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ブリュッセル市は電動キックボードシェアリングの運営企業との訴訟で敗れる

case|事例

ブリュッセル市は、電動キックボードの配備台数と運営企業数に制限をかける予定だったが、それを不服とする運営企業が起こした訴訟に敗れた。ブリュッセル市は、不適切な駐車や車両の放置などで歩道が雑然としている状況に対する市民からの苦情に対処するため、2月1日から配備台数を20,000台から8,000台に減らし、運営企業も現状の7社からBottとBoltの2社に限定し許可することを予定していた。しかし、運営企業を選定する入札に負けたLimeとVoiが入札プロセスの不透明さなどを争点に訴えを起こしていた。

ブリュッセル市は、運営企業との協議などを経て、2023年末に運営企業の選定を行う入札を行っている。入札プロセス中には、電動キックボードに起因する社会問題や駐車問題などの解決策を全7社から提案を受け付ける機会を設けており、運営企業数および配備台数の制限は入札に参加した企業すべてから求められていた。

Lime社は「選定プロセスに重大な欠陥があり、今回の入札は不透明である。Limeが世界中で培ってきた経験が評価されておらず、30日という短期間での評価には無理がある。」とコメントを発表している。Voi社「オスロやストックホルム、ベルリンなどでは、行政とのパートナシップのもと、事業を成功させてきた。ブリュッセルとも協力し、共通のビジョンに向けた努力をしていきたい。今回の訴訟は創出した雇用の維持のためのやむを得ない最終的な判断だ。」としている。

insight|知見

  • 入札に負けた企業の負け惜しみじゃないかと首をかしげたくなりますが、官民で新しいサービスを導入していくときの教訓にもなるように思います。

  • サービスを拡大するよりも縮小する方が軋轢を生みやすいため、小さく始めることや参入の条件やサービス許可の条件をできるだけ具体的に定めることが重要なのではないでしょうか。

  • ライドシェア問題も同様だと思います。無条件で規制も弱い状況で開始するということは、混乱が万が一生じた場合や安全性が損なわれるような事案が生じた場合に適切なコントロールをする規制手段がないということも含意されるように思います。