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「洲崎パラダイス赤信号」監督:川島雄三/1956

こんなお話

売春防止法施行直前の東京。梅雨明け前。勝鬨橋の上で「これからどこへ行こうか」と、男と女は思案するも思い浮かばずにバスに乗る。洲崎パラダイスの入口で下りて、求人の張り紙のある飲み屋「千草」に入る。女将は、小学生男児を2人から5人を抱え、4年間行方不明の夫の帰宅を待ちわびている。女は入ってきた客をうまく扱い、住み込みで働くようになる。男は、おかみの紹介で近くのそば屋で住み込みの出前持ちをする。


マキネマレビュー

舞台は、売春エリアすぐ近くのある飲み屋。落ちたり上がったり、ギリギリで揺らぐ人間模様を天国と地獄の境のような場所を舞台に描くのが面白いですね。

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無駄にいろんな場面を入れず、最低限の舞台で最大限の効果を生み出すのが、川島雄三はほんとうまいなーと思います。

ちなみに監督は、自身でこの映画をすごい気に入っているらしいですが、私は「しとやかな獣」とかの方が好みでした。

出てくる人間がどいつもこいつも女々しいったら。ちょっとイライラするぐらいですw

そのイライライラがコミカルに還元されるでもなく、ただイラつくんですが、よく言えば、どの人もとっても人間臭い。

売春防止法施行前の話っていうと、『赤線地帯』が思い浮かびますが、これはまた毛色の違って、べた~、じと~とした恋愛話に仕上がってますね。

そんなじとじとした人間ドラマで光るのが、ヒロインの新珠三千代。息を飲む美しさです・・・。

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影があって惚れっぽくて面倒臭い女を、艶やかに演じられておりました。

初々しくて瑞々しい芦川いづみとのバランスが、映画のいいアクセント!

昔の女優さんは、ほんとうにそこはかとない美しさがあって、惚れ惚れしますねぇ。

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洲崎パラダイス赤信号
1956/日活
<スタッフ>
監督:川島雄三
脚本:井手俊郎、寺田信義
原作:芝木好子
製作:坂上静翁
音楽:眞鍋理一郎
撮影:高村倉太郎
編集:中村正
<キャスト>
三橋達也
新珠三千代
芦川いづみ
轟夕起子
河津清三郎
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