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職場の閉塞感に挑む ゲームクリエイターの発想法から学ぶ『ゲームデザイン脳』著者 桝田省治


1 導入


 私は日々、会社での閉塞感に悩まされています。
 やることは山積み、人員は減少、それなのに給料は一緒。
 上司からは「ワークライフバランスを保ちながら効率的に」という無責任な指示が飛びます。
 しかし私が効率化の提案をしても上層部に却下されるのが常です。
 この状況に、優秀な人材が次々と去っていく光景を目の当たりにします。

 そんな中、ゲームクリエイターである桝田省治氏が著した『ゲームデザイン脳』という一冊に、少しだけ救われました。
 まったく異なる分野であるゲームデザインから、問題解決へのアプローチ方法や、いかにして自分の大切なものを死守するかなど、考え方という点で新たな視点が開けました。

2 ChatGPTによる概要

 『ゲームデザイン脳 ―桝田省治の発想とワザ―』は、桝田省治著によるゲームデザインに関する書籍です。この本では、桝田省治がどのようにしてゲームデザインのアイデアを得て、それらをゲームに具現化してきたのかが語られています。
 具体的には、平凡な日常から特別な企画を生み出す視点、有用なネタの選別方法、システムからゲームを組み立てる手法など、桝田独自のゲームデザイン思考が解説されています。

 この本は、テレビゲームが好きな人、ゲームクリエイターを目指す人、企画職に就く人に特におすすめされています 。

3 問と答

『ゲームデザイン脳』の問と答について考えました。
 すると、クリエイティブなプロセスへの深い洞察につながりました。
 以下にその工程を記載します。

⑴ 自分が気になったオモシロ要素をとことん分解する

 このアプローチは
   何の要素があって、私は面白いと感じさせられたのか
を掘り下げて理解する工程です。
 この過程で、掘り下げたオモシロ要素の核を発見します。

⑵ 核の加工

 次に見つかったオモシロ要素の核を活かすために、ストーリーやキャラクター、世界観設定などを構築します。
 このスタンスは、一見すると「こじつけ」のように思えるかもしれませんが、実際には非常に効果的な戦略だと思います。
 核となる要素を中心に様々な要素を配置することで、統一感のある世界観や物語を創造することができます。
 同時に、方針で迷ったときはこの核を活かすことをまず第一に考えると、全体の破綻を防ぐ効果もあります。

⑶ 防衛線の死守 

 色々な障害(大人の事情など)があっても、絶対に自分が掘り当てたオモシロ要素だけは残す。
 この執拗なまでの意思の強さ。
 ゲームデザインのプロセスにおいては、多くの制約や障害が存在します。 
 自分が見つけた「面白い」と感じた核となる要素を守り抜くことは、プロジェクトを成功に導く鍵となります。
 これは、クリエイティブなビジョンを実現するための強い意志を示すものであり、最終的な作品の質を高めることにも繋がります。

⑷ 結論

 全体として、この問と答はゲームデザインだけでなく、あらゆる創造的活動において自分が興味を持った「面白さ」の要素を見つけ出し、それを核としたプロジェクトを発展させるという普遍の型を提供してくれます。

4 ビフォー 気づき アフター

「ゲームデザイン脳」を読んでのビフォー、気づき、アフターという私の変化について考えました。
 何かを創るという過程は、問題をどう解決するか、という過程でもあるとの意識が芽生えたことです。
 問題解決に対する新たな視点について以下が私の意見です。

⑴ ビフォー(読前)

 人の配置を調整したりする仕事をしていると、どうしても各個人個人の要望の差異によって、すべての希望を叶えることができない場合があります。
 そんなときは、何人かの人に我慢を受け入れてもらうために、私が謝りの電話をしていました。
 それが唯一の解決方法だとしか思えなかったので、嫌々に損な役回りをやっていました。
 これが、本書に書かれている
  「解決方法として取る手段が安易な方法だけだった」
という状態です。
 この認識は、多くの人が陥りがちな罠なのです。
 簡単な解決策に頼ることで、本質的な問題解決を逃してしまっていたのです。

⑵ 気づき(読中)

 本質的な解決になっていないことに気付くことは、大きな前進でした。
 ゲームデザインというまったく畑違いの仕事ではありますが、本書で語られている問題点へのアプローチ方法は、どの分野にも応用できると思います。
 本書の事例として、発売前のRPGゲームの試し運用で、強すぎる中ボスが倒せないというユーザーからの意見に対し、ただ中ボスの能力を低くするだけでは全く問題の解決にはならないと著者は語ります。
 簡単に勝てる中ボスでは、ユーザーの記憶には残らない。
 では、どうやったら勝てるようになるのか。
 本書の中では具体的この問題への改善策が複数提示されています。
    中ボスの弱点情報を入手させる
    中ボスを倒す補助魔法を設定する
    中ボスにだけ威力を発揮する武器がある
など視点を変えて、ユーザーに活路見出させ、かつ中ボスの強さを際立たせるという方法です。
 この設定をつくる意味は、中ボスを脅威としてユーザーの脳裏に染み込ませることが、狙いだからです。

 問題の解決という目指す結果は同じでも、その問題の本質の見極め、本来の目的を見失わないアプローチの方法を考えることがプロの仕事です。
 私の語彙力が足りないせいで少しわかりにくい言い方になってしまいましたが、著者は本書の中で非常に端的に

 「プロを名乗りながら、このあたりがさっぱりわかっていないバカは意外なほど多く毎度あきれる」

 と快活に述べています。
 この語り口がまた実に心地いい。
 できることなら、私も言ってみたいものです。
 それが叶わなくとも、せめて上司に読んでほしい一冊です。

 その場しのぎの対処法ではなく、問題の根本に迫るアプローチが必要だという認識が芽生えたことで、取るべき選択の幅や種類が増えました。

⑶ アフター(読後)

 安易な答えが最良の正解ではない。
 この意識を持つことで、物事の文脈や流れをより深く見極めて、問題解決へのアプローチ方法を考えるという意識が生まれました。
 まあ、多忙で悠長に考えている時間がないことも多々ありますが、この意識を持って臨んでいくことで、何十年か先に自分の脳がより良く育ち、より良い職場環境をデザインできていることを期待します。

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