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【連載】かくれ念仏/No.16~真宗信仰の奇跡~

●真宗信仰の奇跡
垂水の柊原には、「ドンデン仏」という谷があり、昔の人が隠れて真宗の法座を営んだという伝承があるが、この谷から身を投げても阿弥陀仏の加護で死にはしないという伝承もある。これは民間の中で信仰にまつわる事象が奇瑞化していったものと思われる。

本願寺の親鸞伝にも数々の着色があるのだが、地方にいくと、親鸞のカリスマ化や神格化、真宗の魔術化や秘教化によって、親鸞の念仏によって死んだ魚が泳ぎだしたとか、親鸞が空中に書いた文字が川向こうの紙に浮かび上がったなどという、よりぶっとんだ奇跡のエピソードが大変多く散見される。

「越後の七不思議」はその代表格だが、突然変異種の植物が、真宗の信仰と結びついて伝説へとなっているパターンは多い。

さて、さつま町の柊野では、「ひがん花祭り」という催しの際、地元柊野小学校の児童が史跡をガイドしてくれる。かくれ念仏や柊野仏飯講についてもわかりやすく解説してくださるのだが、その中で、黄金色の孟宗竹である「金明竹」についても紹介がされる。

調べてみると、この竹は昭和30年頃から鹿児島に入ってきたらしいのだが、私はかつて、ネットで、「真宗禁制下でも念仏を守り続けた信仰の力によって黄金の竹となった」と書かれている記事を読んだことがある。

このことを今思い返してみると、めずらしい植物に、真宗という要素が付加され、奇瑞譚へとなっていった瞬間に出くわしていたのかもしれない。

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