再会

<再会>
もうお会いすることはないでしょう
蝉の声がいつまでも衰えない夕暮れ
遠くで雷が鳴りだしました

相まみえたのはもう7年前
手紙もメールも途絶えて
噂を伝え来る人もなくなりました

再びお目にかかることはないでしょう
それなのに忘れることはできそうにありません
その声、仕草、横顔と手紙の文字

何がきっかけになるのか
散歩の橋の上であるいは
台所の窓から見える梢のそよぎの中に
毎回、初めてのようによみがえってくるもの

もうお目にかかることはないでしょう
それなのに忘れることはないと思い直すのはなぜでしょう
遠い日の思い出はすでに私のもの
誰にも渡さずにとってあります
いつまでも何度でもよみがえり
そのたびに新しい姿で生まれ直してくるのです

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