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教師になろうと考えている大学生に伝えたいこと

先日、某教育系私立大学の関係者に聞いた話ですが、教員希望者がかなり減ってきているそうです。

各種報道でそういうことは聞いて知っていましたが、かなり深刻な現状があるようです。
同年代の人口比から考えれば教職希望者の割合は、世間で言われるほど減っていないというデータもあるようですが、絶対数が減っているのはどうも確かなようです。

また、教職を希望している大学生も「今の大変な学校の状況の中で、自分が本当にやれるのか」と不安を抱えているとも聞きました。
多くの教育系の大学では、そうした不安に対応するために教師としてのノウハウや指導技術など、学校現場ですぐに役立つ授業を重視する傾向が強くなるのも理解できます。

そうした状況を踏まえた上で、あえて学生の皆さんに伝えたいのは、学校現場に赴任したときの具体的な準備よりも、今しかできないことを重視してほしいということです。

大学にはたくさんの教授や准教授などの教員はいます。
最高学府の大学で教鞭をとっておられる先生方は、かならずそれそれの専門分野についての、深い造詣や知識があり、専門書もかなり読み込んでおられるはずです。

そうしたオーソリティが身近にいる環境は、一生のうちにそうそうあるものではありません。
だからこそ、そうした先生方と少しでも多く話をしてほしいと思います。
難しい専門書もそうした先生が身近にいる今だからこそ読めるのです。

私は個人的には、教師になる人にはボルノウとフランクルだけは大学時代に読んでおいてほしいと思います。
フランクルは、一人ひとりがすべて唯一無二の存在であるということを教えてくれますし、ボウルノウは教育の根幹について示してくれます。
いずれも、現代でも十分通用する内容です。

特にボルノウは、若干難解な部分や訳語では伝わりにくい箇所もあります。
そういうときに、身近なオーソリティに解説してもらうとスッと理解できることも結構あるものです。

教員というのは、ある程度経験を積んだときに必ず「転機」が訪れます。
「今のままでいいのか」
「本当に自分のやっていることは、意味のあることなのか」
という壁に遭遇します。
そのときに、拠り所となるのは、ボルノウやフランクルといった先人の示した理念です。
迷ったときに、戻れる原点を持っている人は強いのです。


禅の教えに「一息(いっそく)に生きる」という言葉があります。
「ひと呼吸するその瞬間、瞬間を一生懸命に生きよう」という意味です。
今、ここでできること、ここでしかできないことに全力を尽くすこと、それが人生を豊かにするという教えです。

将来設計は大切です。
夢や目標がなければ、今日という日に意味を見出せません。
けれども、それらはすべて「今、ここ」を拠点にしてはじめて意味を為すのです。

<追伸>
ボルノウの『教育を支えるもの』は、教員必読の書です。
ぜひ、大学生のうちに読み、教員になってからもいつもそばに置いておいてほしい一冊です。

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