家計に大きく影響する可能性があります。特に、ポイントの付与率が下がる場合、消費者は不利益を被ることになります。例えば、楽天グループのスーパーポイントアッププログラム(SPU)のように、ポイントの付与率や上乗せ率が変わることがあります。このような変更は、企業の集客や顧客囲い込み、購買データの取得などの戦略によって行われますが、消費者にとっては、ポイントの価値が下がることを意味します。また、NTTドコモの「ドコモでんき」やKDDIグループの「auでんき」のように、燃料費の上昇による電力事業の採算悪化が原因でポイント還元率を下げるケースもあります。消費者は、ポイントの変更に注意し、不利にならないように定期的にルールを確認し、必要であればメインでためるポイントを変更するなどの対策が必要です。ポイントは使い道を重視し、共通ポイントのように広範囲で利用可能なものを選ぶことで、失効リスクを低減できます。

日経新聞の図引用

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