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私は、もともと会社勤めをしていたけれど、会社に黙って、ネットショップを副業としてはじめたことから、生き方が大きく変わってしまった。 初めは、本当にお小遣い程度の売上だったけれど、やりはじめて2年を過ぎた頃から、会社員としての給料より多く稼げるようになったので、一大決心で会社を辞めた。もう完全に、収入源はネットショップ一本にすることにしたのだ。 確かに安定した収入があるわけではないけど、年間で平均すると、私には十分な収益だったのだ。住んでいる家賃もちゃんと払えるし、食
しかし、ひどい男もいるもんだ。自分の不満のはけ口なのか、弱い者をいじめる性格なのか、私にはわからないけど、旦那さんが変わるとは思えなかった。だが、2,3日して、彼女はうちに飛び込んできた。 「高木さん」 「あれ、斎藤さん、いらっしゃい。」 玄関のドアを閉めたとたん、へたりこんだ。 「大丈夫?」 スカートから見えた足には、青い痣があった。彼女の唇からは血が見えた。私は洗面台へ連れていき、絞ったタオルを渡した。 ようやく、リビングの椅子に腰かけた彼女は、あまりに痛々しか
「改めまして、近藤と言います。よろしく。」 「私は高木です。よろしくお願いします。」 近藤さんは、定年退職してアルバイトを週3日しているとのことだった。サックスは一度吹いてみたいと思っていたので、一大決心して通うことにしたとのことだった。 「で、高木さんは?」 「私も同じですよ。一度、吹いてみたかったんです。」 「失礼ですが、お仕事は?」 「無職です。」 「世間で言うところの、ニートということ?」 「いえ、ちゃんと一人で暮らしています。無職というのは、自分の職業をどのよう
翌日、私は役所へ行ってみた。まず、自分の戸籍謄本を取り寄せて内容を確認した。すると、意外なことがわかった。私は養子だった。じゃ、本当の両親は一体誰なんだ。教えてもらえるだろう両親はもういない。私のルーツが問題なんだろうか。こういうことは、どこで聞いたら教えてもらえるんだろうか。うちに帰って、ネットで調べてみた。児童相談所、家庭裁判所、そんなとこで教えてもらえるんだろうか。とにかく当たって砕けろだ。 瑠璃さんから連絡がきた。 「智志さん、父が二度と会うなって。」 「なんだ
その夜、私はベランダで一人飲んでいた。たまには夜風のそよぐ中で飲むのもいいもんだ。ベランダの遠方に街明かりがポツポツ見える。瑠璃はどうしているんだろうか。あれから、数か月経った。私は電話番号もメールも変えたが、まだ、彼女の連絡先を覚えている。声が聴きたい。彼女のぬくもりが恋しい。遠くから見るだけでもだめだろうか。会いたい・・・ 翌朝のランで、また、桜井さんが追い付いてきた。 「おはようございます。」 「ああ、おはようございます。」 「いつも早くから走ってらっしゃるんで
「今日はありがとうございました。」 「気を付けて、お帰り。」 「はぁ~い、気を付けま~す。」 「じゃ、またね。」 「はぁ~い、じゃぁ、またで~す。」 そういいながら、一応、駅まで送っていった。結局、彼女は私のことは何も聞いてこなかった。まあ、それが心地よかったのかも知れない。私は部屋に戻っても気分がよかった。たまにはこんな日があってもいいと思った。でもやっぱりくたびれて熟睡してしまった。 私は毎朝走っている。3パターンのコースを考えて、その日の気分で、走るコースを変えて
そのうち、週2回の練習にギャラリーが出来てきた。何それ?私はびっくりした。だって、聞いてほしくて演奏しているわけじゃないし、ここでしか練習できないからやっているわけで、なんでギャラリーがいんの?