帰りたい

<帰りたい>
帰りたい
そう思うと同時にどこへという声がする
家族のもとへ、森のなかへ、あるいはゼロの世界へ
ここではないどこか
私を包んでくれるどこか
そこにいてもいいと許してくれるどこか
誰もいないどこか
誰かがいてくれるどこか
私は遠い所からやってきたと思えるところ
もう先に行かなくてよいと思えるところ
時計がないところ

帰りたい
そう思うとき、私は何を見ているのだろう
鳥の声は聞こえず、風も吹かない場所
私が放り出されたところ
夢の捨て場所

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