くま

1961年生誕、元事業家。人生の終焉はまだまだやってこない。 いつも心に花束を。

くま

1961年生誕、元事業家。人生の終焉はまだまだやってこない。 いつも心に花束を。

マガジン

  • よし、ボートだ!

    かれこれ40年ほどの競艇人生(もちろん賭けるほう)で出逢った人々を記憶の底からサルベージしたよ。 ほんとにバカで、間抜けで、哀しく、愛おしい連中だ。よかったら読んでくれ。

  • 前立腺がんだって。なんだよ、それ!

    主人公の「俺」は、シモの異変に悩んでいた。ある日、専門医のもとを訪ねる。闘病記が始まった。

最近の記事

免疫を鍛えろって!#004

いちご、である。 いろいろ調べました。けっこう根掘り葉掘りひっくり返してみました。しかし・・ 欠点がなぁい!! と言うわけで、ウィークポイントの無いものは基本的に取り扱わない当連載としては・・論じない、ということになるのだが・・ かなり本格的に調べたので、あまり世の中に出回っていない情報も多くてさ。 これをこのまま捨て置くのも忍びない。ゆえに趣旨に外れるが、開帳しておこうと思う。 まず、植物としての系統。 なんと、バラ科の植物である。と言うことは親戚筋に桜や梅や桃が

    • よし、ボートだ!最終話

      トシユキくんとは電話の翌日、場ではなく市内のホテルの1階ラウンジで待ち合わせた。 「くまさん、僕、こんなとこ初めて。」 うん、それでどうしたの? トシユキくんは、一通の招待状を取り出し、是非来てほしいと言う。 結婚式の案内状、だった。 おいおい、これはなんだ、大丈夫か? 「僕、友達が少なくて・・くまさんは友達でしょ?ぜひ着てくださいよ、来てほしいな」 いやしかし、親子ほど歳が・・ 「大丈夫ですよぉ、『社長』にも来てもらうつもりだから。」 えっ、社長? 「はい、他にもみなさん

      • よし、ボートだ!第10話

        いよいよトシユキくんだ。 彼は既に何度か登場しているが、ほんとうに不思議な青年だ。僕が知る限りこういう雰囲気のニンゲンは彼ひとりしかいない。 出会いは、もちろん競艇場だが客同士というわけではなかった。 彼は予想紙を売る売店の店員で20代半ばぐらいだったと思う。案外いいところをつく予想紙で、当時の僕は随分とお世話になった記憶がある。 ある日、帰りがけ不意に肩を叩かれた、トシユキくんだった。 「こんばんはぁ、いつもおせわになってまぁす。」 あぁ、売店の・・ 「どんなお仕事さ

        • 免疫を鍛えろって!#003

          アボカド。 この中南米原産の果物、知らない人はいないよね。さて、このアボカドという名前、何語だかわかりますか? 答えは日本語。 中南米、なかでもメキシコを原産とするためスペイン語圏の植物だ。もちろんスペイン語の中に・・あった!アボカド、スペルはabocado、意味は・・「弁護士」? この果物、正しいスペルは「aguacate」。外来語が入って来る時の取り違えや混同はよくある話で、英語になる時aguacateがavocado(bがvに)に取り違えられ、近代日本ではアメリ

        免疫を鍛えろって!#004

        マガジン

        • よし、ボートだ!
          12本
        • 前立腺がんだって。なんだよ、それ!
          20本

        記事

          よし、ボートだ!第9話

          どちらかと言えば、麻雀の人である。 なんというか麻雀には不思議な流れがあって、些細なきっかけから運気がごっそりと移動することがある。 そういうのの後ろ髪をぎちっと掴み、一気呵成の勝負にする嗅覚というか本能というか・・不思議なほど負けない。 何度か背後で見学したが、打ち筋が読めない。3巡目に降りてしまったかと思うと、バラバラな手をほんの数巡後には立派な三面張の満貫に仕上げたりする。牌の裏側が見えているかのような、変幻自在としか言えない打ち手である。 じゃぁ常勝かと言えばそう

          よし、ボートだ!第9話

          免疫を鍛えろって!#002

          ウォーキング。 もう遍く全人類が理解しているであろう真理、「歩くことは体に良い」。 当たり前すぎて涙が出そうだが、このウォーキング、やり方次第では毒にもなるのだ。 まず一日10,000歩。知ってる人は知っている、これがそもそも間違い。 人種的な差異もあるが、男性8,000歩・女性7,000歩程度がベスト。しかも漫然とした歩数だけのウォーキングは効果30%だそうだ。一日終わって万歩計の数字を見る、「今日は11,000歩か、歩いたな。」は正直何の意味も無いどころか、関節を痛め

          免疫を鍛えろって!#002

          緊急寄稿;大谷選手のこと。

          大谷選手、今朝声明というか質疑応答はなかったけど会見に近い席を設けましたね。大変、良かった!全ての嫌疑を否定しました。 どう考えてもsport bettingなんかするわけがない。そんな時間があったらバットを振りトレーニングに没頭しているに違いない、純粋な野球少年、悪く言えば野球バカの大谷選手は、賭博などと言う「僕たち」が憂さ晴らししている下賤な世界に堕ちてくるはずかない。 とは、分かっていても疑いは残る。 最大の謎と報道されている「本人が知らない内に巨額な資金が消えた。

          緊急寄稿;大谷選手のこと。

          よし、ボートだ!題8話

          たぶっちゃん。 デブのたぶっちゃんは、もちろん田渕という名字で、当然のように汗っかきだ。3月の半ばから半袖のシャツを着て、フゥフゥ言ったまま12月初頭まで大汗を掻いている。 彼とは本来仕事上の付き合いだった。彼が僕の会社に飛び込み営業してきたのだが、なんとなく既視感があり良くしてしまった、そうこうしている内に客先をお互い紹介しあうような関係になった。 たぶっちゃんはデカい体躯ながらなかなか小廻りの効く男で、いつも一生懸命に「見える」その大汗で得をしていた。いや、もちろん仕

          よし、ボートだ!題8話

          免疫を鍛えろって!#001

          「前立腺がんだって。なんだよ、それ!」で主人公をしている「俺」です。 主治医「渡辺」は沈着にして冷静、今後を左右するのは俺自身だそうだ。 まあ、できることは限られている、免疫力をあげることぐらいだ。ことぐらいっていい切ってるけど、雲をつかんだり離したり・・ 身体のことなど省みることのなかった60年。そのしっぺ返しが前立腺がんならば、それに立ち向かうことも自ずと可能、雲を掴むような話しだけど。 そんなわけで「免疫力」という魔法の力を高めるためのあれこれや、鍛え伸ばすそのメ

          免疫を鍛えろって!#001

          よし、ボートだ!第7話

          ゆうじは、新聞配達をしている。 ゆうじは腕の良い旋盤工だった。 工業高校を卒業し、地元の町工場に勤めた。小さい工場だったが、世界的な大企業や海外の今で言うスタートアップとも取引する、山椒は小粒でピリリと辛い職場だった。 ある日、資材を山積みにした台車を押してきた同僚が誤ってそれをひっくり返す。下敷きにはならなかったが左腕を弾かれ、旋盤に持っていかれた。 「いや、一瞬で」 左手の小指、薬指、そして中指を半分がた失った。 完全な労災だが、当時の慣習や暗黙の了解や、つまり大人の

          よし、ボートだ!第7話

          前立腺がんだって。なんだよ、それ!#019

          ご無沙汰! 3カ月ぶりの検査は・・ なるほど、0.001。 順調に効いている。 リューブロレリン+ビカルタミドの強力チームは、俺の身体との相性も抜群なようだ。 「このまま、うん、やっていけそうですね。」 ついに0.001、0までいきそうだね。 「うーん、もちろん計測不能なところまで、一度はいっておきたいですが・・」 「特にそこへ届かなくても、十分な、・・成績です、かなり有効です。」 やっぱり効かなくなっていくもの? 「不思議なもので、生物は生命の危険にさらされると必ず

          前立腺がんだって。なんだよ、それ!#019

          よし、ボートだ!第6話

          馴れない社長業は「社長」を苦しめた。「こんなんやけどまぁナイーフな、あ、ナイーブ?」 かなりストレスを溜めたようで、いわゆる10円ハゲがいくつもできた。胃も壊した、初めて医者の世話にもなった。 そんなわけで会社の舵取りは古参の番頭にまかせ、自分は客先を訪問するいわゆる「トップ営業」に返り咲いた。 「やっぱり、気分がちゃうねぇ」と太っ腹な約束を重ね、現場担当にはかなりの負担をかけていたそうだ。 そうこうしている内に業績は落ちていき、地震やら山一やらがとどめとなって遂に廃業に追

          よし、ボートだ!第6話

          よし、ボートだ!第5話

          黒のサテン地のシャツはエジプトの神様も頬を赤らめそうな派手な縦基調のプリント。時計もバックルも金ピカだ。 黒黒とした頭髪は強い香りの整髪料で固められ、大ぶりの黒縁メガネには薄い紫色のレンズが入っている。 クロコだかオストだかのクラッチバッグに、よく磨き込まれた黒革のウィングチップ、ノッシノッシと近づいてくる。 「社長」だ。 どう見てもスジ違いの方にしか見えない。できることなら関わりたくないと皆が一同に声を揃えるタイプ。 それが「社長」だ。 「おぉ、どうだい、今日の具合

          よし、ボートだ!第5話

          よし、ボートだ!第4話

          彼は、ヨッちゃんと呼ばれていた。 名前だか名字だか、とにかくヨッちゃんはいつもニコニコしていた。いつも腰に汚い手拭いを下げていた。 幾つぐらいだったのか・・多分50〜70代、いるでしょ、そばに、そういう年齢不詳な人。 ヨッちゃんは小柄だ、160cmは無かったと思う。尋常ではない日焼けで真っ黒な顔の上には、あの、なんだ、市場の競りで被っているキャップ、前に数字が書かれた札がついた、それのような青い帽子をいつもかぶっていた。 魚河岸か中央市場かに勤めているのだろうかと思って

          よし、ボートだ!第4話

          よし、ボートだ!第3話

          その年も終わろうとしていた。 考えてもみたら、マキオさんと再会して僅か一年しか経っていなかった。 驚愕した。 あまりにも濃厚で強烈な毎日が続いていたので、何年も経っているような錯覺を覚えていた。 僕たちのホームは、3場。あと車でなければ厳しい2場も、開催次第ではよく詰めた。 この5場を知り尽くしていたとは言えないし、各支部に所属する選手を完璧に熟知していたわけでもない。とにかく情報をかき集め、整理し、検証することを繰り返す日々だった。 少なくとも僕にとっては、その毎日の努

          よし、ボートだ!第3話

          よし、ボートだ!第2話

          初めての競艇は、いろいろ教えられながらよくわからないまま、勝った、いや勝たせてもらった。 しばらくは休みも合わず、開催も合わずで競艇場に行くことはなかった。 何度目かの誘いに休みが合った。 今度の場は、大都会の真ん中にある。メッカとも呼ばれるそこは、異様な熱気の中にあった。 「今日は大きい賞金が掛かったシリーズの準優だ。」 ? 「明日の優勝戦に乗る6人が決まるんだ。分かるか?ほぼ全ての開催は6日間の闘いだが、最終日最終レースに選ばれ勝つためにみんな鎬を削っているわけだ。

          よし、ボートだ!第2話