目覚まし時計の音で目を覚ます。
朝のルーティンをこなし、いつもの電車に乗って、いつもの風景を眺めながら会社へ向かう。
デスクについてからは、メールをチェックし、会議に出席し、資料を作成する。これが私の日常だ。
変わり映えのしない毎日に、時々、ふとした瞬間に「この生活に意味はあるのだろうか」という疑問が頭をよぎる。

そんなある日、通勤途中のいつもと同じカフェで、ふと目に留まった一冊の本。
「日常の中の非日常」というタイトル。なぜか手に取ってしまい、ページをめくり始めた。
その本は、ありふれた日常の中に隠された小さな奇跡や驚きを見つけ出すことの大切さを語っていた。

その日から私の日常に、小さな変化が訪れ始めた。例えば、いつもとは違う道を通ってみることにした。
すると、通勤路の途中に小さな公園があることに気づいた。朝の光に照らされた緑は、なんとも言えず美しく、心が洗われるようだった。

ランチタイムには、いつもとは違う同僚と一緒に食事をするようになった。新しい会話からは新たな発見があり、日常が少しずつ色づいていくのを感じた。
また、いつもは避けていた辛いメニューに挑戦してみると、未知の味の虜になった。

ある日のこと、ランチタイムに試してみた新しいレストランで、人生を変える出会いが待っていた。
隣の席に座った男性は、偶然にも私がカフェで書いていた日記の一部を見て、その内容に興味を持ってくれた。彼は小さな出版社の編集者で、私の書いた日記を本にしたいと言ってきた。

最初は信じられなかったが、彼の説得により、私は自分の日常生活の観察記録を始めることにした。
その記録はやがて一冊の本となり、出版されることになった。

出版された本は、予想外の反響を呼んだ。多くの人々が私の日常の観察から得られる小さな発見や感動に共感してくれたのだ。私は会社員としての生活を続けながらも、日常の中の小さな驚きを伝える作家としての新たな一面を持つことになった。

この経験を通じて、私は平凡な会社員であることが、実は世界を特別な視点で見るための素晴らしい立場であることを学んだ。
毎日の生活が、いかに豊かで意味のあるものかを改めて感じるようになった。

#会社員でよかったこと