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「暖簾」監督:川島雄三/1958

こんなお話

八田吾平が、たった三十五銭をにぎって淡路島から大阪へ飛び出して来たのは十五歳の時のこと。ふとしたことから昆布屋の主人、浪花屋利兵衛に拾われてから十年、吾平は大阪商人の土性骨とド根性をいやというほどたたき込まれた。吾平が二十五歳の時、主人利兵衛から暖簾を分けられた。先輩の番頭をさしおいて。吾平の夢はふくらんだ。


レビュー

他の作品に比べ、毒っ気やケレン味は薄く、際立って目をひくところは少なかったですが、戦争をまたぐ壮大な昆布屋の変遷を時代とともに見ることができ、ストーリーとしては面白かったです。

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原作はあの山崎豊子。これが処女作だそうです。

一人の生涯を幼少から死ぬまで追う長丁場でしたが、うまい構成で全然しんどくありません。川島雄三の作品て、いい意味で忙しく、小休憩があんまりない印象なので、こういう“いかにも中だるみしそうな物語”とか、もしかしたら向いてるのかも・・・なんて思ったり。


空襲による焼け野原や開発が進む梅田の街並みなど、要所要所に実際の映像が織り込まれ、私にとって馴染み深い大阪の歴史を見られたのは貴重でございました。


吾平と、その子供の孝平、二役を見事に演じ切った森繁久弥がとにかく素晴らしい!!そして、脇を固める山田五十鈴、乙羽信子もいい味出てました。浪花千栄子は相変わらず、ちょっと嫌味な役ww めちゃくちゃうまいし、似合うわー。

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関西(主に大阪)出身の俳優が多いだけにテンポも言い回しのリズムも小気味いいんだ、これが。

しかし、森繁久弥にこれまであまり注目してこなかったのですが、『暖簾』は本当に彼なくしては成立しないほど、その存在感が際立ってます。

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二役の掛け合いもまったく違和感ありませんし、お見事です。
今後、改めて森繁久弥に注目してみたいと思います。

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暖簾
1958/宝塚映画
<スタッフ>
監督:川島雄三
劇化:菊田一夫
脚色:八住利雄、川島雄三
原作:山崎豊子
製作:滝村和男
撮影:岡崎宏三
美術:小島基司
音楽:真鍋理一郎
<キャスト>
森繁久弥
山田五十鈴
中村鴈治郎
乙羽信子
中村メイ子
浪花千栄子
山茶花究
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