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ぼうだら

◎「工夫料理」
食べ物について書きたい、
欲求はわかっていたけれど,
”料理”を掘り下げたいのか、
”食材”を知りたいのかが
自分の中でごちゃっとしていると気付いた。
今回は料理について書きたい。

棒鱈について調べると、保存方法や調理方法の知らないことが色々わかって来た。

若狭地方はかつて「御食国(みつけのくに)」と呼ばれ、
天皇家への献上品を多く輸出する国だった。
海の幸を京都へ輸送する道も整備された。

海から遠い土地へ送る時、塩で加工し食品の鮮度を保つ工夫を施すことは数の子の投稿でも述べた。生ものを保存するのは塩か乾燥なのだそうだ。「棒鱈」の保存は主に乾燥を用いる。

◎京料理は組み合わせ
食品保存の工夫と同時に、素材を色々組み合わせ、お互いの長所を引き出した「工夫料理」も見受けられるようになった。「鯖寿司」や「甘鯛の昆布締め」は、「昆布で保存するとより美味しい!」という大発見だったようだ。組み合わせが思わぬミラクルを引き起こしたのを見聞きするのは、楽しい。

そして、

棒鱈と海老芋。
この料理はそれぞれの良い面が、相手の欠点を補っています。

この一文に私の心は何とも温まった。

欠点を責めることなく、むしろ相手の良いところの様に引き立てている感じがするではないか。『寄合酒』の良いところは「みんなチョイチョイ、アホ」だと思っているのだが何か通じるものがあるではないか(と、思ったが寄合酒は補てんし合って良い結果を招くどころかドンドンしっちゃかめっちゃかに展開するので全く良くない、むしろ災難。それが面白くもあるが)。

◎「あわせもん」
さて、棒鱈と海老芋。棒鱈のデンプン質が芋の煮崩れを防ぎ、海老芋が鱈の臭みを消す、そうだ!なんと完璧なフュージョン!ファンタステックだ!

”料理”の種類もさまざま歴史があると知り、
もっと深堀りしたい欲を抑えて、今回感銘を受けた
「あわせもん」についてもう少し触れたい。

結びつけるのは少々強引かもしれないが、
落語も「あわせもん」な部分があるのではないかと思う。

噺家にはそれぞれに得意な分野というか、
噺がある。
芝居噺、人情噺、廓もの、動物もの、怪談などなど。自分の任に合う噺はどんなものか、
芸の道を歩みながら噺家は探求するのだろう。

◎落語のフルコース
『落語』という文化の中にはたくさんの"料理"がある。

料理は、料理人の手により素材の欠点も受け入れ、何と組み合わせれば、どんな味付けをすれば良さが引き出せるか見極め、調理され生み出される。

最高の『あわせもん』はどうすれば作れるか、頭をひねる。

その料理をコースで出すのであれば、
他の料理の兼ね合いも考えるだろう。
これは…寄席で他の噺家と落語が被らないように噺家がしているそれと似ていると言えなくもない。

落語の長所のひとつは同じ演目を色んな噺家、別の噺家で聞き比べ出来るところだ。
(何が掛かるか、その時にならないとわからないびっくり箱な部分が寄席にはあるけれど)

旬の食べ物を取り入れたメニューにしてみたり。
時事ネタを放り込んでみたり。
天気に合わせた料理を出してみたり。
観客の様子を察知して掛ける噺を決めてみたり。

1日居れば、ビュッフェだと思っていた食事もお腹いっぱいフルコースに変わる。
それも寄席の魅力だと思う。

創作の製作過程を覗きみて、楽しんでいただけたら。