青天の霹靂64(病院)

廉夏は病院に行く。
中川が付き従う。
スチュワーデスさんに、校長を呼んでもらい病院に行く旨を伝え
校長はだいぶ廉夏と中川の姿を見て驚いていた。
「中川君、大丈夫かね?」
「ええ、私は。ですが、京極が・・・」
「私は大丈夫です」
その頃電話でやり取りを聞いていた忍は廉と共に沖縄へと向かう。
そんな事、廉夏は知らない。
ただ、電話を切られたのは、終わったからだと思った。
まさか、冬眞や廉も沖縄に向かっているなどとは、思わなかった。
で、岬は沖縄に着くとすぐに、病院へと向った。
その結果は、打撲や打ち身と言ったものだった。
「ウー、痛た」
「でも、なんでもなくて良かったよ」
「う~ん。たぶんあの子のおかげだと思うよ。彼が治してくれた。たぶん、骨いってたと思う」
冷静に廉夏は言う。
「そこまで?」
中川は驚く。
「うん、いってたと思うよ。たぶんね。背骨に入ってた」
「それがなぜ?」
「たぶん外に彼の友達がいたから、その子は治癒系かな?」
「友達?」
「うん、一人じゃなかったと思うよ。たぶん、お礼なんじゃないかな?」
「礼?」
それに、首を傾げる。
「うん。私が彼を止めて殺させなかったでしょ? たぶん、その礼? 組織から命令が入った時、殺すことを命令されたのと同じでしょ?」
「そうなのか?」
「多分ね。能力から言って、殺すのが仕事だったと思うから」
「じゃあ?」
「殺していると思うよ」
「だから、今回、止めたことにあまり意味はないと思う。でも、止めたかった」
廉夏は静かに涙を流す。
それを、中川は抱き締める。
「お前は無駄と言うが、感謝している子がいる時点で、無駄何かじゃなかったさ」
廉夏は礼を中川に言う。
「先生有難う。いつも私が欲しい答えをくれる」
「じゃあ、病院行こうな」
「うん」
と、頷く。
そして、みんなと別の出口から出て病院へと行く。
その診断結果は、ただの打ち身だった。
医者はみな首を傾げていた。
廉夏を見ると、骨ぐらい行ってそうなのに、いっていないからだ。
そして、意外だったのは、そこに冬眞と廉がなぜかきていたことだ。
「なぜ?」
びっくりしながら聞く。
「廉夏が心配だったからというのは理由になりませんか?」
「そんな事ない。嬉しいよ」
そう言って、冬眞に抱きつく。
冬眞は廉夏をきちんと抱き締める。
「良かったよ。お前に何もなくて」
廉が言う。
「それは、Xのおかげかな?」
「如何いう事だ?」
「たぶん、治癒系の力で治してもらった」
「そうか」
それを、聞き冬眞は思うところがあるのか黙る。
「冬眞如何したの?」
「いえ、何でも有りませんよ」
「う~ん、そうかな?」
廉夏は悩む。
そんな、廉夏に廉は笑って言う。
「冬眞、ここは頼むな。私は先生と話して来る」
「はい」
そして、廉は先生は先生でも、中川のところに向かう。
ロビーに二人きりになった廉夏は泣き出す。
それに、冬眞は驚く。
「如何したんですか?」
「怖かったよ」
「大丈夫ですよ。もう、犯人は捕まりましたよ。大丈夫です」
「うわ~ん」
廉夏は大声で泣き出す。
それを、冬眞は抱きしめる。
「本当に怖かったの」
「良く頑張りましたね」
「じゃあ、あんみつ奢ってくれる?」
「よろしいですよ。でも、安いご褒美ですね」
冬眞は笑う。
「それで、よろしいのですよ。それより、頑張りましたね。みんなを心配させないためですね」
「でも、もう我慢出来ないよ。ごめん」
「イイですよ。泣いて下さい。でも、他の人の前は駄目です」
「何で?」
廉夏は不思議そうに、聞く。
「廉夏の涙は僕だけのものですからね」
「う~。分かった。出来るだけ努力する」

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