この世の最下層を作ってみた ~おじさん生態観察~ 起

世の中には出会い系のアプリが数多く存在している。それだけ出会いたいと考える男女が多いからだ。いや、本当に男女なのか?このようなアプリにおいて、必ずしも男女比が等しくなるとは限らない。業種や専攻によって性比が変わるように、アプリユーザーの性比もジャンルによって違う可能性はあり得るだろう。その証拠に、「男性だけ有料」となっている場合も多い。

ここで、疑問や不満を抱く人もいるだろう。これはジェンダーの平等を唱える今日の流れに反するのではないかと。この疑問と不満を解消すべく、実際にアプリについて調査してみることにした。

調査の方法はいたって簡単である。アプリに女性として登録し、男性側の反応を確かめるという手法だ。とはいえ、本来なら一筋縄ではいかない。アプリにアカウント登録する際に本人確認をしなければならないからだ。

今回使用したアプリはネット評価の中でもかなりひどいものを使用した。巷ではサクラが多いことで有名らしい。だが、検証に使うだけならそれくらいの質で構わない。男女とも完全無料で使えるうえに、本人確認すら必要ないという、怪しさ満載のアプリだ。早速女性としてアプリを使い始めた。(※)

するとどうだろうか。開始した直後からスマホの振動が止まなくなってしまった。それはもう貧乏ゆすりなんて規模ではない。マッサージができるくらいに震え続けている。何なのかと思ってみてみたら、始めて数十秒の時点で大量のメッセージが送られていた。プロフィール写真すら設定してないのにだ。これはスマホの電池が摩耗すると思い、通知を全て切ることにした。

本当に本物の人間から送られてきているのか?サクラも多いと有名なアプリだ。女性に限らず、男性も偽物が仕込まれているかもしれない。半信半疑で、チャットを開いてみた。

「こんばんは!おじさんと仲良くしませんか!」
「好きになってもいいですか?」
「お〇〇〇何カップ?」
「エ〇〇しようや」

これは紛れもない本物だ。実際には伏字にせず堂々と隠語を使っている。中には一通目からモノの写真を送りつけてくる輩もいた。返信してみたくなった。女性としてのキャラは、会話を通して構築していけばいい。会話の履歴を見られるので、矛盾が生じないようにだけ気を付けて、どれだけ会話ができるか試してみた。とりあえず、リアリティを出すため、みみという名前で演じることにした。名前にあまり深い意味はない。

さすがおじさん達、自身の欲への忠誠心には目を見張るものがある。アイコンも設定していないような、得体のしれない女の子に、積極的に関わろうとしてくる。さすが無料の質。無洗米をそのまま茶碗に盛り付けられた気分だ。洗わず、炊飯もせず、それでも腹は満たせそうだ。具材なら自分で調達できそうだからだ。

ひたすらに子孫繫栄の儀を実行したがる者が大半なのだが、その儀のためのアプローチとして、次のようにステップを踏んでくる。

おじさんが、
①名前を聞いてくる
②性癖を暴露する
③優しいフリをする
④顔や見たい部分の写真を要求する
⑤連絡先を要求する

人によっては②、③をとばして報酬を急ぐ者もいる。奥手なおじさんも、少しだけ欲望を聞き出すとすぐに掌で踊ってくれるようになる。④、⑤はみみちゃんに会いたいといったおじさん全員が行う通過儀礼となっていた。「多数の人が」ではなく、「全員が」だ。

脳みそが下半身についているのか。それとも、下半身という名の寄生虫に思考回路を乗っ取られているのだろうか。仲良くはなりたくないが、実際に見てみたくなってしまった。

おじさん達を一挙に集結させてみることにした。

※ 筆者は体も性自認も男性である。

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