「光と闇と、魔法使い。」第1話
地がうねる。立つのもままならない程、それは怒涛の勢いで少年の体を打ち付けた。耳を塞ごうにも両手が動かない。その場から逃げ出そうにも、足が言う事を聞かない。完全に少年は圧倒された。
「死刑! 死刑! 死刑!」
人の、いや群衆の叫び声だと気が付いた時、少年はようやく事態を飲み込んだ。
「ワタライに死を! 死の制裁を!」
瞬間、胃の底から込み上げる不快感を堪える。目の前が真っ暗になり、足元がぐらついた。自分の周りが全員敵である絶望感。生まれて初めての事態に、全身から汗が噴き出