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失敗の科学

「こんな方にオススメ」
・失敗を恐れず、挑戦することを重視する人
・自己分析や自己研鑽に励む人
・組織やチームの成長に関心がある人


医療事故、航空機事故、冤罪事件…

私たちは、なぜ同じ過ちを繰り返してしまうのでしょうか?

オックスフォード大学首席卒業の異才ジャーナリストが、10年以上にわたる取材で、医療業界、航空業界、グローバル企業、プロスポーツチームなど、あらゆる業界を横断し、失敗の構造を解き明かします。

失敗から学び、より安全で信頼性の高い社会を実現するために、あなたも本書を手にとってみませんか?

3分で読める本要約(管理人)





①認知的不調和

多くの場合、人は自分の信念と相反する事実を突きつけられると、自分の過ちを認めるよりも、事実の解釈を変えてしまう。
人はたいてい、自分は頭が良くて筋の通った人間だと思っている。
だからこそ、その信念に反する事実が出てきたときに、自尊心が脅かされ、おかしなことになってしまう。

そんな状態に陥ったときの解決方法は2つだ。

1.自分の信念が間違っていたと認める
しかし、これが難しい。
なぜなら、自分は思っていたほど有能ではなかったと認めることが怖いのだ。

2.否定
事実をあるがままに受け入れず、自分の都合の良い解釈を付ける。
これに、「努力や恥ずかしさ」が加わると合理的に判断できず、ますます「否定」をする傾向がある。
認知的不調和が何より恐ろしいのは、「自分が認知的不調和に陥っていることに滅多に気づけない」点にある。
認知的不調和の最も逆説的な点は、明晰な頭脳を誇る学者ほど、失敗によって失うものが大きい。
だから、無意識的に自己正当化へ走ってしまう。


②成長のためにあえて失敗する

こんな実験をした。
ある陶芸クラスの生徒が2組に分けられ、一方は作品を「量」で評価し、もう一方は「質」で評価すると告げられた。
結果、全作品中最も「質」の高い作品を出したのは、「量」を求めたグループだった。

量のグループは、実際に作品を次から次へと作って試行錯誤を重ね、粘土の扱いもうまくなっていった。
しかし質のグループは、最初から完璧な作品を作ろうとするあまり頭で考えすぎてしまった。
結局あとに残ったは、壮大な理論と粘土の塊だった。
まとめると、成長するためには量(失敗)が必要である。

完璧主義(質のグループ)の罠に陥る要因はふたつの誤解にある。

1.頭でひたすら考え抜けば最適解を得られるという誤解
この誤解にとらわれると、決して自分の仮説をテストしようとしなくなる。

2.失敗への恐怖
完璧主義者はいろんな意味でさらに極端だ。
失敗への恐怖から、失敗を失敗として認められなくなる(認知的不調和)。


③「犯人捜し」はバイアスとの闘い

非難は、人間の脳に潜む先入観によって物事を過度に単純化してしまう行為であり、成長の機会を失う。
もし「失敗は学習のチャンス」ととらえる組織文化が根付いていれば、非難よりもまず、何が起こったのか詳しく調査しようという意志が働くだろう。

物事はとても複雑である。
たとえば、隣の車が無理矢理割り込んできたら、たいていの人が「なんて自己中心的な短気な奴だ」などと決めつけるだろう。

しかし物事はそう単純だとは限らない。
もしかすると急に太陽の光が反射したせいで、ドライバーがハンドルを切り損ねたのかもしれない。
だが、大半の人はそんな可能性にまで考えが及ばない。
実は、人間の脳は一番単純で一番直感的な結論を出す傾向がある。

ただ、非難の全てがこうした認知バイアスの影響から生じるわけではない。
単に自分に都合がいいからという場合もある。


④成長する人の脳内で起こっていること

ある実験をおこなった。
内容は、このどちらのチームが「失敗に意識的に着目して、そこから学ぼうとする反応が強いか」という実験だ。

A「固定型マインドセット」のグループ
このグループの人は、「自分の知性や才能は生まれもったもので、ほぼかえることはできない」と強く信じている。

B「成長型マインドセット」のグループ
このグループの人は、「先天的なものがどうあれ、根気強く努力を続ければ、自分の資質をさらに高めて成長できる」と信じている。

結果は、Bのグループの方が、Aグループよりも反応は3倍も高かった。

失敗への着目度と学習効果との密接な相関関係がある。
失敗から学べる人と学べない人の違いは、突き詰めて言えば、失敗の受け止め方の違いだ。

成長型マインドの人は、失敗を自分の力を伸ばす上で欠かせないものだと、自然に受け止めている。
固定型マインドの人は、失敗を自分に才能がない証拠と受け止めている。


『まとめ』

進化を遂げて成功(成長)するカギは、「失敗とどう向き合うか」にある。

ただし、失敗と向き合うにはさまざまなバイアスが邪魔をするので、邪魔をしてくるバイアスを理解する必要がある。


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