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徒然日記|工事現場のおじさんと仲良くなるには

 帰り道、小学生が工事現場の警備員さん(?)に挨拶しているところを見かけた。おっ、珍しいな、と思ったら、もっと珍しいことに警備員さんがにこにこと話しかけていた。ふたりは知り合いだったらしい。
 なんて素敵な光景を見たんだ……! と胸がほかほかした。警備員さんとランドセルが背中よりも大きいような小学生がどうやって仲良くなったのかはわからないが、なんとも温かい気持ちになる光景だった。
 わたしも、工事現場のひとたちにお世話になったことが何度もある。
 実家の建て替えのときは、新しく徐々にできていく家の中や足場をうろうろと歩き回り、大工さんたちにお世話になった。そのとき、特に仲良くしてくれた人のことを、今でも鮮明に覚えている。どうやら、ほかの建設会社からのお手伝いさん(?)のような人だったようで、毎日くるわけではなかった。今日はいるかしら、明日はいるかしら、とまだできていない家を訪れて、そわそわしていたのを覚えている。
 また。高校時代は自転車でこけたところを助けてもらった。下り坂を下りきったところで急に飛び出してきた人がいて、慌てて急ブレーキをかけたわたしはあわれ、自転車から離れて宙に浮いた。そののち、地面にたたきつけられた自分を助け起こしてくれたのが、近くにいた工事現場のひとたちだった。外れたチェーンまでちょちょっと直してくれて、ほんとうに感謝したのを覚えている。
 あれから、工事現場のひとや、駐車場の前で交通整理してくれる人の前を通るたび、頭を下げて、できれば「ありがとうございます」というようにしている。自転車で走り抜けるわたしの声は、たぶん聞こえていないので、自己満足に過ぎないのだが、自転車の上でするぎこちない会釈だけでもわかってもらえたらいいな、と思っている。
 あの小学生の彼も、こけているところを助けてもらったのかもしれない。わたしはおじちゃんたちの顔は覚えられず、工事がその後終わってしまったこともあり、友情は育めなかった。どういういきさつにしろ、見ず知らずの人と友情を育める彼には敬服するのみだ。

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