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小説 旅の終わりに

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派遣である程度お金が溜まったら、旅に出るスタイルが気に入っているオレ。派遣先の嫌な上司から逃れて、勝手気ままな旅にでる。まあ、こんな生活もいつまで続けられんだろうね。そんなオレの… もっと読む
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記事一覧

旅の終わりに 第1話

 俺は未だ正規社員じゃないし、正規社員というものに憧れもない。また、そうなるべきだという気持ちもない。適当に貯金が貯まったら、旅に出るのが、俺の生き方だ。  旅の足はくるまだったり、バイクだったり、電車だったり、いろいろだ。海外への旅にも目が行くが、自由が効く国内がいい。最悪、お金が続かなくなったら、その土地でアルバイトすればいい。  俺はそんな生き方が気に入っている。だから、30過ぎても一人身だ。俺んちは、安いボロアパートの1DKで、家賃3万円。ボロいけど、風呂もトイレ

旅の終わりに 第2話

「こんにちは。」 声を掛けたが、誰も出てこない。人いるのかな。いつまでたっても、誰もでてこない。やっぱりダメか。諦めて帰ろうとして振り返ると、目の前に女の人が立っていた。 「うわっ。」 全然、気配がなかったので、びっくりした。 「お泊りですか?」 「はい。」 「一泊ですか。」 「はい。」 この人、全然表情ない。幽霊みたいだ。髪の毛長いし、前を隠して白い衣装きたら、あの怖い映画の人みたいだ。大丈夫なのかな。 「夕食と朝食付きで、8千円です。」 「あ、はい。」 安いな。金額的

旅の終わりに 第3話

 とにかく、あの女のそばから離れてしまいたかったので、くるまを走らせた。連絡先の交換などしてなかったので、二度と会うこともなかろう。俺は公園の駐車場にくるまを止めて、寝ることにした。人の善意を無茶苦茶にするやつもいるもんだ。改めてそう思った。  翌朝、俺は更に北上を続けた。のんびりした田舎の方がいい。まだまだ、お金の方は大丈夫だ。のんびり行こう。  数日後、俺は切り立った崖から海を見つめていた。水平線が上下に分ける海と空。下を見ると、波が水しぶきを上げている。潮風は気持ち

旅の終わりに 第4話

「お久しぶりです。」 「おお、青島さん、久しぶり。また、来てくれるん?」 「はい、よろしくお願いします。」 みんなに歓迎されるのはいいもんだ。 「青島クン、待ってたのよ。」 「すみません、遅くなりまして。」 「早速だけど、〇〇プロジェクトに入ってもらって、・・・」 というわけで、また木島さんとこで働くことになった。次回の旅はバイクで走ろうと思っているので、安いのを見つけておこう。  で、これまた早速で俺の歓迎会となった。急なんで、全員ということにはならなかったけど、10人

旅の終わりに 第5話

 ふと気が付くと、雨は小降りになっていた。もうちょっとしたら、走りにいくかな。 「コービー飲む?」 「苦いの苦手。」 「そっか、それじゃ、ミルクと砂糖入れたら?」 「それなら、飲む。」 俺は甘目のコーヒーを作ってあげた。 「おいしい。」 こんな甘いのがいいのか。コーヒーはやっぱり、ブラックなもんだろ。  雨はそのうちやんだ。俺たちは念のためカッパを着たまま、走りだした。景色のいいあの場所へいくのだ。 「あ、虹・・・」 「ほんとだ。」 その場所に着くと、虹が見えた。広大な景色

旅の終わりに 第6話

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旅の終わりに 第7話 (終)

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