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ハンガリー親露政党の誤り

12月3日:(5,847 文字)

「ロシアと協力してウクライナに反対したのは間違いだった」

ヨッビクは間違いなく、ハンガリーで最も有名な野党である
その理由は、名前よりも、ウクライナに対する胡散臭い政策のせいだ
2014年以降、同党が親ロシア派のイメージを獲得したのは、ロシアがクリミアやドンバス占領地での「選挙」や「住民投票」を合法化するために利用した「監視団」において、ヨッビクの代表がロシアの信頼できるパートナーだったためである

ヨッビク:移民排斥、「反グローバリゼーション」を政策として掲げる極右政党。2022年選挙でハンガリー議会で10議席(5%)、欧州議会議員1(5%)を占めている。ハンガリーの極右政党として有名。

しかし、ヨッビクとロシアのつながりが教科書的に明らかになったのは、ヨッビクの副代表であるベーラ・コヴァーチ(元)議員に対して2014年に開かれたスパイ容疑の事件である
結局、この政治家がモスクワに逃亡したにもかかわらず、議員特権が認められ、起訴で留まっている

ベーラ・コヴァーチ:2022年1月、モスクワに住み、モスクワ国際関係研究所に勤務している。

しかし、ヨーロッパでは、ハンガリーでさえも、ロシアとの協力関係が有毒になりつつあるという
今日、国際関係の専門家でさえ、その名を口にするときには悪態をつくしかなかったヨッビクでさえ、もう違うというのだ

2017年のコヴァ―チ追放後、ヨッビクのイデオロギーが変わり始め、昨年は反プーチンのレトリックを掲げていた
ロシアの本格的な侵略は、この変化を確固たるものにした
ヨッビクは、極右の親ロシア民族主義者から、自由主義的なヨーロッパの支持者に変身した

そして、オルバンの影の協力者の一人であったこの政党は、最も激しい反対者の一人となっている

逆説的だが、2015年にロシアを助けるためにドンバスに行った現ヨッビク党首のマートン・ディオンディシ議員自身ですら、180度転換しているのである
彼の言説はぜひとも見ておきたいところである

「ハンガリーがどちらにつくべきかは明白です。」

- この時代、ウクライナにとってのハンガリー、ハンガリーにとってのウクライナはどういう意味がありますか?

- ウクライナはハンガリーの隣国であり、西側に属し、西側の価値観を持ち、民主主義と市場経済になりたいと決断しています
つまり、ウクライナはロシアやアジア(中国)ではなく、ヨーロッパを選ぶということです

しかし、このウクライナの選択が、ロシアによって始められた恐ろしい侵略戦争へと変わってしまったのです
そして、この紛争において、私たちが誰の側にいるのか、疑問の余地はありません
私たちはウクライナをできる限り助けなければなりません

- ハンガリーはウクライナを支援していないという印象を持たれている方もいらっしゃいます

- ハンガリーでは、ウクライナや戦争について、ウクライナ支援にどれだけ、どのように関わるべきか、社会の中でとてもとても深刻な対立が起きています
私たちの政府が-少なくともその言説において親ロシア的であり、EUにおけるウクライナを支援するあらゆる試みを阻止しているように見えるのは、非常に、残念です

制裁に対する姿勢にも表れています

オルバンはEU議会では制裁に賛成していますが、公の場では制裁に反対する発言をしています
ハンガリー政府は、制裁は効果がないと言っていますが、これは全く事実ではありません
もちろん、制裁は有効です
しかし、制裁をもっとうまく機能させる方法があります
その効果を疑わないことです
我々が取り組むべきはそういうことです

実は、こうしたハンガリー当局(オルバン)の発言は、欧州の協力を弱めることが目的なのです
そして、検討中の制裁に疑問を投げかけることで、協力を弱めることを実現するのです

- 1956年にソ連の支配に反対する蜂起があり、イムレ・ナジがいたハンガリーで、なぜ今、国民のかなりの部分がロシアを支持しているのでしょうか?

ナジ・イムレ:1956年、ハンガリー動乱の際に独立運動を主導したハンガリーの首相。ソ連に鎮圧され、処刑された。

- これは非常に良い質問ですが、私はその答えを知りません。

ハンガリー人として、1956年のハンガリーと、今、ウクライナで起こっていることの明らかな類似性に、大多数、あるいは少なくとも半数のハンガリー国民が気づかないことにショックを受けています

誰が加害者で、誰が被害者か、ハンガリーがどちらにつくべきかは、8歳の子供でも明らかなのに

そして、感情を捨て、純粋に現実的な考えからこの問題に取り組んだとしても、ハンガリーはウクライナの側にいるべきでしょう
ハンガリーの国益は、ロシアを国境から遠ざけ、ウクライナの領土保全に貢献することです

「ロシア人とは何者か、当時は今ほど理解していなかった」

- マートン・ディオンディシさん、今度は「部屋の中の象に気づく(注:触れにくい話題に触れる)」です
ウクライナでは特別なイメージのあるヨッビク党の代表をされていますね
あなた個人は、占領下のドンバスで行われたいわゆる「選挙」の「オブザーバー」でした
ウクライナでは、親ロシアとみなされています
これをどう説明しますか?

- この数年、いろいろなことがありました

2015年、私は選挙監視員としてドンバスにいたのは事実です
しかし、その理由を説明する前に、当時の私の立場を親露派と考えるのは間違いであり、大げさだということを申し上げておきます

私と私の党は、マイダン後のウクライナの変容を非常に懸念しており、議会の最初のステップのひとつが言語法(いわゆる「キバロフ・コレスニチェンコ法」、かつてその採択がハンガリー少数民族に支持されていた)の廃止だったとき、当時のウクライナ政府はとんでもない過ちを犯したと考えていました

キバロフ・コレスニチェンコ法:ウクライナ語を母国語としながらも、18の言語を準公用語として定めている、2012年に可決されていた法律。

この言語法は非常に親ヨーロッパ的で、欧米の少数派が持つ権利をすべて与えたと私たちは考えています
私たちハンガリー人は、この言語法を、ウクライナがEUとヨーロッパの価値観に向かって進んでいることを保証するものだと受け止めています
それは、トランスカルパチア地方のハンガリー人少数民族(当時は10万人以上いた)が、ウクライナ社会で尊敬される存在になることを保証するものでした

言語法の廃止は、新政府、新議会の攻撃的な立場であり、それが大多数のハンガリー人に悪感情を残したと考えています

私は当時、ハンガリー議会の外交委員会の副委員長、PACEのメンバーとして、ウクライナ領土内に少数民族を抱えるヨーロッパの国々、つまりポーランド人、ルーマニア人、トルコ人、ロシア人との同盟関係を構築しようとしました
そして、この言語法の問題を認識し、少数民族を保護し、支援しようとする国がたった1カ国しかないことに、当時とても憤りを感じました

それが、ロシアだったのです

当時、私は今ほどロシア人のことを理解していなかったのです
しかし、当時から帝国主義の侵略国家であることは知っていました
すでにジョージアで戦争があり、他にも脅威がありました
そして、残念ながら、私は彼らの招待を受けたのです
しかし、今では招待されないでしょう

私は、ハンガリーの少数民族の味方であって、ロシアの味方ではないのです

なぜなら、ロシアが私たちを支援したときの結果と、ロシアの隠していた意図を、私はもう理解しているからです
今ならそんなことはしないし、申し訳ないと思っています

そんなことをしない代わりに、今、私はこの戦争でウクライナを支持しています
ハンガリー系ウクライナ人がウクライナの旗の下で、ロシアの侵略者と戦っているからです

そして、彼らがウクライナのために戦うとき、彼らの出身地であり、生まれた場所である祖国トランスカルパティア(ハンガリー)のためにも戦っているのです

そして、彼らはウクライナが親欧米、親ヨーロッパになることを望み、自由民主的で主権的なウクライナに住むことを望んでいるのです

ウクライナ人としては、私の論理に納得できないかもしれませんし、私がやったことに納得してほしいというわけではありません

-ウクライナに関するハンガリーの政策や世論を変えるチャンスはあるのでしょうか?

- もちろんです
私の例は、変化が可能であることを示しています
世の中は変化に満ちています

オルバンが世論をネガティブな方向に変えることができたのなら、私たちはポジティブな方向にも変えることができるでしょう
唯一の問題は、どうやって?ということです

そして、この問題は、実は、ハンガリーに限った問題ではないことを強調したいです
今や世界的な潮流となっています
英国のブレグジット支持者、米国のドナルド・トランプ、ブラジルのボルソナロ、ロシアのプーチン、トルコのエルドアンもある程度、そしてハンガリーのヴィクトール・オルバン
彼らはみな非自由主義的世界像、「操作」による新しいタイプの政治の「予言者」たちなのです
彼らに対する対抗策を見つけなければいけません

社会は真実を認識する傾向があり、プロパガンダや嘘を受け入れないと私たちは信じていました
しかし、そうではありませんでした
何度も繰り返されると、人々は嘘を信じるのです
ハンガリーでは毎日のようにこのような光景を目にします
もし、ヴィクトル・オルバンが人々に「空は緑、草は青」と言い始めたら、3日もすれば、人々はそれを信じ始め、自分からもそれを広げ始めるでしょう

移民問題に対するジョージ・ソロスの関与、そしてウクライナ問題でも同じことが起こっています

私たちはこのことから学び、オルバンが嘘を広めたように、私たちも真実を世界に伝えるために有効な行動をとる必要があります

「オルバンは誤りを犯したようだ」

- オルバンは、なぜこんなことをするのでしょうか?

- 権力に執着しているからです
彼はハンガリーで、自分が権力を維持することを保証するシステムを構築することに成功したのです

国会で3分の2の票を得た彼は、憲法、選挙法、メディア法などを書き換えました
そのおかげで、彼はこれらの制度を浄化し、仲間たちと新しい制度を作ることができたのです
その結果、EUのハンガリーへの補助金は、非自由主義的なシステムを構築するために使われることになっています

- しかし、どうして、オルバンは、戦争に負け、すでに世界の敗者となっているプーチンの側にいなければならないのでしょうか?プーチンの側にいることがオルバンの助けになるのでしょうか?

- ロシアがこの戦争に負けているのは同意します
ウクライナは反攻を開始し、欧米はウクライナでの戦争に負けるわけにはいきません
そのために、欧米はウクライナの勝利のために全力を尽くすでしょう

私が一番心配しているのは、ハンガリーがどうなるかということです

なぜオルバンはこんなことをするのか?という事について言えば、12年間の政権運営で初めて、重大な誤算があったようです
しかも、初めて非常に深刻な問題に直面することになったのです
すでに、経済危機、社会危機、エネルギー危機が生じています
そして、このような背景から、ハンガリー政府はプーチンのロシアと結びつき、ハンガリーが本当に属している西側から孤立しているのです

したがって、オルバンは早く立ち止まって政策をUターンさせたほうがいい

明らかに沈みかけている船のマストに、なぜ、まだしがみついているのか
私には絶対に理解できません

プーチンがオルバンを脅迫しているのではないかと推測することもできます
それくらいしか、彼が非合理的な行動を取る理由は思い当たりません

「オルバンの代わりはいるのだろうか?4年は長すぎる」

- ウクライナとハンガリーの関係の危機を乗り越えるにはどうしたらいいのでしょうか。

- 危機を脱する明確な方法は一つ、選挙でオルバンを排除することです
なぜなら、彼はウクライナ人の問題と同じくらい、ハンガリー人の問題でもあるからです
しかし、これはハンガリーの問題であり、ここで貴方ができることは多くありません
彼を排除するのは、ハンガリーの野党政治家、そしてハンガリーの有権者の仕事です

これが唯一の安全な解決策です

ですが、次の選挙はまだ遠いです
(ハンガリー国会議員選挙は2026年に予定、前回は2022年4月3日に行われた)

- しかし、あなたは彼に選挙で負けたばかりですから、この方法はうまくいきません。

- 今年はうまくいかなかった
しかし、今は毎日が新しいチャンスです
実は、オルバンはつい最近までハンガリーの問題に直面していなかった
そして、問題は常に新しいチャンスをもたらします

新たなチャンスは、ハンガリー国民が、権力を強化するだけで、国民の真の問題に関心を持たない政府に騙され、裏切られていることに気づくことです

12年間の政権運営で、彼はハンガリーを原子力、ガス、石油などロシアのエネルギーに100%依存させたました
供給を多様化するチャンスは何度もありました
彼は、汚職に基づかない経済政策を構築することができたはずです
そうすれば、人々の福祉の向上、ハンガリー人の購買力の増加につながったはずです

これは実現しませんでした
今、ハンガリーは深い社会的危機に陥っており、世界的な危機を背景に経済的な危機にも直面しています

私は、変化が起こり、オルバンに代わるものが現れると100%確信しています

そして、ウクライナの友人たちに唯一申し上げることは、オルバンがハンガリー国民とイコールではないということを理解して欲しいということです
彼は権力に執着し、そのためにハンガリー人を非常に効果的に操っている、一人のハンガリー国民に過ぎないのです
しかし、ハンガリー人はいずれ目を覚ますでしょう…ゆっくりではありますが

さらに、オルバンが何を言おうと、ハンガリーはEU理事会でEUが提案したすべての制裁措置に賛成したことを思い出してください
したがって、オルバンが言っていることと、実際にやっていることを区別する必要があります

彼は今、腐敗した政権を維持するために必要なお金をヨーロッパから手に入れたいので、非常に難しい立場にあります
EUの期待に応えなければならないことを知っているので、最終的には制裁に賛成することになるでしょう

彼が、今更何を言ったとしても

(終わり)

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