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悪の組織と陰謀論

 以前から頭には浮かんでいたネタなんだけど、書き出してみることで何か面白いことを思いつくような気がするので、とりあえず書いてみます。

 「悪の組織」って何でしょうね?武器を売ったり?人を殺したり?
 あ…世界征服を企んだりする組織のこと?
 そもそも論なのだけど、「世界征服をする」というのは何をしたときに達成できたことになるのかな?
 全人類の殲滅?…いやいや、それじゃ支配される側がいなくなってしまうんで意味がないでしょう。
 世界を同じ秩序の下に支配する…なんか平和が訪れそうな気がするんですが、それは悪いことなの?
 武力と恐怖と圧力で支配する…うん、なるほど「悪の組織」っぽくなってきたな?でもさ、それってほとんどの超大国がやってることと変わらなくない?
 なるほど、世界は「悪の組織」の覇権争いで成り立っているんですね。少し納得…(するな!)

 初代仮面ライダーの敵組織であるショッカーだって、その成り立ちが「同じ血脈に連なるものたちによる完全なる支配」が旗印だからねぇ~(後付け理由かもしれませんが、何かで読んだ記憶が…)それで、そのルートってのが「鍵十字のアレ」ですもん。まあ、いわゆる政治結社ですわね。
 優れた純血種の一群が、その理念に基づいて他の劣っている(と思われる)人類を支配し、導くというのが目的なわけだから、やってることは各宗教の「原理主義」の方々と変わらんのですね。
 そうか、「原理主義」に凝り固まると、それは「悪」になるのだな…でもさ、結局「宗教」ってものって人間がより良く生きるための指標を示すものであって、そのための教義ではないの?
 あ、信じない人は「人間じゃない」から殲滅しても構わんということ?
 信じる人だけが残れば、平和が訪れるの?
 それは無理だろうなぁ…

仮面ライダー旧1号と初代サイクロン号

 それで思うこと、実は「悪の組織」なんてものは無いのです。
 それぞれの主張と正義に基づいて敵対する存在はあるけど、そんな組織立った「悪」なんてのは元々無いんですよ。
 本当はそれを系統立てて教えを説くのが「宗教」の役割なんだと思うんだけどね。個々の人間が、それぞれの正義を持ってて、自分と近い人間と徒党を組んでるってのが現実でしょう。

 例えば「独裁」って体制があるけど、あれだって独裁者が単独でやってるんじゃなくてさ、スゲー発言力と権力とカリスマ性を備えた人物がいて、とりあえずそれを担いで阿る数多の人々で成り立ってるわけじゃん?
 何かマズいことがあっても「独裁者」に責任転嫁すればいいんだからさ、あれって実はすごく無責任な民衆が支えているのね。トップに君臨しているアイツが悪い、誰もアイツに逆らえなかった、俺たちは無力だ!って言ってればいいんだからね。楽だわな、そりゃ。

 自分なんて無力な一般大衆のひとりだから、平和に暮らせるなら支配する側が何でも構わないと思ってるぐらいなのですよ。いや、平和に暮らせないなら抵抗するけど。

 話が逸れかけてるので、とりあえず「悪の組織」の話。
 同じ石ノ森章太郎先生の原作で「サイボーグ009」という作品があります。
 先生の代表作の一つなので知る人も多いのですけど、あれの第一部の敵は「ブラックゴースト」という組織なのですね。で、9人のサイボーグたちを人間兵器に改造した張本人でもあるわけです。ギルモア博士と組織を脱出した9人は、組織に追われながらも協力者を得て戦い抜くのですが、それは「ブラックゴースト」が悪の組織であるからというよりも、自分たちを「人ではないもの」に改造してしまった存在への怒りだったりするのですね。
 ここまで書いてみると、非常に仮面ライダーとの共通点が多いことに気が付きます。「人間の内面の闇を描く」という、石ノ森章太郎のライフワークだったのでしょうね。
 結局、この「ブラックゴースト」の本拠地に乗り込んだサイボーグたちは、そこで驚愕の事実を知るわけです。実はそんな組織はどこにもなくて、世界中の軍事組織や武器商人たちのコングロマリットでしかなく、本拠地も飾りだし、首領と目されるものはただの傀儡のコンピューターなのですね。
 だから、本拠地を壊滅させても無くならないのです。キミたちは自分を生み出した世界と戦って勝てるのかね?ということですね。
 自分の存在そのものに抗うってところも、実に人間臭いと思います。

石ノ森萬画館の前にて

 こう考えると世界というのは誰かの意思で決まっているのではなくて、そこに生きている全ての人間の総意で構成されていることに気づくのですよ。
 ここでやっと「陰謀論」の話になりますが、誰かが、若しくは特定の組織が意図的に世界を変えようとしている「陰謀」なんてもんは無いのです。人はそれぞれ違う意思を持ってるし、大同小異って言葉があるように大枠では賛成でも各論は反対ということは多々あります。全てを同じように支配することは不可能です。
 ただ「陰謀論」は存在しませんが、大多数の人間の総意が「陰謀論」のように振る舞うことはあると思うんですね。独裁制が独裁者ひとりの仕業ではないように、「陰謀論」も特定の誰かの思惑ではないと自分は考えています。
 この社会を構成している一人ひとりの意識が、やがて社会を変える。そう思いながら、今日もまた支離滅裂な文章を書いてしまったと反省する自分でした。

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