ラグビーワールドカップ2023 準々決勝 ニュージーランド対アイルランド戦 感想

 ラグビーワールドカップ2023 ニュージーランド対アイルランドの試合。オールブラックスが大接戦を制して準決勝進出。アイルランドはまたしてもベスト8の壁を越えられなかった。

ニュージーランド 28-24 アイルランド

 素晴らしい試合でした。アルゼンチン対ウェールズ戦を見た後、時間が短かったので徹夜での観戦となりましたが、すごい試合に眠気も吹っ飛んだ。

 世界ランキング1位のアイルランドのプライド、世界最強国オールブラックスのプライド、それぞれのプライドが激しくぶつかりあった。特にオールブラックスのキャプテン、サム・ケインのすさまじい気迫を感じた。相手に攻め込まれた時のタックル、ブレイクダウンの攻防で出色の働き。タックル回数21回は出場選手中最多。オールブラックスが低迷し最も批判されていた選手だけに名誉挽回に燃えていた。

 試合開始から異様な雰囲気。オールブラックスが簡単なミスを連発する。経験豊富なアーロン・スミスのパスがショートし、アイルランドのペナルティで得たキックもジョルディ・バレットのミスキックで地域を挽回できない。ラインアウト後、アーロン・スミスからのパスも正確さを欠き、リッチー・モウンガのパントキックは真上に上がってしまう。アイルランドもノットロールアウエー、ノッコン等をおかし、ミスのお付き合い。重要な一戦だからこその緊張感が漂っていた。しかしそんなナイーブな時間帯も開始2~3分だけ。その後は手に汗握る熱戦が繰り広げられた。お互いにミスやペナルティーは少なくなかったが、相手のプレッシャーゆえのミスやペナルティ、世界最高峰の攻防が繰り広げられた。

 勝ったのはオールブラックスだが、攻守ともにアイルランドの強さを感じた。オールブラックスのアタックはアイルランドのディフェンスをなかなかブレイクできないし、アイルランドのアタックは確実に前進しているように感じた。実際、アタックの数字、テリトリー、支配率、ランの回数、ゲインラインを超えるキャリー、ディフェンス突破回数等アタックの数字はほとんどアイルランドが上回った。普段、アタックの数字でオールブラックスが劣後することはないので、いかにアイルランドが強かったのかがわかる。
 しかし奪ったトライはお互いに3つずつ。ペナルティを得た際、キックをより多く選択したオールブラックスが、その分上回った。

 お互いのプライドがぶつかりあったと書きましたが、わずかにオールブラックスのプライドが上回った結果のように感じる。特に試合終盤、70分過ぎのアイルランドがモールで押し込んだ場面。トライと思われたが、ジョルディ・バレットのトライセーブでしのいだ。そしてラストプレイ、30フェーズを超えるアイルランドのアタックを、ペナルティをおかさずにしのぎ切った。最後はベテランのホワイトロックによるジャッカル。勝ちたい気持ちがわずかにオールブラックスが上回っていた。しかしその差は紙一重でしかなかった。




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