凛葉楓流

リバプールだけどビートルズマニアというわけじゃないです

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最近の記事

2022年ベストアルバム9選

うーん、あんまり僕が書くようなものでもないような気がしちゃいます。だってTwitterを見て、みんなが聴いてるものを聴いてるだけだし、新譜に対してはどこまでも受動的だし。 というか、今年はsyrup16gとART-SCHOOLとPeople In The BoxとThe Novembersの年だったし……。 まあ、そんなことは置いといて、あくまでも記録として。邦洋も一括りにして、今年のアルバム9枚を紹介していきます。 4s4ki - Killer in Neverlan

    • blgtzを聴け。

      ”ミュージシャンズ・ミュージシャン”なんて言葉がある。 肯定的な意味で使われることはほぼないと言ってもいい。(理解のないクソサイトでは)the pillowsの代名詞的になっちゃてるし、なんならザ・バンドにも使われてることもある。 まあ the pillowsなんてまだマシでSpotifyの月間リスナーは30万人近くいる(*2022年12月)からいい方で、これから僕が紹介するのは月間リスナーが300人くらいしかいない”ミュージシャンズ・ミュージシャン”だ。 僕が彼の名前を

      • syrup16g入門アルバムランキング

        11月23日に新アルバム『Les Mise blue』を発表するsyrup16g。そんな時流にちょっと便乗して、syrupを語りたくなりました。 個人的なことになりますが、今年から一人暮らしを始めました。 夜中に一人で出歩くことも、一週間カップ麺でも、掃除も洗濯もしなくても、引きこもっていることも、自由なわけです。 だけど何か満たされないし、何もしないまま一日は過ぎる。自由という見えない虚無に恐ろしさを感じて、だけどこの部屋から動く気力もない。気づけばラジオから朝の挨拶が聞

        • 『廃市』と日本の夏

          大林宣彦観たことないので、教養として観ておこうと思い立った。近所のTSUTAYAに行ったら『転校生』がリメイク版しか置いていない。 最初からリメイク版ってあんまり良い方法じゃない気がして(市川崑の『犬神家の一族』もリメイクから観たが、あんま印象良くなかった)、散々悩んで、近くにあった『廃市』を手に取った。 1983年作品。福永武彦原作、らしい。 鑑賞後、本当に良い映画に出逢えたと感じた。 よくよく考えれば、大傑作というわけじゃない。なんならちょっとB級感のある映画で、ど

        2022年ベストアルバム9選

          『プラネットフォークス』とジョー・ストラマーと羊文学

          本題に移る前に、ちょっとクラッシュの話をしようと思う。僕は連載企画としてクラッシュについて書こうと考えていた……のだが、未だに記事は第一回で止まってしまっている。 言い訳するが、大傑作ロンドン・コーリングの記事を書くのは勇気が要る。ブログや雑誌の記事でクラッシュに触れたものがあまりに多く、詳細で、深い考察があるので、自分が書く意味を見いだせなくなるのだ。 でもそれ以上にクラッシュというバンドそのものの本質を捉えることがとても難しい。 ◆ザ・クラッシュの誠実さ 彼らのライ

          『プラネットフォークス』とジョー・ストラマーと羊文学

          ザ・クラッシュについて

           僕はロックが大好きだ。でも"ロック"なんてものを正面から論じようとすればするほど、その本質は見えなくなってくる。  "ロックンロール"ならばある程度の定義はできるだろう。8ビートだとかペンタトニックスケールだとか言って。でもその音楽性に一貫性はないような、ビートルズもメタリカもレディオヘッドもThe1975だって、みんなロックバンドだと言われている。  けれど僕は陳腐なロックスピリッツの話をしたいわけじゃない。もちろんロックスピリッツの話ではあるのだけれど、古臭い精神論で

          ザ・クラッシュについて

          卒業と僕とロック

          スマホに溜まった写真を辿っていくと、サムネイルのこの写真を見つけた。高一の5月に撮った写真だ。この写真はお気に入りだ。青春の象徴のようで。でも気づけば三年が過ぎた。 "青春時代が終われば 私たち生きてる意味なんてないわ"         -羊文学『若者たち』 こんな言葉を思い出していた。 高校生という資格も無くしてしまった。 生きてる意味を本当に見失ってしまったような気がする。 それは別に、僕の青春が輝かしかったからじゃなくて、だからといって真っ暗な日々だったというわけ

          卒業と僕とロック

          Fontaines D.C.のあざとい新曲について

           Fontaines D.C.の新曲、『Jackie Down the Line』がとても良かった。4月22日リリースの新アルバム、『Skinty Fia』からの先行曲として先日発表された。  まずはMVを見て欲しい。  まず目を引くのは4:3のアスペクト比。どこか懐かしい印象で何かしらのオマージュであることがわかる。  そして地面に散らばる薔薇の花。倒れ込んだバンドメンバーたち。完全にザ・スミスである。  ボーカルのGrian Chattenが上目遣いで私たちを見る。そ

          Fontaines D.C.のあざとい新曲について

          【小説】 サハラで紅茶を

          『紅茶の起源は、中国人が緑茶を売る際にゴミや豚糞なんかを混ぜて、ヨーロッパまで運んでいるうちに発酵してしまったことなんだって』  いきなりそんなことを言われた。何の脈絡もなく。コーヒーチェーンで彼はブレンドコーヒーを、私は紅茶を飲んでいた。期末テスト直前の平日のデートにちょっと後ろめたさも感じつつ。  二月なのに雪はなく、冷たく突き刺さる風ばかりが吹く嫌な日だった。駅前のアーケード街を歩く人々のほとんどがコートを着ている。制服を着た私はそれを向かいの窓から眺めていた。

          【小説】 サハラで紅茶を

          二月に三月を想うということ

          朝起きると12時を過ぎていた。もう朝じゃなかった。三度寝くらいしていたみたいだ。 夢を見ていた。商店街の隅にある、あのレコード屋にいく夢。その夢の中で何をしたのかは忘れてしまった。 そのレコード屋には一年前に行ったことがある。レコードプレーヤーは持っていなかった。代わりにCDを何枚か買った。1000円くらいだったと思う。Nirvanaのブート、ClashのCut the Crap、Stevie Ray Vaughanのコンピ(マーティン・スコセッシ監督の選曲のやつ)。それ

          二月に三月を想うということ