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小説 占い師ケン

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繁華街で占いをして生計を立てているオレ。まあ、スナックのお姉さんたちがメインのお客さまだが、たまにサラリーマンやOLさんもやってくる。営業時間は夕方から2、3時間。そんなまったり… もっと読む
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記事一覧

占い師ケン 第1話

 オレは占い師。いろんな占いがあるけれど、それはまあ、たいていは統計学上の占いが多いと思う。遠い昔から占いはされてきたんで、それなりにかなり研究されて、当たる確率が高いものが多いと思う。でも、オレのは違う。多分そのどれにも当てはまらない。  オレはいつものように、夜7時くらいに占いを始める。店は繁華街の路地に構えている。だけど、ものの2~3時間ほどで、店仕舞いだ。それでも、一応、毎日やることにしている。まともにサラリーマンをやってもよかったんだが、自由気ままにやれるこの仕事

占い師ケン 第2話

 繁華街の路地で商売していると、たまに暴力団関係の方から、声を掛けられることがある。まあ、そういうときは格安で占ってあげると、問題ないことが多い。多いということは、ちょっとは何かあるのか?と思われるだろう。たまにはそのちょっとがある。親分さんを占うことになって、事務所までいくこともあった。さすがにビビったが、優しく対応してもらえたので、ほっとした。  ある時、どうしてもオレの弟子になりたいという女の子が来た。それは無理だと言ったが、聞かない。オレの占いは統計学じゃないし、い

占い師ケン 第3話

 小声とはいえ、オレにはしっかり聞こえた。オレの善意は、あの映画の犯人と同じなのか。あまりにショックだった。おもいっきり、落ち込んだ。その日は部屋で寝込んだ。誰の電話も出なかった。翌日も寝込んだ。食事も採る気もなかった。その次の日、オレの部屋のドアのベルが鳴った。何回も、何回も・・・そのうち、ドンドンと音がした。でも、オレは出る気が起こらなかった。だが、しばらくしてドアは開かれ、人が入ってきた。 「ケンちゃん、大丈夫なの?」 「あれ?ゆうこママ?恵子も?」 「ほんと、心配し

占い師ケン 第4話

 未希さんは最小限の身の周りのものを持ってきて、オレたちは同棲をはじめた。一緒に住むというのは、いろいろと勝手が違ってくる。オレ一人ならよかったことが、だめだったりする。占い帰りの炉端はほぼなくなった。いつも未希さんと晩御飯を囲んだ。未希さんの要望は、そんなに気にならなかった。一か月暮らしてみて、オレは未希さんとの生活を満喫していた。 「そろそろ1ヵ月ね。どう、一緒に暮らしてみて?」 「こんなに楽しいとは思ってなかったから、最高だね。」 「じゃあ、本当に越してきていい?」

占い師ケン 第5話

 また、オレひとりの生活になっていった。オレはこんな生活がすっごく気に入っていたはずなのに、なぜか淋しい。それはオレの気持ちがだんだん変わってきたからだろう。もしかしたら、少しづつ大人になってきたからかも知れない。  占いには、いろんな人がやってくる。本当に悩んでいる人、興味本位だけの人、付き合いできた人、自分のことが分かっていない人・・・。オレは見えた通りに話している。たいがい、女の人は付き添いがいるケースが多い。  ある時、その付き添いの人の未来に霧がかかっていること

占い師ケン 第6話

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占い師ケン 第7話

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占い師ケン 第8話

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占い師ケン 第9話(終)

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