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ミュージカル「メリー・ポピンズ」

シアターオーブで3/25~5/7上演中の「メリー・ポピンズ」を観劇してきました。
ご存じ、有名なディズニー映画のミュージカル版です。
ロンドンのウエストエンド発でブロードウェイでは2006~2013年まで上演したのち、満を持して日本人キャスト版が初上演です!

私は舞台版を見るまでは実は映画版は見たことはありませんでした…。
「メリーポピンズっていうスーパー子守の話だな」くらいの認識。
…ので今回は、舞台版(1回目)→映画版→舞台版(2回目)という順番で映画も含め初メリーポピンズです。

映画版とは登場人物や話の展開が結構違いますが、大筋はだいたい同じ。

子どもたちに手を焼いて子守が誰も居つかないバンクス家に、ある日不思議な魔法を使うメリー・ポピンズがやってきます。子供たちはすぐにメリーを気に入って毎日楽しみつつ、
厳格な父親を中心とした家族の関係にも変化が表れていく…という内容です。

とっても楽しくて、見どころがたくさん!
中でも最初に思いつくのがメリー・ポピンズの完璧超人ぶり。

子どもたちとの遊びも教育も、気難しい父親へ有無を言わせない感じも好意を寄せられている(?)バートのあしらい方も全てパーフェクト。
中盤で子供たちを苦しめる酷い子守と対決するのですが、見事に完封するシーンは見ていてスカッとします!

そして素敵だなあと思ったのがいつも全てを説明しないところ。

規律や秩序を大事にする父親は子供たちとうまく接することができず、逆に子供たちは父親が構ってくれないことに寂しさを感じています。そして現状をどうすることもできない母親。
そんな状況を改善するきっかけになるのがメリーなのですが、そんな家族の関係に関して「ああするべき」「こうするべき」という直接の説明はしないんです。

終盤、家族の和解のきっかけになる印象的なシーンがあります。
父親が銀行をクビにされそうになる、という苦境に際し、子供たちはそれぞれお小遣いとして持っていた合わせて1シリングを何かの手伝いにできれば、と父親に手渡します。
もちろん、1シリングごときでどうにかなる問題じゃないのは当たり前です。しかし、その心遣いに触れて父親は規律や秩序より一番大切なものにやっと気づく…という内容です。(映画版でも似たようなシーンありますね)

このシーン、メリーは何もしてません。
1シリングをあげる…というのは子供たちが自分で考えて行ったことです。

今までやってきたのは遊びに連れだしたり、教育(部屋を片付ける、物を大切にする等々)したり。家族関係に関することでいえば、何も言わずにただ父親の働いている姿を見せに子供たちを銀行に連れてきたり、そっと父親の部屋に凧(息子マイケルは父親と凧をあげたがっていた)を置いたり…等々といったところ。
こういった積み重ねが家族に影響を与えた結果のこのシーン。
「こんなときはどうする」という具体的なアドバイスをするのではなく、自分たちの力で家族が良い方向に向かうよう考えてもらう、メリーはあくまでそこに至るきっかけを提供しただけ…なんだか格好いいですよね。
こんな教え方ができる人間になりたいなあ、なんて思いました。
(ちょっと省略しましたが、メリーだけではなくの友人の煙突掃除屋バートもちゃんと影響してます。)

そんなキャラクターである分、バンクス家との別れの際にちょっぴり悲しげなのを見ると心に来るものがあります。
これもあからさまに悲しむ訳ではなく「お…、ちょっと話し方のトーンが変わったぞ…?」くらいなのでやっぱりさりげない。

***

華やかな衣装やダンス、演出ももちろん見どころでした。

「Supercalifragilisticexpialidocious」「チム・チム・チェリー」「お砂糖ひとさじで」等々、映画は知らなくてもなんとなく聞いたことがある曲も多いのではないでしょうか。
舞台化にあたり、全体的に映画よりも華やかなダンスナンバーに編曲されているものが多く、特に1幕は次から次へと楽しいシーンが出てきます!
(もちろん、映画版のオリジナルも名曲です…!)

特に1回目に観たときはあらすじもよく知らなかったので、次から次へと展開していく話についていくのがちょっと大変でした。
…が、逆に周りの子どもたちや大人たちのようにメリーのペースにあっという間に流されていく感覚が一緒に体験できたようで楽しかった!

ダンスナンバーになると中心的な立ち位置になるのがやっぱりメリーとバートの二人。
メリー役濱田めぐみさん、バート役柿澤勇人さんは劇団四季出身。
平原綾香さんはダンスのイメージがあまりなかったのですが、いざ実際に観てみたら歌も踊りも完璧でまさにパーフェクトなメリー!どうやらバレエを長くやっていたそうで、知らなかった。納得…。
もう一人のバート役、大貫勇輔さんは残念ながら見に行く機会が無く。全然知らない方だったのですが、ダンスがすごい人だそうでこちらのバートも気になります。
友人曰く、「相方の魅力を引き出してくれるようなダンスがとても上手い」だそう。
そんなこと言われたらますます見たくなってしまい…正直もう1回増やそうか迷っています。笑

***

ただ楽しいだけじゃなく、心が温かくなったりほろりと切なくなるシーンもあり。
さすがディズニーというか、友人と、家族と、みんなで見るにはぴったりの素敵な舞台でした。
(にもかかわらず、ロンドン上演時は軽い年齢制限があったみたいです。ちょっと面白い話だったので後々まとめよう。。)

ディズニー作品といえば四季一強、というイメージが強いですがこんな風に別プロダクションでもどんどんやってほしいなあ。
と、いうのも、ターザンやNewsiesなどもっと気になるディズニーのミュージカル作品を日本で舞台化してほしいという希望があるから…。
劇団四季だけではきっと舞台化しきれない…次はきっとアナ雪が控えてるだろうし。
(ターザンの舞台化、本当にお願いします…笑)

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関連作品。
7月~8月にかけて、「午前十時の映画祭」で全国の映画館でメリーポピンズを再上演するらしく。

そして大注目なのが、エミリー・ブラントがメリー役の「メリー・ポピンズ・リターンズ」。
超有名作品の続編…物によっては残念な作品もあるので過度な期待をするのはよくないとは思いつつ、「ハミルトン」のリン=マニュエル・ミランダや映画版「マンマ・ミーア!」のメリル・ストリープなど気になるキャストが多くてやっぱり期待してしまう!

現時点で、日本公開は2019年の予定だそう。
来年の楽しみが今から増えました!

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