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シンシナティ市での階段アートプロジェクト

case | 事例

  • オハイオ州シンシナティ市には約400の公共の階段があるが、シンシナティ大学近くの2つの階段に新しい壁画と看板が設置され新しくなった。このプロジェクトは「より多くの階段を改善し、人々が家や車から公共スペースに出て歩くことを促す活動のスタートである」と、シンシナティ大学の研究責任者は言う。このプロジェクトの発端は2019年、カリフォルニア大学デザイン・建築・芸術・計画学部(DAAP)の助成により、コミュニティを豊かにするプログラムを研究・開発することから始まった。

  • プロジェクトは研究者のほか、シンシナティ市、地域の非営利団体、住民などと共同で階段改善の実証実験を進めることから始まったが、計画学の公共空間に関する専門家、壁画に関わる専門家も参画し、アート、公衆衛生、都市デザイン、都市計画、地域計画すべてのつながりを重視して進められた。シンシナティ市の体験型グラフィック・デザインチームの担当者は、今後の目標を「サインとプレイスメイキングを活用することで、市の公共階段を通じて地域コミュニティを再びつなげ、近隣のアイデンティティ、誇り、住みやすさを促進すること」としている。

  • プロジェクトの総費用26,300ドルのうち、市は設計、製作、施工監督に10,500ドルを拠出した。9月下旬に2つの階段のテープカットが行われたが、この取り組みはまだ緒についたばかりである。

insight | 知見

  • 都市の政策としてアートをどのように活用するべきかは決まったセオリーはないと思います。記事のシンシナティ市は、地域コミュニティ・近隣のアイデンティティ・誇り・住みやすさを主眼に置いていますが、福岡市の「Fukuoka Art Next」プロジェクトは、アーティストの成長支援や国内外への発信を重視した政策です。その他、賑わいや滞留をもたらすためにアートを活用したり、道路の危険箇所の注意を促すためにも活用したりする事例があります。

  • 記事で公衆衛生、都市デザイン、都市計画、地域計画とアートとのつながりを重視したと示されていますが、アートは都市の様々な政策と関わりを持つことができるので、単一の行政部門がテーマを限定して縦割りで取り組むのではなく、あらゆる行政部門においてアートをどのように市民サービスに活用するかを明確にすることが重要なのではないかと思います。