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2023年「いい(11月)推し(04日)の日」に推し活現役女子大生、現代の推し活価値観について考えてみた


はじめに

みなさんこんにちは、現役女子大生のNanamiと申します。

みなさん11月4日はなんの日かご存じでしょうか?
なんと11月4日は語呂合わせで「いい推しの日」なんです!

実はこの「いい推しの日」、一般社団法人日本記念日協会にも認定、登録されているれっきとした記念日なんです!

そんな記念日の日に、推し活歴10年以上、推し活アドバイザーとして活動し、12月にはプチレトル株式会社から「推し活経済:新しいマーケティングのかたち」という本を出版する私が(光栄ながら著者になります!)、出版本の中から様々な文献、アンケート調査、実際のインタビューの内容から感じた「推し」という概念の起源から、現代の「推し」という言葉が持つ意味まで本気で考察した内容をここでは書いていこうかなと思います!

ぜひ、この機会に「推し」に関する新しい学びがあれば幸いです!

推しの歴史

今様々なところで聞く「推し」という言葉。私の父や母の世代(50代)の人々に聞くと「昔はそんな言葉なかったのにな」と話すことがある。

しかし、2020年には「推し」をテーマにした小説『推し、燃ゆ』が芥川賞を受賞し、NHKのグローバル現代が「推し活」についての特集を行うなど現代のトレンドを話す上で「推し」は欠かせない言葉となっている。
この「推し」という言葉や考え方はいつ生まれたのだろうか。

そしてなぜこれほどまでに、現代において大きな存在になっていったのだろうか。

推しの概念が生まれた1980年代

 推しという概念の誕生は1980年代に遡る。1980年代はいわゆる女性アイドル全盛期といわれる時代で、松田聖子や中森明菜、薬師丸ひろ子といった数々のアイドル達がデビューを果たし、ザ・ベストテンなどの歌番組を中心に活動、お茶の間を賑わせていた。
 この数多くのアイドル達の中で「私は松田聖子が好き」「俺は中森明菜派」などといった派閥が生まれていた。こうした数多くのアイドル達の中で「みんないいけどその中で私が特別に好きな人」という意味の「推し」の考え方が生まれていったとされている。ただこの頃「推し」という言葉はまだ使われているというところまで来ておらず、「推し」という考え方が人々の中で潜在的に生まれていったとレベル感であったといえるだろう。

女性アイドルグループが一般化した推しの考えと単語

 その後2000年代に入ると時代はモーニング娘が生まれたことにより、ソロ1人アイドルの時代からグループアイドルの時代へと変化していった。

 この頃ひろゆきの名前で知られる西村博之氏が立ち上げた匿名掲示板「2ちゃんねる」がモーニング娘のファン達の交流の場として日常的に使われるようになっていた。モーニング娘がグループアイドルであったということもあり、ソロ1人アイドル全盛期の時代よりもグループの中の誰が好きなのかという「推し」の考え方が色濃くなっていた。

 また「グループの中で誰が好きか」という話題を他のファンと交流できる「2ちゃんねる」という場ができたことによって、「推し」という言葉を使う女性アイドルファンが増えていったと考えられる。また、モーニング娘のファンの中にはのちにAKB48として活躍する指原梨乃さんや柏木由紀さんがおり、のちに彼女らもバライティー番組などで「モーニング娘の中でも特に好きなメンバー」というトピックを語る際「当時推していたのは~」という文脈を使っている。

 このことからも、この時代に「推し」という考え方がアイドルオタクの中で浸透していたのは間違いないといえるだろう。

 徐々に色濃く、アイドルファンの中で浸透していった「推し」という考え方が決定的に一般化したのは、アイドルグループAKB48の人気と、その人気を支えた「AKB48選抜総選挙」の存在であったといえるだろう。
 2009年に第一回が実施された「AKB48選抜総選挙」は、ファンの投票によって次回のシングルの楽曲を歌う唄うメンバーとそのポジションを決定する企画であり、メンバーを多く持つアイドルグループという特性を生かした人気投票のイベントであるった。
 このファン参加型投票イベント、「AKB48選抜総選挙」の人気は凄まじく、2013年にフジテレビ系ゴールデンタイムで放送された「AKB48 第5回選抜総選挙 生放送SP」は最高視聴率20%を記録した。
当時、イベントへの投票権を求めてファンクラブに入る人やCDを大量購入する人など、自分の好きなメンバーの人気を押し上げるために「行動を起こすファン」がすごい勢いで増えていった。また、TVメディアで「AKB48」や「総選挙」の内容が取り上げられるようになったことで「グループの中で特に好きなメンバーを選ぶ」という「推し文化」が一般の人々の間にも広まっていったといえるだろう。
 実際当時小学生だった私の学校でも「私は大島優子推し」などといったAKB48の中で誰が好きなのかを「推しメン」という言葉を使って表現することが増えていった。
 この頃クラス子達がAKB48の「推しメン」について話すため、私もAKB48を見るようになり、その中で初めての「推し」、篠田麻里子さんと出会う。当時は「推しメンがいないとみんなの話についていけない」と小学生の私が思っていたほど「推し」や「推しメン」といった言葉が当たり前のように学校やテレビで使われるようになっており、それほどまでに一般化していたといえるだろう。

 こうして1980年代から「女性アイドルの中での特別に好きな人」を表す言葉として作られた「推し」という概念は、2000年代モーニング娘ファンの中での普及を経て、2010年代AKB48の爆発的な人気と総選挙を通して一般の人々の中に普及していったといえるだろう。

アイドル以外に対しても使われる現代の「推し」という言葉


 しかし、この「推し」という言葉はAKB48の国民的ブームが収まった後にまた意味を変えて2020年代に使われるようになる。

 「推し」という言葉がアイドル以外の対象によって使われるようになった大きな理由の一つが2014年に日本でのサービスを開始したInstagram の登場である。

 Instagram は自身の生活や好きなものを写真と共にSNS上で表現する活動を社会の中に生み出した。例えば、24時間で消える投稿「ストーリーズ」機能によって多くの若者たちが気軽に、日常的に、「休みの日に友達といったおしゃれなカフェの写真」、「自分の家の犬のかわいい」、「好きなアイドルのコンサートで買ったグッズ達」など自分の好きなもの楽しかったことなどを投稿するようになっていった。#(ハッシュタグ)文化も生まれ、その投稿に合わせた単語を写真一緒に投稿するようなっていった。つまり、Instagramは一個人が自分の活動を写真と共に共有するオープンで気軽な「自己表現の場」を作ったということになる。しかし、その自己表現には写真と短い単語(ハッシュタグ)という無意識的ルールが人々の中作られていった。そんなルールの中で、自分の好きなもの(例えば美味しかったご飯、行きつけのお店、好きなアクセサリーブランド、自分が飼っている犬)をInstagramで表現するには、短い言葉で「好きなもの」であるということを表現しなければならない。「好きなもの」という5文字では、キャッチ―でもなければ、長い言葉であるしつまらない。
そんな中でアイドル応援する人々の中で「好きな人」を表現する言葉として使われていた「推し」という言葉がどこからともなく現れ、一種のトレンドとしてアイドルのみならず「自分の好きなもの」を指す言葉としてトレンド化していったといえるだろう。

 いつしかメディアもこの「推し」という象徴的な言葉をアイドルに限らず、一般的に「好きなもの」として再定義し、女性アイドルと切り離して街頭インタビューなどで使用するようになっていった。

 2020年には当時現役大学生であった宇佐見りんが書いた「推し」をテーマにいた『推し、燃ゆ』が芥川龍之介賞を受賞し、「推し」という概念が若者だけではなく全世代、日本の社会において大きな意味を持つ言葉として認識されるようになっていったといえるだろう。

その結果、今では「これ私の推しキャラクター」「あの先輩私の推しなの」「この酒蔵のお酒、推してるんだよね」といったように、対象が人、モノ関係なく「好きなものを表す言葉」としてSNS上のみならず、日常生活でも使われるようになってきている。
 また、この「好きなものの魅力を他の人にも知ってほしい、広めたい」「好きな対象(アイドル、アニメキャラクター、お酒、スポーツ選手など)と長い時間をともにしたい」と願う人々が好きなものに対して行動を起こすことを「推し活」と呼び、「推し」という言葉とセットで使われてきている。

 この推し活には様々な種類がある。
自分の好きなアニメやドラマ、アイドルのMVなどの舞台のとなった場所を訪れる「聖地巡礼」。はたまた、自分の好きなキャラクターや映画、歌手をモチーフにフードやドリンク、店内装飾が行われているカフェ空間に訪れて楽しむ「コラボカフェ」。好きな人、キャラクターの誕生日にケーキの準備や部屋の装飾などをして楽しみ、その様子をSNSにあげる「本人不在の誕生日会」なんてものもある。
 また日本酒好きな人からは、実際に好きな日本酒を作っている酒蔵を訪れて見学したり、関連グッズの購入や良さをSNSで発信するなどといった推し活があると聞いたこともある。
 この「推し活」という考え方には、「自分の好きなものを他の人に広めたい」という感情が含まれるケースも多いことから「推し」という言葉が「ただ単に好きなもの」というものではなく、「応援したい、支えたい対象」といったニュアンスを含むことも多くなってきていると言えるだろう。
エンタメ学者として活躍する中山淳雄さんの『推しエコノミー』という本でも、コンテンツを消費するユーザー達は「推し」という言葉が活動としてなにかを与える、一緒に何かをしていくという「行動」をともにする言葉として対象に対する態度や価値観の変化を表していると語っている。

 つまりこの「推し」という言葉はもはや1980年代の「アイドルへの愛情表現」という概念を超えて、「自分が好きで情熱を注ぎ、応援したい、一緒に成長していきたいと感じるモノや人への愛情表現」といった意味を持ち広まっているのが現代だといえるだろう。

最後に+自己紹介

いかがだったでしょうか?
少しでも学びになる内容があれば幸いです!

せっかくのこの日、皆さんの「推し」に関する思い出に浸ってみるものいいかもしれませんね!

最後に軽く私の「推し活人生」と「自己紹介」です!

2002年生まれの私は、小学生の時にできた初めての「推し」AKB48(元)の篠田麻里子さんをはじめ、シンガーの大原櫻子さん、ボーカロ界隈のカゲロウデイズ、Honey Works, Kpopグル―プBTS、アイドルグループ 嵐、アニメ「ニセコイ」、ハリーポッターシリーズなど様々な種類の「推し」のみなさんとの出会いに支えられて、人生を送ってきました。

ちなみに現在の推しは、アイドルグループの「なにわ男子」の道枝駿介くん(最近のドラマ、マイセカンドアオハルがかっこよすぎるのでぜひ見てほしいです!)と、「Aぇ!group」の末澤誠也くんです!


Aぇ!group全国ツアー参戦の際の写真

使用言語は日本語、英語、韓国語です!(英語はハリーポッターの内容を英語で聞き取れるようになりたくて、韓国語はKpopアイドルの曲の歌詞をすぐに理解できるようになりたくて勉強しました(笑))

お仕事では、テレビ局や雑誌などのメディア関連のお仕事を複数社関わらせていただいたり、不定期ですがエンタメ会社などが関わるイベント等の運営に携わらせていただいています。

来年は1年大学を休学して、いろいろなお仕事にもう少し自由度をもって関わらせていただこうかなと思ってますので、「この人面白そうだな!」と思った方ぜひなにかあればご連絡ください~!

読んでいただきありがとうございます!
次の投稿もお楽しみに!

#いい推しの日 #現代史 #推し #昭和アイドル #アイドル  



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