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リファラル採用のススメ #1

100名規模かつ社内でのリファラル理解度はゼロからスタート、採用ターゲットとの繋がりが多い社員は多くないという会社で、リファラル採用を本格的に導入するとしたら、という「リファラル採用のススメ」をステップごとにシリーズ化してご紹介していきます。
企業の成長フェーズなどにより、リファラル導入・浸透で打ち出す施策は多少変わると思いますが、同じくリファラル採用をゼロから導入しようとされている方の参考になれば幸いです。

第1回目はそもそもリファラル採用とはなんなのか、なぜリファラル採用が必要なのか、導入する際の留意点などリファラルの概要をまとめました。

そもそもリファラル採用ってなに?

リファラル採用とは自社の社員に友人・知人・元同僚などを候補者として紹介してもらう採用方法のことです。「リファラル(referral)」とは英語では紹介・推薦という意味をもちます。
会社のことをよく理解している社員が紹介してくれる人材ですから、より企業に適した方を募集できるというのが大きな特徴です。欧米では、重要な採用手法としてメジャーで、日本でも近年リファラル採用を導入する企業が増えています。

<リファラル採用の特徴>
・社員の人的ネットワークを活用して採用選考を行う
・転職潜在層へのアプローチがメインとなる
・自社の魅力や社風を伝えやすく、自社にマッチする人材を集めやすい
・求人媒体や人材紹介会社などの採用手法に比べて、コストが抑えられる

なぜリファラルが必要なのか?

ご存知の方も多いと思いますが、昨今、売り手市場による人材不足が大きな問題となっています。内閣府の調査でも生産年齢人口は減少していくと予測しています。

生産年齢人口は、2056年には5,000万人を割り、2065年には4,529万人となる。総人口に占める割合は、2065年には51.4%となる。

母集団の形成という意味でも人材の確保が今後も難しくなっていくことが容易に想像できますが、そのような状況で、「やっと採用ができた!」と採用まで漕ぎ着けたとしても、通常の採用手法では、適性や希望の不一致が一定数発生してしまいます。いわゆる採用のミスマッチですが、これにより早期離職や生産性低下という問題が発生してしまいます。

ただでさえ、母集団形成自体が難しいのに、莫大な採用コストをかけてミスマッチな人材を採用してしまった。

これは採用担当の心にも大きなダメージを与えますが、会社にとっても相当な痛手です。このような事態を回避するためにも、「信頼できる社員からの紹介」が「優秀な人材の確保」に必要になっているのです。

また自社の魅力を友人・知人に語ることは、その当該社員にとっても会社の良いところに気づくきっかけになり、「うちの会社ってやっぱり良い会社なんだな」と社員エンゲージメントの上昇も期待できるのがリファラルの魅力です。

さらに外出自粛や感染予防の対策としてフルリモートでの選考が今後メジャーなものになるとすると、「オンラインのコミュニケーションだけでミスマッチを回避できるか?」「きちんと見極めができるか?」というのが採用担当者にとっては、難しい課題になります。友人・知人、時には親戚を通じて信頼のおける人物にピンポイントで接触を図ることのできるリファラル採用は、アフターコロナの世界でも重要な施策になるでしょう。

リファラル導入の注意点

上記のように多くのメリットをもつリファラル採用ですが、その扱いには十分注意する必要があります。「リファラルは採用コストも抑えられるし良い施策だ!」と良い面だけをみるのではなく、デメリットと注意点を正しく理解したリファラル制度の設計が必要です。

リファラル採用で念頭においておくべき、注意点は以下の通りです。

・紹介者と被紹介者の関係性に配慮をする
・人材の同質化や社員間の公平性を確保
・社員の理解と認知を徹底する
・情報が可視化を徹底する

注意① 紹介者と被紹介者の関係性に配慮
リファラル採用は人と人との繋がりを活用した採用方法です。そこで紹介者と被紹介者の人間関係には十分な配慮が必要です。不採用だった場合の気まずさだったり、採用後に知人同士がグループ化してしまったり、紹介者の退職に伴い被紹介者も退職をしてしまったり、逆に紹介者と被紹介者の関係悪化に伴い、どちらかが退職をするということもあり得ます。

注意② 人材の同質化や社員間の公平性を確保
多くの人は自分と同じタイプの人に魅力を感じ、交友関係をもちます。 いわゆる「類は友を呼ぶ」ですが、リファラルに対してポジティブな社員に似た傾向の人材が社内に溢れるという可能性は考えておく必要があります。人材の同質化はともすれば一体感となり、組織力を高める要素にもなりえるためデメリットとは言い切れませんが、思考が一方に偏ってしまう可能性もリスクとして考えておきましょう。
また、紹介者に対して手当を支給するパターンもリファラル促進のための1つの施策として考えられますが、採用できる人材を紹介している社員にとっては、モチベーションアップに繋がる一方で、紹介している人材がなかなか採用されない紹介者や求める人材像にマッチする知人がいない社員にとっては、不公平さや不満を感じるきっかけになる可能性があります。

注意①と②のようなリスクを減らすためには、リファラル採用の導入時に、選考フローや、採用後の人員配置についてしっかり設計しておくこと、「リファラルの成果」をどこにおき公平性を担保するかまで検討して制度設計をする必要があります。

注意③ 社員の理解と認知を徹底する
当然のことながら、人事部以外のメンバーは採用に対して明るい知見を持っている人ばかりではありませんし、社内の制度すら全て把握をしているという現場社員はそう多くないというのを理解しておきましょう。
ましてや、自社がどのような人材やスキルを求めているのかという採用要件を知っている現場社員はほぼいません。
リファラルは現場社員がメインに活動する採用手法です。その現場社員が自社の採用要件を正確に理解していないと、結局ミスマッチが発生してしまう恐れもあります。

そのため、自社の採用情報を日ごろから社員へ周知を行う体制づくりや情報のアップデートの継続をしていく必要があります。

注意④ 情報の可視化を徹底する
これは制度設計においてもっとも難易度の高い課題ですが、社員が友人紹介にどれだけ貢献したのか、という社員エンゲージメントの高さを可視化する方法を制度に反映させる必要があります。
どのチームがリファラルに対しポジティブであるのか、パフォーマンスを発揮している人材を紹介してくれた社員は誰なのか、採用につながっていなくてもこまめに自社の求人情報を友人・知人に公開している社員は誰なのかを管理者側が可視化できていなければ、リファラル採用の成果として「だれに・いつ・どのくらい」報酬の付与や評価などをすれば良いかわからなくなってしまいます。

チームごと、社員個人ごとの課題をみつけて、PDCAを回せる体制と可視化の仕組みを導入する必要があります。

いかがでしたか?前置きが長くなってしまいましたが、次回からはリファラルの全体像と導入ステップを掘り下げていきたいと思います。

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