仕事って寂しい

子どもの頃、重度の喘息で
秋と春は毎年入院していた。

幼児の頃のことは覚えてないけど、
小学生にもなると入院メンバーにも
常連の偉そうな子どもが現れるようになる。

私は偉そうなメンバーよりは
少し年下だったので
彼らに従いながらそれなりに入院生活も
楽しんでいる時もあった。

私たちの中で、人気の看護婦さんがいた。
(当時はまだ看護婦さん)

顔が可愛いし優しい、とか
顔は可愛いけど冷たい、とか
顔は普通やけどみんなの人気者、とか
みんなからは人気ないけど私は好き、とか

色んなポジションの看護婦さんがいて
今日の夜勤は誰だ、ヤッターとか
日勤は誰だ最悪、とか

入院メンバーの子どもたちで
勝手なことをアレコレ言っていた。

そこに病棟保育士で厳しい○○さん
という方がいて

歯磨きがテキトーとか
掃除をきちんとしなさいとか
一度トイレに行きなさいとか
小学生組はビシバシ言われて煙たがっていた。

私より少し年上の長期入院の男の子は、
毎日○○さんと勉強の時間があって
私は彼のことを羨ましく思っていた。

私は、喘息の発作が落ち着いたら
退院させられるけど
あの子はずっと入院なのかー
いいなぁ。

そんな気持ちになった。

学校は、自分で頑張らないといけないし、
自分で立たなくちゃいけないし、
小学生の私の悩みを積極的に聞いてくれる大人もいなかったし、
馬鹿みたいに群れる女子もよく分からなかったし、
小学生なんて万年孤立無縁だ
学校も家も大嫌い!
と思っていたので

勉強するってだけで
いつも病棟保育士の○○さんが引っ張っていってくれて
文句も聞いてくれて…
いいなぁ。
そんな風に思った。

4年までは毎年入院していたけど、
5.6年は学校が楽しくて精神的に安定していて
喘息も安定したので、入院しなかった。
最後に入院したのは中学生の時。
私が好きだった看護婦さんは
2年の間に退職していてもういなかった。
病棟保育士の○○さんももういなかった。
私に看護実習でついていた学生さんが
看護婦さんになっていた。

中学生の私は、4年の時の入院で
お別れになった職員が
沢山いたってことに気がついた。
好きだった人も、嫌いだった人も。

いつがサヨナラになるのかも分からずに
寂しいなぁと
そんなふうに思った。

それから5年が経って、
病棟保育士の○○さんとは
まさかの短大で再会した。
保育科の准教授になっていた。

すごい縁にびっくりした。

でももう卒業して、しばらくして、
短大にも行かなくなった。

大人になって、自分が仕事をするようになって
あの時の看護師さんたちも
色んな気持ちがあったんだろうなと思った。

人と関わる仕事は期間限定で濃厚でも
期間が終わると
こちらから追うことはできないし

それでも子どもたちは私を思ってくれてたりする時もある。

それが私に伝わる時もあれば
そうでない時もあるし、
もしかしたら知らん間に恨まれてることもあるかもしれない。

人と関わること
人を育てることって

自分がどう育ててるかもその時は分からずに
人に蓄積していく

よくも悪くとすごいことやなぁ、、と
中学生たちが声をかけてくれた昨日、
ふとそんな風に思った。



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