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小倉トースト


名古屋に着いた2日目の朝。
遅めの起床。

宿を出てぶらぶら歩き、
モーニングのできる場所をさがす。

コーヒー代+200円で
小倉トーストにゆで卵に
ちょっとしたヨーグルトとサラダの写真。

中に入ってメニューを見ると、
あんこが乗っていなければ、
ドリンク代だけで
全く同じモーニングセット。

なんとも太っ腹な
名古屋のモーニング文化である。

他にも、+300円でカレーがついたり、
メニューを見ると、小倉トーストだけ
少し割高に見えてくる。

それでも、
名古屋にきてモーニングなのだ、
せっかくなら小倉トーストが食べたい。

そんな自分はあくまでも
観光客なのだなと実感する。

1人だったので、
お好きなカウンターのお席へどうぞと言われ、
いい雰囲気の店内を背にカウンターに座る。

少しさみしくも、
カウンターにはコンセントまで付いている。

ひとつ空けて隣りの席の
30代くらいの女性は、
パソコンを開いて待っている。

彼女の普通のトーストセットがやってくる。
これがドリンク代だけで付いてくるのは
なかなか豪華である。

次にわたしの小倉トーストセットが到着する。
パンの真ん中に乗ったあんこ。

この子に200円か、と思いつつ、
この小倉トーストを頼む観光客がいることによって収益のバランスが取れているのか、
なんて余計なことを考える。

ずっしりとして
茶色の縁取りの土感のあるお皿と、
ずっしりとしたあんこの重みと色味が
とてもマッチしている。

隣りの彼女は、普通のトーストに
切ったゆで卵とサラダをはさみ、
サンドイッチのようにして
さらっと食べている。

なるほど、本当に地元で通う人は
こうやって食べるのか、とうなる。

ローカルな文化をできるだけ
味わいたいし、楽しみたいが、

割高な小倉トーストを頼むわたしと、
1番シンプルなセットを
サンドイッチのようにして食べる
彼女との差は大きい。

そんなことを思いながら
パンの上のあんこを広げると、
バターがじゅわっと溶け出して
実に芸術的である。

そして一口食べると、
甘味と塩味のバランスがよく、
それはそれは美味しいのだ。

数年前に名古屋で食べた小倉トーストも
忘れられない美味しさだった。

トーストにあんこ、
濃厚なクロテッドクリームのような
ホイップに、4種の手作りジャム。

全部知っている食べ物のはずなのに
はるかに想像を超える美味しさで
頭が追いつかない。
すごい体験だった。

そこまでとは言わなくとも、
このシンプルなトーストとあんことバターの
小倉トーストもものすごく美味しい。

おそらくこの3つの組み合わせが
反則級に美味しいという法則を確信する。

そして、こんなに美味しく
幸せを味わえるなら、
このあんこに200円は、十分価値がある。

こんなに美味しいのだ、
結局地元のみんなもこの小倉トーストを
頼んでいるんじゃないかとさえ思えてくる。

真相は藪の中だ。



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