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宮崎駿監督の新作長編映画『君たちはどう生きるか』を劇場で観た夜  ※ネタバレなし

スタジオジブリの新作映画『君たちはどう生きるか』を観た感想です。ネタバレはしないように書こうと思っておりますが、雰囲気などをお伝えするのにどうしても匂わせてしまう表現になるかもしれませんので、まだ映画をご覧になっていない方で、雰囲気や世界観などを今知るのは避けたいという方は、ご注意ください。🙇
もう観たから知ってもOKというタイミングの方、あらかじめ雰囲気だけ知っても良いという方、お読みいただけるとうれしいです!😊

ちなみに、ビジュアルの一部は映画館のポスター等で既出なので、みんフォトから美しいアオサギのお写真を見出しに使わせていただきました🍀

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レイトショーで宮崎駿監督の新作映画『君たちはどう生きるか』を観るべく映画館へ行きました。

前作『風立ちぬ』の公開から10年。
引退を撤回してくださった宮崎駿監督の作品です。観る前から緊張していました。
監督が私たちに伝えたいこと、見せたい世界が凝縮された、強いメッセージ性のある作品になる。そう、感じていたからです。

制作発表後、原作本が話題になり、どこの書店にもたくさん平積みされていたのを憶えています。原作の一部を紹介する番組もテレビで観ました。

当時その原作の紹介で抱いた印象から、率直に言うと、深刻で厳しい現実をつきつけるような、ファンタジー要素なしの作品になるかもしれない。と思いました。
それでも、いまの、そしてこれからの私たちに向け、監督が映画にしてのこす意味を想像し、「どうしても観たい」と思ったのです。


この映画が7月14日に公開されたことを、実は知りませんでした。金曜ロードショー放送時にちらっと「新作」の文字が宣伝とも言えないくらいの感じで出たかな?という…。
本編のナウシカに浮かれていたので、記憶に残らないくらいでした。


たまたまその夜、家族は出かけて自分ひとりだから、映画館で何かレイトショーでも観ようかなと上映スケジュールを検索しまして、「えっ!宮崎駿監督の新作映画、もう公開していた!」と気づいたのです。不覚なり。

慌ててタイトルで検索したところ、「賛否両論」とか、あまり良くない印象の言葉が某ニュースの見出しにありました。読みませんでしたが、胸がザワッとしました。
また、パンフレットが現時点(2023.7.18)で発売されていないことも知りました。公開からある程度経ったら販売されるそうです。宣伝と呼べることはあえてされていないようでした。

スタジオジブリ側の想いとしては、前情報なしでクリアな状態で観てほしいのかなと思いました。

ならばそうせねば!と、すぐに検索を止めて、映画館へ向かったわけです。

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『君たちはどう生きるか』の映画館のポスターやグッズは、アオサギが描かれた同じビジュアルのものだけありました。
じっくりそのポスターを眺めていると、ふとある箇所に違和感を感じます。これはどういうことなのか?

席に着き、予告がひととおり終わると、本編がはじまりました。

ネタバレなしを心がけながら書きますので、匂わせるもどかしい文になりますが、お許しください。

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冒頭からしばらくは、身を固くしながら、音と映像が押し寄せてくるのにおののき、物語の背景にビクビクしていました。しかし、今もある現実の問題と向き合うことでもありますので、直視しなければという思いでいました。

緊張の糸は切れないままですが、やがて空気感が変化してゆきます。異質な空気。境界が混じり合うような場所。
そしてだんだんと恐怖が好奇心へと姿を変え、もしかしてこれは、私の知りたかった世界ではないか?と気持が高ぶってきました。

映像は美しさとグロテスクな面白さを往き来して、ジェットコースターのようなスピード感を味わったかと思ったら、気の遠くなるような時空のなかに放り出された心持ちになっていたり、たいそう振り回されました。
でも、それが泣きそうになるほど心地好く幸せなんです。
だって、ジブリ内既視感がめくるめく訪れて、あっ!と声を出しそうで。

とにかく登場人物(生物)がとっても多くて、細かく楽しいツッコミどころもたくさんあります。

自分事ですが、結婚前後の数年で経験した悲しいあれこれが、この映画によって突然投げかけられたボールに頭をガーンとやられたような、そんな腑に落ちる瞬間を味わいました。

って、理解したような気になりたいのですが……
この映画は何度も観に行って、もっともっと自分のなかに落とし込みたくなる物語でした。たぶん、その度に知りたかった向こう側を見せてもらえる気がします。

『君たちはどう生きるか』

劇中にある形で登場します。
宮崎駿監督が、なぜこの原作をそのまま映画にするのではなく、原作・脚本・監督をすべてオリジナルで作り上げていったのか、私がわかった気になってはいけませんが。
もしも宮崎駿監督に会えたなら、ジブリの真骨頂ともいえる冒険とファンタジーと、これからの人生を生き抜くための大切なお守りをくださって、そして、オリジナルで物語を作ってくださって、本当に本当にありがとうございます!と言いたいです。

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映画が終わったのは夜の23時過ぎ。
スクリーンに対峙したまますぐには立ち上がれませんでした。

同じこの空間で観ていた同志たち(勝手にジブリ同志と心で呼ぶ)は、それぞれの感想を同伴者と囁き合ったり、ひとりで来た人も我に返って映画館をあとにします。

私もマスクの中に涙が一筋伝い、アカンアカンと急いで目をしばたかせました。映画の余韻でフワフワした足取りになりながら車に乗り込みます。
そして、もうここでは会えない大切な人と子を思ってひとしきり泣き、ティッシュでわしゃわしゃと顔を拭きました。
「よしっ」とミントタブレットを口に放り込んで、安全運転で夜の道路をひた走り、無事帰宅。


「君たちはどう生きるか」

そんな言葉が頭の中に降りてきたら、この映画を観た私はどう答えるでしょう?

映画の思い出せるかぎりのシーンを浮かべながら、眠りについた夜でした。



~おわり~

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