変わる音楽の世界

森 麻衣子(もりまいこ)さん
出身地:北海道釧路市
滞在先:クールスドン
職業:コンサートピアニスト、大学講師

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ー 英国に来た経緯と理由は?
小さい頃からピアノを弾くのは好きでしたが、実をいうとクラシック音楽にはそこまで親近感が湧きませんでした。しかし、日本国内のクラシック音楽コンクールで何度か賞をいただき、本場の西洋音楽の良さを肌で感じたいと思いはじめ、大学は日本ではなくヨーロッパに行きたいと思いました。その当時の王立音楽大学の学長が札幌に来ていまして、入試を受けたところ、合格。留学を決めました。渡英後どっぷり西洋音楽にはまってしまい、現在はプロの演奏家として活動しています。

ー英国での活動について教えてください
ヨーロッパを起点にソロ、室内楽のコンサートを展開。また、チチェスター大学で講師として後進の指導にも従事しています。

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教会にてオーケストラとの共演。イギリスでは教会が市民の集いの場所であり、礼拝の他にも、このようなイベントが多数開催されている。

ー英国の好きなところは?
田園風景が北海道に似ているところとか、クリスマスのイギリス定番のお菓子が大好きなど、いろいろありますが、生活していて良いなと思うのは、イギリス人の、良い意味であまり一生懸命にならないところ、でしょうか。頑張って完璧を求めるよりも、賢く時間を使って、人生のバランスをうまく保っているところが素敵だなと思います。

ー北海道の好きなところは?
北海道弁が愛らしい。夏がじめじめ暑くないところ、自然が多いところ。そしてとにかくご飯がおいしい。

ー 英国で苦労したことをおしえてください
とにかく、戦わなければ前に進めないことでしょうか…。「お客様は神様」精神の国では全くないので、何か依頼したり契約するにも、こちらから提案したりしつこく催促や交渉をしなければ全くことが進まない、どころか、丸め込まれます。こちらが消費者なのによく怒られます。

ー 昨年からのコロナ感染拡大、そして今年から英国は本格的にEU離脱となりました。生活の変化や今後への期待などを教えてください。
去年3月にロックダウンに入って以降、音楽業界は大打撃を受けた業界の一つです。演奏活動の場を失った音楽家たちは収入が激減しました。全人生をかけて音楽を続けてきた音楽家たちにとっては、自分達の職業を変えることは今までの自分を捨てると言っても過言ではありません。それに追い打ちをかけるように、移動の自由は音楽の将来のためには欠かせないものだったのにもかかわらず、それもEU離脱で制限されてしましました。こんな音楽家たちの悲鳴が渦巻く中、音楽の根を絶やさないようにと、Wigmore Hallのコンサートや、Ronnie Scotts でのジャズライブ、またシアターのミュージカルが無料でオンライン視聴できたりと、素晴らしい企画が次々と展開されました。暗いニュースばかりが入ってくる中、ライブ音楽は私たちの心を癒してくれました。しかし逆に、無料ですぐに手に入るようになった音楽はその価値を失いつつあるのも事実です。オンライン音楽の提供体制がどのようにこれから改善されていくのか、どうやって音楽家たちを支えていくのか、それが今後の課題になるのではと思います。パンデミックで大打撃を受けた経済をやっと立て直すことができたとしても、そこに音楽がなくなってしまっていたら、感動がなくなったら、耐えがたい人生になってしまうのではないでしょうか。一方、音楽教育の分野では明るい未来が期待されるのでは思っています。レッスンやマスタークラスもリモートでできるようになり、世界中どこにいても、移動しなくても自宅で音楽教育が受けられる、そんな世の中になりました。

ー 最後にPRやメッセージをどうぞ!
☆ 今後のライブ情報等はこちらのウェブサイトから確認できます。また、ピアノレッスンをご希望の方はコンタクトフォームからご連絡ください。オンラインレッスンも行っています。
www.maiko-mori.com

☆ YouTubeで演奏動画を配信しております。ご興味ありましたら是非お立ち寄りください!森麻衣子YouTubeチャンネルはこちら。


このコロナ禍、普段当たり前にあったものがなくなってしまい、その存在、価値、パワーの大きさに気づかされたものとして「音楽」があると思います。その「音楽」を制作、提供する立場の麻衣子さんのお話、とても興味深いものでした。少しずつ以前の生活が戻ってきている中、今後の音楽・アートシーンの進化が楽しみです。麻衣子さん、インタビューにご協力いただき、ありがとうございました!早く、ライブ演奏を聴きたいです!





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