レベルファイブのマップチームによるの世界観を描き方(個人的なまとめ)①

ほぼ下の記事本文の垂れ流しです

https://www.famitsu.com/news/201712/07146748.html

レベルファイブのアートチームから、マップアートを主に担当してきた梁井信之氏と、荒川政子氏による講演。

使用ソフトはPhotoshopやclip studio、illustratorなどのようだ

制作プロセス
レベルファイブのアートチームでは、
①まず資料を大量に収集することから始まる
②集めた資料をもとにアイデアを展開
③ラフイメージの制作に入る。
④清書+詳細な設定を施していく

集めた資料を元に一つのエリアに複数のアイデアスケッチを展開。幅広いイメージの意識が重要らしい。

ラフスケッチは白黒で複数展開


資料の集め方→(お店、博物館など現地への取材、書籍、ネットの画像)

ラフの段階でコンセプトのテーマから生まれたアイデア、見せたいものを絞っていく。
細かいアイテム、家具などは別に書き分けられ、詳細な形でデザインされていく。
(ポスター、看板、植物、置物など)

小さな置物のデザインにも、こだわりあり



各作品のコンセプトからキーワードを見出す
過去の作品では
①レイトン→「上質な絵本」
②スナックワールド→「ハイパーカジュアルファンタジー」
③妖怪ウォッチ→「子供オープンワールド」
④二ノ国→「触れるジブリ美術世界の旅」



レイトンシリーズ

架空の英国を中心とした古い西洋を舞台としていることから、“アンティーク”というキーワードを設けている。 
アンティークからセピアカラーでの配色になり、セピアをベースに色彩を豊かにしていく。

挿し色(メインのカラーの他に、アクセントとして一部に使われる色)が入ることで落ち着きを感じながらもひきつけられる絵になっていく。



一見すると落ち着いた雰囲気を感じさせる背景だが、主役のレイトンが活躍する“レイトン探偵社”前の風景では、あえて「探偵社の配色のみ」を緑、オレンジという補色を用いることで、探偵社の存在感が鮮やかに表現されている。つまりメインとなる建物以外の背景の色味は、落ち着いたもので統一して差別化させているのだ。

メインとなる建物以外の背景の色味は、落ち着いたもので統一して差別化。
薄い色、類似色で統一
空の色もベタ塗りではなく、特徴的な配色によるグラデーションにすることで、独自の世界観を描き出している。




荒川氏の作画工程では、レイヤー分けをした線画を描いたのちに、カラーパレットを作成して色づけをしていく。その際には、きっちりとしたカラーマネジメントが重要になるという。


カラーパレットで色を管理する
「レイヤー分けした線画」→「カラーパレットの作成」→「ベタ塗り」→仕上げ


『レイトン』シリーズの背景を描く際のポイントとしては、「コントラストを意識した配色」が重要だと説明。全体が落ち着いた配色になるからこそ、そこに鮮やかさを際立たせる陰影や挿し色で、コントラストを描き出すのだ。

すげ〜〜上手い




妖怪ウォッチシリーズ

梁井氏は“子どもオープンワールド”というコンセプトから、“箱庭”というキーワードを提示する。箱庭の世界をどのようにして描けばいいのだろうか? 
その答えは、『広域から狭域』へと視点を狭めながら描いていくことだという。

『妖怪ウォッチ』シリーズの舞台となる“さくらニュータウン”は、実際に街全体を俯瞰できる広域のマップイラストが描かれている。

ジオラマのような広域図。梁井氏が「とてもたいへんです」と語るほど緻密に街の隅々まで描き込まれている。この広域図の時点で、マップの各エリアの繋がりまでわかる。すごい!!


ジオラマのような広域図。 緻密に街の隅々まで描き込まれている。この広域図の時点で、マップの各エリアの繋がりまでわかる。

さらにフォーカスして、商店街のアーケード街の店までが細かく設定していく
この広域図をもう少し狭めて、今度は中域図として各エリアを描く。ちなみに、福岡市の有名なスポットなどがモデルになっているそうだ。
桜ニュータウン全体→①②③④⑤とエリア分け



商店街のちょっと古臭いブティック
商店街の回らないお寿司屋さん
街の看板、のれん、ポスター、電柱の張り紙...バリエーション多すぎ!
六十年代の香り感じるレトロな古道具屋。



『妖怪ウォッチ』シリーズでは、さらに狭い部分まで描かれている……さらに狭域として、冷蔵庫の中や、車の下や田んぼのあぜまで背景を設定しているのだ。
ゲーム中では、こうした場所を覗き込んで妖怪を捜すため、こういった細部の“ミニチュア感”にこだわっているのだという。
このミニチュア感を描き出すために、梁井氏はさらなる工夫をしている。それは、家の内観を描く手法だ。なんと梁井氏は、実際に家の間取り図から描くのだというのだ。




家具もすべてひとつずつ立体的に三面図として描くことで、実際に室内に家具を配置していくのだというのだから驚きだ。

①間取り図➕家具の位置から設定
②平にして
③立体化!比較的楽に作れるわけだ。

まさにミニチュアをひとつずつ手作りしていくかのように描いていく。
梁井氏は、等角図を用いた構図で統一してマップを描くことのメリットについて、ベテランのスタッフも、新人のスタッフも、技術的な差を生まないで背景を描けるという点にあると語る。
家具色付き


『妖怪ウォッチ』シリーズでは、こうした手法で広域から狭域へとフォーカスしながら、作中に登場するあらゆるスポットを描いている。
ポイントは、細部までこだわりぬいて設定すること。ゲームを遊んだ際にプレイヤーが細かい部分を見るだけでも楽しめるのではないかと考えた結果、生まれた手法だ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?