ちゃあちゃんの作るはちみつ味のドーナツ
ちゃあちゃん、私は母方の祖母のことをそう呼んでいる。初孫が生まれた時に、「お婆ちゃん」と呼ばれるのを嫌って、自分で名づけたそう。
ちゃあちゃんはとってもポップなおばあちゃん。ピンクや赤の洋服が大好きで、いつも可愛らしい帽子とカラフルなサングラス、大柄のネックレスと指輪をつけて、歳をとってもオシャレを大事にしている。いつまでも若々しい、とはまさにちゃあちゃんのことだ。
私はそんなちゃあちゃんの最後の孫。私の母は5人兄弟の4人目、それに私は歳が離れて生まれた末っ子だから従兄弟の中でも1番年下なのだ。
「ちゃあちゃんが作るはちみつ味のドーナツ」が私の大好物だった。
ちゃあちゃんは私の家から、電車で1-2時間くらいのところに住んでいたから、いつもお土産を持って会いにきてくれるのだけれども、「何がいい?」と聞かれると、私のリクエストは決まって「ちゃあちゃん手作りドーナツ!」だった。
私たちが美味しそうに食べるからちゃあちゃんも喜んで袋いっぱいのドーナツを持ってきてくれた。
レシピを聞いたことはないけれど、おそらくホットケーキミックスにハチミツをふんだんに使ったシンプルな作り方。一口サイズに丸められて、よく揚げているからちょっと固くて、茶色くて、甘くて、それが本当に大好きだった。
いくらでも食べられるからよく母親に「食べすぎたら晩御飯入らへんで」と止められたものだ。
ちゃあちゃんは、私が22歳になる年に、とても安らかな顔で、天国へ行った。90年近く生きたから大往生だ。
孫の中でもちゃあちゃんと過ごす時間は、私が1番短かったけど、ちゃあちゃんは12人の孫みんなに平等に優しさと愛と元気をたくさんくれた。
ミスドでオールドファッションを食べるとちゃあちゃんのドーナツを思い出す。
もう一度食べたいけどもう食べれないあのドーナツ。
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