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朝9時40分

愛想ないコンビニの店員鈴木さんが、やたら話かけてくる日は、恋愛でもうまくいっているのだろうか。
こんなにムラのある人雇うのやめとけよと思うが、ここは店長の入れ替わりが激しくたぶんろくな職場じゃなさそうだ。アルバイトの人も選べないんだろうな。
大学に行く前に朝ごはんを買い、わたしを焦がさんばかりに陽あぶりにする世界を歩く。緑がまぶしい。道が白い。
おにぎりを食べながらにやけてくる。
「あ赤飯ないんですよ」
て顔を見て即言われた。とうとうわたしを常連と認めたな。

たまに鈴木さんは遅刻しそうなのか、全速力で自転車を漕いでいる。大学の近くに住んでいるらしい。

大学生なのかもしれない。

わたしは東門から入り、中央広場についたらベンチに座り本を広げる。5月になっても友達はみつからない。知らない人たちの中にいると自分の話す言葉が不自然になり疲れてしまう。

わたしの青春をわきに追いやり、鈴木さんの恋愛について、考えてみる。付きあっては、なさそうだ。アクセサリーはしてないし化粧もしてない、週5でコンビニバイトをしている。

明日も愛想が良ければいいなと思う。 

大学に入学して初めて入ったコンビニが鈴木さんのいるコンビニで、その日は機嫌が良かったみたいで、おめでとうございますと言われた。

そのうちこんな記憶も些末なものと思えるくらい、大学が楽しくなればと思う。

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