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メルボルンは電動キックボードの安全利用を先進技術の適用で試みる

case|事例

メルボルン市は、電動キックボードの安全利用を先進技術の適用で実現することを目的とした実証実験に着手する。実証の開始に先立ち、GPSやカメラが搭載された新しいタイプの車両25台が公開された。今回の実証実験では、カメラやGPSを用いて違法な利用を検知し音声による警告を行うことで、違法な歩道走行や都市空間の乱雑化を防ぐ。

メルボルン市は、2022年2月に電動キックボードのシェアサービスを導入し、導入以来延べ500万回(1日平均6,000回)の利用実績がある。また、メルボルン市は、電動キックボードの導入によって市内のビジネスやアクティビティへのアクセシビリティが高められていると評価もしている。一方で、ルールを守らない利用や迷惑行為に対しては市民から根強い不満や不安が寄せられている。今回の実証では、このような市民の不安を軽減させると共に、交通体系のミッシングリンクを埋めることが期待されている。

既にサービス提供を担うLimeやNeuron Mobilityは、位置情報によって指定された駐車区画へ直接誘導するシステムを導入しており、駐車の適正化は効果を得ている。他にアルコール検知や利用者の識別システムなどの新たな技術開発も行っている。

メルボルン市は、電動キックボードの導入以来、計400トンのCO2削減効果が得られていると試算しており、また利用の40%が公共交通端末としての利用であることから、電動キックボードが公共交通の利用促進やさらなるCO2削減にもつながると期待している。

insight|知見

  • メルボルンをはじめとしてヨーロッパやアメリカの都市では、電動キックボードの安全性を高め、うまく既存の公共交通体系にインストールしようということを考えています。

  • 位置情報を用いた遠隔管理、違法利用やマナー違反の検知なども日本より進んでいます。また日本のように利用者の裾野を免許保有者よりも広く想定し、ヘルメットなども努力義務にとどめるなら、代替的な安全確保の措置が検討されて良さそうな気がします。本来は両方とも必要でしょうけれども。

  • また、都市の総合的な交通体系をより魅力的にするために、電動キックボードでギャップやミッシングリンクを埋めるという考え方も、日本の交通計画で参考にしたいところです。電動キックボードに限らず、自転車なども同様ですが。