見出し画像

書類を通すことが転職エージェントの仕事

どんなに素晴らしい知識や経験があろうと書類選考の壁は決して低くはありません。
企業の判断材料は履歴書と職歴書と転職エージェントからの推薦文になります。採用担当者は極めて短時間で書類を一瞥し、容赦なく「キャリアミスマッチ」とNGの判断をしてしまうのです。
とはいえ、書類選考でNGとなってしまうことは、我々転職エージェントの力不足です。
転職エージェントで一番大事なのは、企業への推薦であり、書類選考の通過させることが転職エージェントの腕に左右されます。そこで初めて、企業様と候補者の接点を作ることができ、この数が増えれば増えるほど、成約の件数が増えるのです。
その後、面接のアドバイスなどはさせて頂きますが、所詮、それは候補者が実践することですし、合否の基準は双方の相性が占める割合が高いので、そこからは祈るしかありません。
多くの転職エージェントが電話、酷い場合はメールだけで済ませてしまう中、私がなぜ‟極力”候補者と直接お会いするという理由は、より人間性や職歴書の行間の言葉を引き出し、書類だけでは判断できない、候補者が書類を突破できそうな要素を引き出すためです。稀に人材会社に不満があるのか、直接面談を拒む候補者から「履歴書が欲しいだけだろう」とか「会うノルマがあるんだろう」とか罵倒されることがありますが、全くの誤解です。そんなことのために候補者の就業時間を待って、好き好んで夜に面談するわけがございません。(こちらだって帰りたい)
また、企業の面接とエージェントの面談は圧倒的に異なり、候補者の選別のためにはやっていません。全ては「書類を通過させるための手段」です。後で書きますが「候補者のカタログの売り文句」を作るため、しかも短く的確な一言を導くために、面倒な作業をやっています。

遠方に在住の方や直接面談がどうしても難しい候補者に対しては、電話面談も行っていますが、それだと直接の面談と比較して、面談内容は淡々としてしまい、表情も見えず性格まで判断できないため、推薦内容は劣ってしまいます。
どちらにしても、面談の内容をもって、相手企業の必要としている人材とされるポイントを突いたキーワードを入れ込むなど、短く的確な内容で推薦文を書きます。何人か推薦している企業になれば、書類を通すツボもわかっているつもりです。それでも55%の方については書類選考を通過させることはできません。
ダメ元で出す場合の通過率は2割程度、絶対自信がある方でも8割を少し割り込みます。

所詮選ぶのは人間です。その時の気分に左右されることは多々あります。前回、書類が通った人に近い人を出しても、思いもしないような理由でNGを出されることは常です。さらに企業の事情に左右されることもあります。求人を出したものの、企業側の方針転換やM&Aなど、異なる要因で突然、大幅な要件変更が行われることも頻繁です。そうなると、人材会社はお手上げです。

それでも書類を通せないのは、いかなる理由があれど、転職エージェントの責任です。
それが面談に時間を割いていただき、夢と希望をもって応募すると決められた方に対する誠意かと思います。
推薦する際は、担当者が1-2分で読める程度に、短い推薦文と転職理由や希望年収など、書類には書かれない内容を記載します。
私の書類通過率は今年は45%です。まだまだ低いと思っており、日々改善の努力中です。

先ほど「候補者を選別するためではない」と書きました。それとは矛盾する話ですが、書類や面接に進んだとしても絶対に通らないと確信した場合は、ご本人には書類を出したことにしていますが、NGにしてしまっています。
申し訳ないのですが、面談した方の半数近くはそのような対応となっています。

ですが、その精度は極めて高いので、決して恨まないようにお願いします。

理由は企業の求めるレベルの「スキルや経験が足りない」「志向、マインド、給与が合わない」「人格に問題を感じる」など、様々な理由です。
これについては、後で詳しく書きたいと思いますが、書類を通過させられる見込みがない人を紹介しても、人事の手を煩わせてしまいます。「人格に問題のある」人を推薦してしまい、万が一問題を起こした場合、転職エージェントの信頼を損ないかねません。現に何人かは、レアなポジションの方だと推薦したところ、企業からクレームになってしまい、詫びに訪問する羽目になりました。

「給与、志向、マインド」が明らかに、求人企業に合わない場合、これは企業との付き合いが増えてくるとわかるのですが、明らかに異なると確信した場合は推薦しないこともあります。もちろん複数の方がエントリーされた場合は、相対比較で判断することもあります。

「能力不足」ならともかく、「知識」がありながら「経験が足りない」人にチャンスを与えることができないことに、物凄いジレンマを感じており、何とかしたいと思っています。
それが、このブログ開設の理由でもあります。

書類通過については後に語りますが、その前に人材会社のエージェントにはどのような場合に「人格に問題がある」と判断されるのか、次の記事で書きます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?