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「(肯定されない)という生き方」

映画「メタモルフォーゼの縁側」をAmazonプライムビデオで鑑賞。女子高生と老婦人の奇妙で微笑ましい交流を描いたほっこりコメディ。芦田愛菜・宮本信子のダブル主演。

女子高生と老婦人。年齢も境遇もまるで違う、出会うはずのなかった2人がボーイズラブという接点によっていつしか結びつき、心を通わせていく。

何よりもまず、芦田愛菜がいい。ボーイズラブを唯一の拠り所とし、クラスのマイノリティとしてひっそりと生きる「腐女子」のリアルを瑞々しい感性と演技力で見事に体現している。

細かい仕草や視線の動かし方まで、まさに「芦田愛菜ここにあり!」というべき作品だ。

もちろん、宮本信子も圧巻である。私にとっての宮本信子は「マルサの女」シリーズでとまっていたから、あの凛とした調査官が普通の老婆になったのかといささか驚いた。

汐谷ゆうき演じる芦田愛菜の友人も単なる引き立て役で終わらず、独自の存在感を発揮している。

全体としては、どうということのないストーリーである。主人公たちに劇的な試練が待ち受けているわけでもなければ、終盤にカタルシスが用意されているわけでもない。主人公は最後までクラスのマイノリティでありつづけ、ポジションが上がるわけではない。

だが、それでいいのだ。大多数から無条件に肯定されるよりも、否定されない生き方のほうがよっぽど心地良い……。

そんなメッセージを感じた。

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