先生が好きだった(思春期の迷い)
中学生の時、先生に恋をしていた。
1年生の時に担任だったN先生。音楽の先生。
真面目で熱血で面白くて。一目惚れ。
思春期の時期、多くの人が経験あると思う。
先生に少しでも近づきたくて、音楽のことを色々と聞いた。
先生は地元の交響楽団に所属していた。
好きなクラシックの作曲家や曲を教えてもらって、ずっと聴いてた。
2年生になって担任も変わったし、音楽の授業も別の先生になった。
N先生とは、たまに廊下ですれ違うくらい。
なかなか話も出来なくて、つまらない毎日。
でも3年生。音楽がまたN先生になった。
嬉しくて嬉しくて。週に2回の音楽の授業が楽しみだった。
勉強は苦手だったけど、音楽は頑張った。
テストでいい点を取ると、必ず褒めてくれた。
そして、そろそろ3学期が終わるという頃。
「授業の前に報告があります」
そう言って、先生はゆっくりと左手を上げた。
薬指に、真新しい指輪。
みんなが一斉に歓声を上げた。
結婚したの?すごーい、おめでとう!!
大きな拍手が送られる中。
私は涙をこらえるのに必死だった。
別に、自分が先生の隣りに立てるなんて思ってない。
ただ、一方的に好きでいることも許されないのだな、と。
その後のことは、あまり憶えていない。
でも卒業式が終わってから「頑張れよ」と声をかけてもらった。
先生が「一番好きな曲が入ってる」と教えてくれたCD。
今でも時々、引っ張り出して聴く。
振り返ってみると「何であんなに好きだったんだろう」だけど。
先生のおかげで、クラシックはもちろん、色んなジャンルの音楽を聴くようになった。
先生には、とても感謝している。
今は違う中学校で教えていると聞いた。
恋に恋した、淡い思い出でした。
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