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とりあえず、飯シェアの経歴

♪おべんと ♪おべんと……

…………。


どうしたもんか、、、。


お弁当をつくるのは、ふだんの食事づくりよりハードルが高いように思う。
何を入れるのかを決めたはいいが、実際に詰めてみると、ビミョーな空きが出来てしまう。
しっかり詰まっていたほうが美味しそうに見えるのに……


自分がつくってもらっていた時はどうだったか……

思い出すのは、“カニカマぐるぐる”だ。

まっ赤なカニカマにチーズが巻き込んである、小さなうずまきキャンディーのようなおかず。

チーズが好きなわたしにとっては、なかなかにお気に入りなおかずで、よくお弁当に入っていた。
母にとっても、食べムラがあるむすめが比較的よろこんで食べ、隙間を埋めるのにも適したカニカマぐるぐるは、使い勝手がいいモノだったと思う。

さて、大学に進学し、かなり久しぶりに家に帰ったある日。
冷蔵庫を開けると、中に懐かしいカニカマぐるぐるが!

(お弁当を作らなくなっても、大切な思い出として買い続けていたのか……)

あたたかな気持ちで、一つ残っていたカニカマぐるぐるを口にしようとした時……


「あ! それ、食べないで!!

猫のためのオヤツなんだからっ!!」


(えっ?!)

お弁当終了後、行き場がなくなったカニカマぐるぐる。
飼い猫が食欲をなくしていたときにエサに少し添えてあげたところ、よく食べたというのだ。
それ以来、食欲がない時にひとすじふたすじ与えるために、買い続けていたのだそうだ。

どおりで手に取った瞬間、どこからともなく猫が擦り寄ってきたわけだ……

遠くのむすめより、近くの猫…
久しぶりの帰省にも関わらず、そのカニカマぐるぐるは、猫とシェアしていただくこととなった。


この“猫との飯シェア”は、実は、コレがはじめてではない。


2歳くらい、祖父母の家に遊びに行った時。

沢山の食事が用意されたテーブルを囲み、親戚との団欒を楽しんでいた両親。
ふと、気づくと、むすめの声がしない。
そばにいないのだ。

あわてて家中を探しまわると……


猫たちが遠巻きに見つめる中、
土間にしゃがみ込むむすめを発見。


「なにしているの?」

まわり混んで見てみると……


朝から猫皿に残されていた
残り味噌汁をぶっかけた
“ねこまんま”を
嬉しそうに頬張る我が子が……!!

「うわっ、やめてっ」

あわてて人間の食卓に戻したそうだ。

この猫との“飯シェア”原体験は、その後の人生にも影響を与えているのか、スープごはんとか、おじやとか、ねこまんま系のごはんが今でも大好きである。



とはいえ、さすがに、ねこまんまでお弁当を満たすわけにはいかない。

とりあえず、なんか固形物を詰めておこう。

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