#6 黒色と多様性

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 黒色と聞いて、思い浮かべるものはありますか?私は真っ先に黒楽茶碗が脳内にありありと浮かびます笑。

 千利休は、『黒』を非常に大事な色として扱ったとされています。

 確かに、彼の残した作品や価値観には、黒が多いです。

 私にとって、美術館で茶道具を眺めるときの黒楽茶碗は、格別です。

 心臓がドクンと音を立てる感触があります。それは、茶道具の多様性がもたらす現象だと私は考えます。

 茶道具は、多様です。全く傷の無い、整備な絵が描かれているものや、歪んで割れているものから、その多様性には驚くばかりです。染  付・赤絵、青磁や白磁。あの美しさは目を奪われます。
 多数の仕覆にも心踊ります。服のようでかわいいです。

 そして、脳内に多数の『美』が蓄積されます。特に、鮮やかな美しさは鮮明に残りますね。
 
 たくさんのイメージを蓄えて、良い気持ちになった後に、美術館の1スペースにポツリと現れる黒楽。

 それを見た時に、ドクン!という心音とともに、それまで脳内にはち切れそうなほどあった『美』の姿が、外界に出ていってしまう感覚を覚えるのです。

 そうして、黒楽のイメージが脳を満たす。「これが、芸術の極致かもしれない」
 そう思わせる力が、あの茶碗にはあると、私は考えます。

 しかし、この認知において重要なのは、わたしが黒楽の美しさを『対比』という認知行動によって理解していること。

 人間のものに対する理解には、何らかの偏りがあるのだと、感じざるを得ない体験でした。

黒が際立つのは、それ以外の『美』があまりにも発達しているから。相補性の関係により茶の湯の『美』は進化し続けている。私の感想ですが…笑。

ではまた

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