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オインクゲームズ『月面探検』が来たぞ!『海底探検』とはまた違う協力ボドゲの面白さ

 大変ご無沙汰しました、円井零です。

 早速ですが、3月20日、オインクゲームズさんから新作が届きました!

 新作3つが一気にドドドーン! と家にやってまいりました。

 そりゃテンションブチ上がるってもんですよ。

 この3作は、オインクゲームズさんが初めてクラウドファンディングで制作したもので、今年2月2日からKickstarterで募集されていました。
 一般販売はまだですが、今週末、3月28日に開催の「ゲームマーケット2021大阪」で出品されますよ!

 ゲムマ行ってみたいなぁ……。

(あ、ドドドーンがカブってる。)

 本当はザックリ3作一気に紹介する気だったんですが、長くなっちゃったので、今回は『月面探索』オンリーです!
 拡張の『宇宙兄弟スペシャルエディション』にも触れますよ。


足の引っ張り合いチキンレース『海底探検』が完全協力ゲーに!

 栄えある1回目のゲームマーケット大賞も受賞した『海底探検』。

 サイコロを振って、並べたチップをマス代わりに進んでいく、すごろくっぽいこのゲーム。
 しかし、全員共通の“酸素”というリミットにより、進むか戻るか? チップを取るか取らないか、あるいは置いていくか? といった悩みどころが満載。
 ボドゲ初心者でも比較的遊びやすく、それでいてボドゲらしい面白さが感じられる絶妙なタイトルです。

 そんな足を引っ張り合う(?)チキンレースな『海底探検』をベースに、完全協力ゲームとなったのが『月面探検』。
 海の底から一気に宇宙へ。

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「1から3の目のダイスを複数使う」「マスがチップ」「獲得したチップで勝敗(成否)が決まる」「他プレイヤーは飛び越せる」「酸素がなくなるとゲームオーバー」といった点は同じながら、各プレイヤーにそれぞれ違う“役割”ができたり、酸素を増やすことができたりなど、オリジナル要素の色が強く出ていて、『海底探検』とは違うプレイが楽しめます。
 佐々木隼さんが『海底探検』に引き続き、ゲームデザイン&アートワークを担当されていますよ。
 プレイ人数上限が1人減って5人までになっているので、いつも大人数でプレイされる方は注意!

 オインクゲームズさんのボドゲの特徴のひとつに、「説明書が紙一枚」というものがあると私は思っているのですが、今回はなんと冊子形式!
 見開き3ページに渡って主な説明がされています。
 サイズはいつもの感じですが、これまでのオインクゲームズさんのボドゲに比べると情報量がとても多いので、ボドゲを初めてやる方は少し戸惑ってしまうかも?
 また、『海底探検』と比べて、対象年齢が2歳上がって10歳からに、またプレイ時間目安も10分増えて40分になっているので、難易度もちょっと上がっています。
 完全なるボドゲ入門者の方は、まずは『海底探検』の方を個人的にはオススメします。

いつもの小箱にコマやチップがギッシリ! 大量のカードも!

 といったものの、ボドゲを何度も遊んだことがある方ならそんなに難しくはありません。
 むしろ、「これが小箱でできるのかー!」と感動するかも。

 実際、箱を開けてみると、これでもか! という量のコンポーネントがギッシリ。よく入ってるなぁ。

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 なんとこれだけ入っていて、『海底探検』の箱の厚みとほぼ一緒です。スゴイ。

『海底探検』と決定的に違うのは、カード類が入っていること。「酸素カード」や「磁気嵐カード」、「役割カード」など、全部で61枚ものカードが入っています。
 ただこのカード、手の小さい私でも楽に握り込めるくらい小さなサイズ。厚さも結構薄いので、人によってはシャッフルしにくいかもしれません。

 ミープル(人型のコマ)は今回もオリジナル。『海底探検』のものと似ていますが、ヘルメットの出っ張りがなく、宇宙服っぽくなってます。かわいい。
 バギーのコマもありますが、これちゃんとミープル乗れます。かわいい。

名称未設定のデザイン

 個人的に好きなのは、物資チップ。月面ぽくクレーターが描かれていて、ホントに凸凹してそうなこの感じがいいですね。
『海底探検』の遺跡チップに比べると、結構小さめ。

 こんなにたくさんコンポーネントがあるので、プレイのために広げてみるとこんな感じ。
(上『海底探検』、下『月面探検』2人プレイ時)

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『海底探検』と比べて、倍とまではいきませんが、結構スペース使います。
 左右にあるカード類がそれぞれ1人分なので、プレイ人数が増えるとその分必要になっていきます。
 余裕のあるテーブルでやりたいですね。

磁気嵐に気をつけろ! アクションを駆使して物資回収に挑む

 磁気嵐によって月に閉じ込められてしまったクルーたち。地球からの物資も散らばってしまい、酸素も十分とは言えない……。そんな危機的状況の中、酸素生成装置を起動しながら物資を集めて帰還を目指す!

 ……という協力ゲーム。
 最後に順位がつくということもないので、みんなで成功するか、失敗するかの完全協力ゲームです。
『海底探検』ではあんなに自分だけ帰ろうとしてたのになぁ……。

 ゲームの成否は、必要な個数“無事な物資”を基地に持って帰ることができたかどうか、で決まります。
 しかし、『海底探検』と同様、ゲーム中に回収したチップは、ゲーム終了時まで裏返して無事かどうか確認することができません。
 進めば進むほど物資が無事な率が上がるので、なるべく奥へと行きたいですが、やっぱり酸素がネックに。

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 各プレイヤーはそれぞれ、酸素カードを保有します。『海底探検』ではゲームクリアのリミットを示していた酸素ですが、今回は振れるダイスの数を表します。
 カードによって、2個か3個のダイスを振ることができ、毎回1枚消費してターン開始。この時、酸素カードが1枚もないと、ゲームオーバー。全員ミッション失敗となってしまいます。

 また、振ったダイスの出目=進める数ではないのも『月面探検』の大きな特徴。
 進む、チップを獲得する、といった選択肢(アクション)だけでなく、全部で6つのアクションが!
 ダイスの出目は、各アクションを行うのに必要なアクションポイント(AP)を表します。

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 中でも、「OGS起動」というアクションがとても重要。
“OGS”は酸素生成装置(Oxygen Generation System)のこと。小栗旬ではありません。
 おぐ……いや、OGSがないとあっという間に酸素がなくなりゲームオーバーに。
 このアクションで隣のチップとの間にOGSチップを置くことができ、上に乗ることで、ターンの終わりに酸素カードを得ることができます。

 が! ここでこのゲーム最大の敵、磁気嵐の罠が!
 酸素カードは裏向きの山札から獲得していき、手持ちがいっぱいになるまでの間なら好きなだけ獲得ができます。
 しかし、山札には磁気嵐カードというお邪魔カードも。
 これをめくってしまうと、そこで酸素の供給がストップ。さらには今使用しているOGSも壊れてしまい、永久に使用が不可能に……。
 磁気嵐カードはゲームが進むにつれ増えていくのもミソ。
「まだイケる、まだイ……ぐわー!」という、『海底探検』のチキンレース的要素がここに。

 ちなみに一度プレイしたところ、作ったばかりのOGS、速攻で磁気嵐が来て一枚も酸素を供給できなかったことがあります。小栗旬ー!(違う

 また完全協力ゲーなので、最終的な決定権は手番のプレイヤーにあるものの、「今回どうしようか?」「OGS作っちゃう?」「次で酸素渡せばイケる!」「こっちより基地の方の物資回収したほうが良いかも……」と自由に話し合ってOK。
 各プレイヤーが獲得した酸素カードなどはすべて机の上に置いて、誰でも見える状態に。
 常に手に持っておかなければならないものはないので、考えたりコミュニケーションをとったり、ということがスムーズにできます。

役割でプレイが変化! 何度もやりたくなる罠……

『月面探検』の特徴のひとつ、役割。
 他のゲームで言う、職業のようなもので、ひとりひとつ任意、あるいはランダムに割り振られます。

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 基本セットでは全部で5つ。『宇宙兄弟』とのコラボ拡張では、プラス5つで倍に。

 役割にはそれぞれ違う特性が。
 持てる酸素カードや物資チップの枠を1つ増やすシンプルに強い「ちからもち」や、特定のアクションのコストを下げる「インベンター」「ベテラン」、ダイスの出目がゾロ目だとAPが増える「ムードメーカー」、移動を早くするのに役立つ“ロボット”を操る「エンジニア」と、どの役割を使うかでプレイが変わってきます。

 私が最初のプレイに選んだのはエンジニア。ロボットはエンジニアを選ばないと使いません。ロボットかわいいね。
 一緒にプレイした人が選んだのはムードメーカー。自身がムードメーカーだかららしい。

 エンジニアの使うロボットは、いわば“動くルートコマ”。
 ルートコマとは、チップの上に置くと、そこをスキップして移動できるようになるもの。
 普通のルートコマは、置くのにAPを消費する上、一度設置すると動かすことができず、その下のチップを獲得することができなくなります。
 しかしロボット君は、AP消費なしで毎ターン動かせるので、とても便利。2マスまでしか動かせませんが、充分役立ちます。

 一方のムードメーカーは、ダイスがゾロ目だとAPが増える、ちょっとギャンブルな能力。
 ダイスが3つ振れる酸素カードの方がなにかと嬉しいですが、ムードメーカーを選んだ彼曰く、ゾロ目が出やすい2つの方がいいらしい。
 ゾロ目だと3AP追加なので、通常がっかりな1+1=2が5に。絶対3以上というのが強い。あと精神的にもいい。

 なお、この組み合わせで初プレイ、なんとクリア!
 しかし最後はOGSの故障で酸素がギリギリ、もっと物資を回収したかったところを断念して帰ってきました。ダメかと思ったのですが、運良く全部の物資が無事という奇跡の上でのクリアでした。

 一度プレイすると、意外と手持ちがいっぱいになるので、ちからもちが強いのでは、とか、ロボット普通に強くない? とか、色々見えてきます。
 そうすると他の役割でまたやりたい……というループ。
 この辺は同じくオインクゲームズさんの『ダンジョンオブマンダムエイト』に似てるかも。

『宇宙兄弟』コラボ拡張はボドゲ入門者向けかもしれない(未プレイ)

 私はまだ『宇宙兄弟スペシャルエディション』収録の役割を使っていないのですが、読む限りとても強そう。

 毎ターン1回だけダイスを振りなおせたり、APの運用が楽になったり、さらには通常はゲーム終了まで見れないチップを確認できたり。強くない?

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 普段ボドゲをしないけど『宇宙兄弟』が好き、というファンでも遊べるように作られているのかな、という印象です。
 カードには『宇宙兄弟』のイラストが使われていて、役割名も「エンジニア」などではなく、「南波六太」など、キャラクターの名前になっています。

 基本セットと同じ能力のカードもあるので、好きな色のコマで遊びたい、なんていう時にもいいかもしれません。

『宇宙兄弟スペシャルエディション』は基本セットにプラス550円。
 追加されるのは、上記の追加役割カードと箱につけられるスリーブだけ、とシンプル。追加役割カードは基本セットと同じ箱に入っています。

『宇宙兄弟』ファンというわけではないのだけど……、という方にはちょっと悩ましいかも。
 難易度を下げたい、プレイパターンを増やしたい、という方にはいいかもしれません。
 個人的にはスリーブが何気に良かったり。基本、持ち運んでプレイするので、バッグの中で箱が開かないという意外なメリットがあります(笑

 今の所、拡張だけを別で買う、ということができないので、購入前に悩みましょう。

「ゲムマ大阪」で販売されるよ! うめだ阪急でも拡張版が先行販売

 1日で3つ全部プレイしてみたかったので、どれも1プレイしかできなかった状態でこの記事を書きました。
 2回目、3回目と繰り返すとまた違ってくるかもしれませんが、1度プレイしただけでも『月面探索』は何度もやりたくなるなぁという感じです。

『海底探検』と比べて細かくルールがある分、“鉄板”のようなものができるかもしれませんが、ダイスやカードドローといった程よいランダム要素もあり、いろんな人とわいわい何度も楽しめるボドゲなのではないでしょうか。

 いつもながらコンポーネントも凝っているので、プレイ中の見た目も楽しいです。
 バギーにコマを乗せられるが面白いですが、つっかかりがないのでミープルを持つとスッポ抜けるのには注意。

『月面探索』は今の所(2020年3月25日)、一般販売されておらず、28日の「ゲームマーケット2021大阪」で販売予定だそう。
『月面探索』『月面探険 宇宙兄弟スペシャルエディション』、どちらもゲムマ特別価格で購入可能なようなので、行かれる方はぜひチェックを。​


 ゲムマ後に各地のお店等で購入できるようにもなると思うので、大阪に行けないよー! という方はもうしばらく。

 って書いた後に知りましたが、うめだ阪急で『宇宙兄弟スペシャルエディション』が先行販売されているようです。
 いやまぁ、結局大阪ではあるのですが。

 と、まぁまたも文量が多くなってしまったよ……5000字超えとる、すいません……。

 ゲムマ大阪までに『ドコジャン』『藪の中 新板』も紹介したいのですが、もつか? もつのか自分……?


 円井零

○公式サイトリンク○


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