頭蓋仙骨療法における硬膜アプローチを東洋医学的視点で読み解く

先日のオステオパシーと東洋医学の関係性に関する記事を書いた後
実際に、自分の仮説とオステオパシーの方法論に繋がりがあるか
色々試していた時に
脊柱管内の硬膜に対するアプローチというのを知った。

脳の間質がオステオパシーの手技により
0.7%ほど広がることで
脳脊髄液の循環が上がり
様々な効果を得ることが出来る、というのは
その是非は置いて、理解は出来る。

ただ問題として、どうアプローチするのか
というところがおそらくオステオパシーなるものと
向かい合った時に疑問に思う点なのだ。

まだカイロプラクティック的な
アジャストでポキポキやると
その箇所の動きが変化する、という方が理解が容易い。
そこが最大のミソで
じゃぁ、柔らかいタッチで
何故変化が起こるのか、ということになる。

実際には、後頭骨の縁から伸展をかける
または、仙骨側から牽引をかけることで
問題の発生箇所を特定して
後頭骨と仙骨に触れるという形になる。

それで、脊柱内の硬膜にどのような変化があったのかは
定かではないが
確かに同じ動作をした時に足までの連動が出てたのは事実ではある。
(生体の解剖が出来ないんだから、実際にどうなっているかなんて分からない、と言うのだけども、それは逆に○○にアプローチしています、ということに対して、他の要素を廃することが出来ていないのでは?とは思う)

さて、本題は、硬膜と東洋医学について考えた時に
慢性硬膜下血腫に対して五苓散が有効だという研究データがある。
五苓散は利水作用があり、作用機序として水チャネル(アクアポリン)の阻害がある。

アクアポリンとは、細胞膜内に存在して水を通過させる性質のタンパク質であり
脳浮腫や脊髄外傷、認知症に深く関連することが判明している。
これにより脳内の神経や認知機能、精神状態が影響を受けており
水は毒性タンパク質の代謝に重要であるということが分かった、という話だ。

前回の話題でも、脳脊髄液を津液、東洋医学における水と考えた時に
五苓散はこの水が滞ってしまっているものを
身体の外に出すという作用なので
同じく水の循環、解毒を経絡的に考えてみると
腎経、膀胱経、胆経であり
督脈、背骨上にある経絡に大きく関わってくる。

アクアポリンは様々な場所に発現するが
特に腎での発現が多いということも分かっている。

つまり、オステオパシーの手法を使って
頭蓋と仙骨までの調整をする
=督脈の調整をするということは
東洋医学で見た時に水へのアプローチを行っており
これは西洋医学に置き換えると
アクアポリンの作用への影響であり
オステオパシーの手法によって
様々な神経症状や躁鬱、発達障害に効果がある
ということへの解なのではないだろうか。

東洋医学的な考え方をするのであれば
硬膜に何かをするのではなく
結果的に、体全体の中で
問題が解決することが重要なのだとすれば
後頭骨と仙骨へのアプローチで
効果が出ているならOKと見ることが出来る。
むしろ、西洋医学的な考えだと
じゃぁ、何故、どういう科学的反応が生じて
そうなっているのかということを突き詰めることになるが
アクアポリンの脳神経への影響は
まだまだ研究段階のようなので
その答えが出るのも先ではなかろうか。

怪しいというのは簡単なのだけども
それを読み解く力が無ければ
理解も出来ない気がしてきた。

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