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個人的おすすめ小説(ライトノベル)

 どうもこんにちは、猫二朗です。

 今日は自分が読んでて「なんでこれ知名度低いん?」という作品を紹介したいと思います。もっと売れろ売れてくれ。

 電撃文庫より『青春ラリアット!!』著:蝉川タカマル

 2011年2月10日初版発行

 これです。内容はタイトルまんまで青春がラリアットしてきます

 あらすじ

 「行くぞコノヤローッ!」とどこかの有名なレスラーのような叫び声を上げ、ビキニパンツ一丁に覆面を被って全校朝礼に乱入した月島 薫。なんと彼はその場で公開告白をし──振られた上に停学処分となった。

 バカの日本代表ともいうべき月島の友人である宮本 圭太は傷心の月島を心配して見舞いに行く。その途中、ポリバケツを使った尾行のフェイントを仕掛けてくる少女に遭遇する。整った顔立ちながらも無愛想な彼女の名は──長瀬 瑞希。

「私、どうしても月島先輩に会いたくて」

「月島に? なんでまた」

「何故って……私が月島先輩にゾッコンラヴだからに決まっているじゃないですか」

「なら、普通に言ってくれたら案内するから。なんでそこで尾行という選択肢が出るかな」

「貴方のようにチャラチャラした──世間一般で言うところのチャラ太郎にそう申し出た場合、案内するかのように見せかけて人気のない廃屋に連れ込み、熟れた私の肢体を凌辱しようとするからです」

「しないから、熟れてるどころか青々としてるから、君の場合」

「そして! そして辱めた姿をビデオに撮って、それをネタに私を……私をっ! ──卑怯者! それでも人間ですか! あなたは最低ですッ!」

「こいつ、イタい系統の人だ……」

 我が道を行く竜巻少女の長瀬 瑞希

 姑息亭チキンこと極めて常識人の宮本 圭太

 バカの日本代表、月島 薫

 奇妙な三角関係がのちに大きな嵐を呼び込むことになり──。

 という、掛け合いがとても楽しい青春小説です。

 さらにこの長瀬という少女、いざ月島に会うと緊張しすぎてレスラーのような掛け声を上げてしまい、まともにコミュニケーションが取れなくなるという難病(?)の持ち主。いや、クセの強さよ……。

 宮本にも彼女と呼べるような存在はいるのですが、なんと小学六年生。倫理観をぶち壊していくゥ。ですが、そのこと自体も宮本は気にしているというか秘密にしているんですね。長瀬に弱みを握られた後のやり取りもなんてもう最高です。芸人です。

 さらには月島の告白した少女が実は極道の娘であり、その子にも彼氏がいるんです。ですが、極道の親父さんは付き合っている彼氏を決して認めようとはしない。そこで月島が取った選択も着目すべきポイントです。月島には好きな子がいる。その月島を好きと言う長瀬のジレンマもまたたまらない。

 予想の斜め上を行く発想と行動力で暴走する月島と、腹黒さと狡猾さで人を掌の上で転がす長瀬。二人だけだったら均衡なんて崩壊しっぱなしなんですが、宮本の常識っぷりというか「普通の高校生」の在り方(小六彼女は置いといて)が非常に良いバランサーなんです。

 王道青春ですが、そこに恋と葛藤とアツさがある。後先考えず目の前のことに全力を注ぐ青さがフルパワーでラリアットしてきます。

 ゆえに青春ラリアット。

 現在5巻まで刊行されておりますが、続きは出ていません。確か作者の体調不良だったかなぁ……もったいねぇなぁ。

 私が隠れた名作と胸を張る青春ラリアット、是非ご一読してみてはいかがでしょうか。

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