見出し画像

さんま

『目黒のさんま』という落語がある。
あらすじの詳細は割愛するが、お殿様が下町で食べたサンマの味を忘れられず、
取り寄せてお付きの者に作らせる。ところが高貴な人が口にするからと丁寧に料理された秋刀魚は、何とも気が抜けて美味しくなく雑に焼いたそれの方が美味しい、といった噺である(オチとかはググってね)。


「丁寧な食事」で思い出すのは。


我が家の食卓は大皿にドンっと盛った
おかずを小皿に取り分けて食べるスタイルだったのだが、それを知ったよそのおうちのお母さまが大層驚かれたのだ。

というのも、御膳スタイルというか
ご飯、汁物、おかずが全部お皿に添えられていて一人一膳を毎食用意するからとのことだった。

大皿で育った野生児(???)の私としては、なんとまぁ上品なと思ったものだ。現にそのご家庭は優雅さがあったな。むしろ我が家を野蛮にさえ思っていたのだろう。

うちの母曰く、「いっぱい盛った方が美味しく見えるし、実際美味しい」と
「取り皿にしないと好きなだけおかわりが出来ない」との持論だった。
今考えるとデブまっしぐらな考えだ。

どちらが良い悪いではない。
御膳だと繊細だなとは思う。
うちはガサツだったかもしれないが、
わんぱくな食卓にも良さはあろう。


どっちのよさも解る人間になりたい。

創作の製作過程を覗きみて、楽しんでいただけたら。